2022/09/22/
将来性
日本語教師は将来が不安?
日本語教師は、日本語を母語としない外国の方に対し日本語を教える仕事です。多くの場合は日本国内で働きながら海外の方と関わることができ、異文化交流のチャンスをもつことができると言った点で、日本語教師という仕事は大変魅力的です。 しかし、いざ「日本語教師になる」ことを考えてみたとき、将来に関して不安に感じることもあるのではないでしょうか。実際に日本語教師として働くことはどれほど大変なのか、収入や生活は安定するのか、といった不安を抱える方は少なくありませんし、最近であればコロナ禍の影響なども心配になってきます。 本記事では、日本語教師として働く方々が直面することの多い不安や疑問について、どうしたらそうした不安を解消できるのか、ということまで含めてまとめていきます。 日本語教師が抱える不安にはどのようなものがあるのでしょうか。もちろん人によって様々な疑問や不安があるでしょうが、代表的なものをいくつか挙げるとすれば ・収入面・待遇面での不安 ・授業準備、実際の授業への不安 ・コロナ禍での需要への不安 などになるのではないでしょうか。一つずつ見ていきましょう。 収入面・待遇面での不安 日本語教師を目指す人の不安として、「給料が少ない」というものがあると思います。 現役日本語教師の方の意見や体験談を聞いていると、残念ながらその傾向は事実としてあるようです。 収入はそう多い方ではなく、また授業の時間だけでなく授業準備や生徒指導などでも拘束時間が発生するため、重労働の割に薄給だ、という印象になってしまいがちです。 また、日本語教師の7割が非常勤講師だと言われており、「働き方が不安定」というのも日本語教師を目指す人が抱える不安としてよくあるものだと思います。 →解消するには? しかし、こうした不安も努力次第で解消することが可能です。 例えば、日本語学校での非常勤講師では給料はそう高くありませんが、経験を積み、専任講師として勤務できるようになればもう少し安定した収入が見込めます。また、大学などの期間で働く場合でも日本語学校で働くよりも高い給料が得られます。 海外での勤務を視野に入れるのも良いでしょう。英語力や英語の資格、一定程度の現地語の能力が必要になるかもしれませんが、その分待遇も向上するでしょう。手取りの賃金としては変わらないかもしれませんが、物価の関係で海外で働く方が生活が楽になる場合もあるようです。 また、海外経験それ自体がより良い職へのきっかけになることもあります。日本語教師は異文化との関わりが必然的に生まれる職ですので、海外経験を積んでおくことで生徒の悩みにより共感できるようになります。また、海外経験に関わらず、大学院への入学、社会人経験など、様々な経験が日本語教師の求人では歓迎されます。ぜひたくさんの経験を積み、ご自身のキャリアに生かしてください。 準備・授業への不安 授業をするには、日本語文法の知識が必要であるだけでなく、生徒のレベルに合わせたカリキュラムや教材作りも求められます。また、日本語教授以外に生徒の生活面での指導や相談などもする必要があり、激務だと言われています。 日本語教師になるのには様々な条件がありますが、資格などがあるわけではなく、人によって方法は様々です。日本語教師養成講座などを受講した人と違って、日本後教育能力検定試験に向けた勉強だけで日本語教師になった方々にとっては、実践面での知識の不足などが気にかかるのではないでしょうか。 実際に、日本語教師の教育不安に対する研究では、日本語教育に関するスキルやクラスでのコミュニケーションなど、実践面をあげる人が多いようであることがわかっています。 →解消するには? 前述の研究でも示されている通り、スキル不足、実践面に関する不安は、経験を積むことによって解消されます。色々と不安はあるでしょうが、まずは1年、2年と続けて勤務していくことが大切です。 また、教材準備に関しては、経験を積むことで使い回しができるようになり年々楽になっていきます。もちろんブラッシュアップを重ねる必要はあるでしょうが、1から作るほど大変ではないのは確かです。 私自身、教育機関で働いた経験がありますが、やはり年数を重ねるにつれ授業準備の時間が減り、楽になっていきました。これは、教材を使い回すことができる、ということももちろんそうですが、それ以上に「生徒はどこを疑問に思うか?」「どの項目を重点的に教えるべきか?」ということが、経験を積むうちにわかってくるからです。教材全体を網羅的に見るのではなく、ポイントポイントで準備をすることができるようになり、かける時間も少なくなります。 コロナ禍での需要への不安 2022年9月現在、長く苦しいコロナ禍が始まってからおおよそ3年が経とうとしています。日常生活の多くが制限され、不便な思いを強いられている人も多いでしょう。日本語教師は特にこの影響を強く受けた職であるといえます。なぜなら、コロナ禍に伴う入国制限により留学生の入国が大幅に遅れ、その間の求人や業務もその煽りを大きく受けたからです。 このような事態は滅多にありません。とはいえ、今まさにこうした状況を体験している皆さんからすれば、不安に思うのも当然でしょう。日本語教師という職そのものが今後どうなってしまうのだろうと考えるのも無理はありません。 日本語教師という職が、時世に影響されやすい職であることは事実です。そもそも日本で働きたい、日本で学びたい、という学生なしには成り立たない仕事であり、相対的な日本の魅力度や経済状況、また国際情勢など、職に影響を及ぼす要因は大変多く、安定と言った意味では不安が残るかもしれません。実際、「今は日本語教師は目指さないほうがよい理由 | JEGS」では、日本語教師になるのならよく考えた方がいい....もとい、今はやめておいた方が良いのでは、と議論されています。 →解消するには? この不安に関しては、個人で解消するのは難しいでしょう。日本語教師以外のキャリアを見据えた資格取得や研鑚は可能でしょうが、「日本語教師として働いていく上での不安」としては解消されません。 ただし、未来はそう暗い見通しばかりではありません。日本語教師の将来について、逆に明るく、長期的には需要は安定、あるいは増加すると予測している人もいます。「日本語教師の需要と今後の将来性【国内専任講師7年目の僕が説明】」などを読むと、少し明るい見通しが持てるようになるでしょう。 こればかりは国の制度改定や国際情勢に影響される部分が大きく、不安は全くないとも、不安ばかりだとも言い切ることはできませんが、個人にできることがないわけではありません。資格取得や、外国語の習得など、もし職が不安定になっても対応できるようなスキルを身につけておくと良いでしょう。 まとめ 以上、日本語教師が抱える不安についてまとめました。おおよそどの不安にも共通して言えることは、個人の努力や経験によって少しずつ解消することができる、という点ではないでしょうか。語学能力を高めたり、資格を取得したり、海外経験をつんだりなど、日本語教師として、あるいは日本語教師をやめた後でも活躍していけるように自らを高めることが、不安の解消につながります。 将来を見据えてしっかり考えることと、闇雲に不安を抱えることは別です。当サイトの別記事や、リンクで紹介したサイトさんなども参考にしつつ、ご自分の将来について考えてみてください。