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2022/02/08
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場面別!日本語教師におすすめの教材を総まとめ!
日本語教師に必要な教材は、実は3種類に分けられます。
一つ目は「日本語教育能力検定試験に合格するために必要な教材」、二つ目は「外国人学習者が授業中に使うための教材」、三つ目は「日本語教師の参考書としての教材」です。
日本語教師のための教材と言っても、上記のように使用用途がまったく違うことがお分かりいただけるかと思います。
しかし、ネット上では混同して紹介されていることも多く、初めて日本語教師の教材を探す人には、少しわかりづらい部分もあります。
今回はこの3種類の教材を分類し、それぞれのおすすめをご紹介します。
日本語教師の教材3パターン
日本語教師資格試験の教材
日本語教師になろうと思ったら、まずは資格取得が必須。
しかし急に資格試験勉強や試験対策を初めても、この勉強を実際にどう使うのかがイメージしづらく、理解に時間がかかってしまいます。
まずは日本語教師の全体像を把握するとことから始めましょう。
イメージが掴めれば、勉強への意欲も高まります。
■『日本語教師のスタートライン 本気で日本語教師を目指す人のための入門書』
日本語教育に関する書籍を数多く出版しているスリーエーネットワーク。
『日本語教師のスタートライン 本気で日本語教師を目指す人のための入門書』は、初めに読む本として最適です。
資格試験の勉強の導入に、全体的な知識を入れておきましょう。
その後の勉強の理解度が上がります。
引用ーーー
”日本語教育に一歩足を踏み込もうとしている人、踏み込んだばかりの人にはプロが執筆した参考書や専門書は難しすぎます。もっとわかりやすい切り口で読み通すことができ、日本語教育に関する専門的な知識の全体像を示した一冊です。”
「スリーエーネットワーク:日本語教育のスタートライン 本気で日本語教師を目指す人のための入門書」
日本語教師は民間資格のため、無資格でも人に日本語を教えることができます。
しかし、就職をするにしても実際に日本語を教えるにしても、日本語で日本語を教えるには知識とスキルが必要です。
日本人でも「あの時〜していたら」と「あの時〜していれば」の違いを、外国人学習者にわかりやすく説明できる人はほぼいないでしょう。
日本語教師の仕事をするためには、日本語教育能力検定試験に合格するか、学士の資格を保有し日本語教師養成講座420時間の修了のどちらかが必要になります。
日本語能力検定試験の合格を目指すなら、『2020年 日本語教育能力検定試験 合格するための本』がおすすめです。
株式会社アルクが毎年発行している教材で、日本語教育能力検定試験の最新の対策とが反映されています。
どんな問題が出題されるのかを知ることができ、またその難易度も実感することができる構成になっています。
引用ーーー
”本書の最大の特徴は問題について詳細な解説が付いているところです。日本語教育能力検定試験については、過去問とその解答が公開されていますが、なぜその解答になるのかという解説は公開されていません。本書で本試験と同傾向・レベルの類似問題を解き、解説を読むことで、理解が大きく深まります。”
「日本語ジャーナル:日本語教師になりたい人がまず読むべき本は? 編集部が選んだ6冊」より
ヒューマンアカデミーから出版されている『完全攻略ガイド』は、独学の必須本として、Amazonでベストセラーとなっています。
日本語教育能力検定試験に多くの合格者を輩出しているヒューマンアカデミー。
幅広い試験分野を1冊で学習できるように、内容を厳選してわかりやすく解説されているので、日本語教育能力検定試験に絶対合格したい人におすすめです。
引用ーーー
”赤本と言われるこの本は日本語教育能力試験を目指す人なら
誰でも持っている教材だと思います。”
こちらもヒューマンアカデミーから出版されている良書です。
勉強をスタートしたときにつまづくのが、試験勉強に出てくる専門用語です。
そもそもの言葉の意味がわからず、勉強が進まないということも。
『日本語教育能力検定試験対策 50音順用語集』は、厳選された重要用語がわかりやすく説明されているので、わからない単語があれば辞書のように引いて調べることができます。
また、関連用語も掲載されているので、試験対策だけでなく、日本語教師として仕事を始めてからも役に立ちます。
資格試験の直前には、この用語集で記憶の定着を確認しておくと効率的です。
『完全攻略ガイド』と『日本語教育能力検定試験対策 50音順用語集』で、内容を理解できたら、過去問に取り組みましょう。
”過去問を解くことは、日本語教師養成講座を受講している人でも、独学で勉強している人でも、すべての受験生に必須だと思われます。初めの検定試験の傾向の探りと、最後の詰めは過去問がないとできません。最低でも3年分くらいあると繰り返し解けるのでいいでしょう。
ヒューマンアカデミーの「合格問題集」は解説がついていたので、一つ一つ解説を読みながら、攻略ガイドの該当ページを探して熟読しました。”
「jegs international:12冊の独学で合格した方法(日本語教育能力検定試験)」より
資格取得に向けて、まずは教材を揃えるところから。
オンライン通販でも教材を揃えることができますので、人気の教材や売れ筋の本を探してみましょう。
「Amazon:日本語教育能力検定試験 の 売れ筋ランキング」
外国人学習者が使う教材
日本語教育の現場でいう「教材」とは、日本語を勉強する外国人学習が授業や勉強で使うもののことです。
教科書が代表的ですが、教科書以外にもさまざまな教材があります。
■「話す」ための教材
外国人学習者の会話習得におすすめなのが、『わたしのにほんご』です。
日本語教育の本質は、日本語を使ってコミュニケーションをとることです。
会話ができるというのは、学習者にとっても学習意欲が高まる経験です。
わかりやすい教材があれば、会話の習得に役立ちます。
”初級のうちから学習者の感情や経験を話せるように工夫された本です。
学習者も日本語を使って話せることを実感できるので、まだあまり文型を学習していなくても、ぜひ使いたい一冊です。”
「現役日本語教師×新米主婦:日本語教師におすすめの本|文法書・初級・中級・JLPT・ビジネスなど」
■教科書
日本語学校の初級では、それぞれ指定の教科書を用いて授業を進めることが多いので、日本語教師が教科書を選定する機会は少ないでしょう。
しかし、上級やビジネスに特化したクラス、個別のオンライン授業などでは、日本語教師が教科書を選定する必要があります。
よく使用されている教科書の代表例としては、
教えるべき項目を文型で提示したシラバス『みんなの日本語 初級I』
学習者コミュニケーションをする必要がある「場面」を集めて作成したシラバス『はじめよう日本語初級1』
学習者の学習目的になっている話題を集めて編成したシラバス『J.Bridge for Beginners vol.2』
目的を達成するために必要な課題を編成したシラバス『まるごと・日本のことばと文化 (入門A1)かつどう』
などがあります。
■補助教材
実際の授業は教科書だけでなく、補助教材も使用します。
教科書の文字だけでは理解しづらい部分を補うために、場面が想像しやすい「絵カード」がよく使われます。
上記の『みんなの日本語』の補助教材には『絵教材CD–ROMブック』があります。
教科書は多数出版されていますが、どの教科書にも基本的に副教材があり、教科書と合わせて使用できるようになっています。
■辞典
「文型」は概念のため、今までは辞書で引くことができませんでした。
しかし『教師と学習者のための 日本語文型辞典』では、文型を意味・機能・用法の形式として分類し、辞書のように検索できるよう構成されています。
豊富な例文を用いて丁寧に解説されており、日本語教育の書籍でベストセラーの辞典となっています。
”中級レベル以上の文型3000項目の表現を収録。日本語能力試験1・2級レベルの出題基準サンプルに加え、新聞・雑誌・小説・シナリオなど、実際に使われている日本語からも広く収集。文型を文や節の意味・機能・用法にかかわる形式という広い枠組みで捉え、それらが場面や文脈の中でどのように使われるのか分かるように記述されています。”
「Coto World Inc:日本語教育のプロが教える!日本語教師必携の参考書・辞典、4選!」
教科書、補助教材、辞典といった学習者向けの教材をご紹介しました。
学習者のレベルに合った教材を選定するのも、日本語教師の大切な仕事です。
新しい教材も随時出版されているので、ぜひチェックしておきましょう。
“そして、教材を選ぶ際に最も重要なのは、学生のレベルと学習目的にあったものを選ぶことです。
しかし、専任やレベル担当になると、よりよい教科書はないか他の教科書を見て教材研究を行い、新たに教科書を選定することもあります。
また、プライベートレッスンでは教師が学生に合わせたレベルの教科書を選ぶ場合もありますから、どんな先生でも、ある程度教科書選定に関わる知識は必要です。
学生の目標やレベルなどからシラバスデザインを行い、教材を考えられるよう準備しておきましょう!”
「日本語教師キャリア:日本語の教材って? 教科書選びのポイントやオンラインでも使える教材について紹介!」より
日本語教師の参考書としての教材
■『日本語の教え方ABC―「どうやって教える?」にお答えします』
いざ授業を受け持つ段階になって、新米の日本語教師が戸惑うのは「教え方がわからない」ということです。
資格試験に合格し日本語教育に関する知識は十分でも、それを使いこなすには実践経験が必要。
そんな時は、「教え方」についての疑問を解決してくれる教材を活用しましょう。
”タイトル通り、どうやって教える?に答えてくれる本。文型ごとではなく「推量」「様態」などのようにそれぞれ分かれており、推量では「ようです」「らしいです」「はずです」などが扱われ、それぞれの比較、説明、例文などを絵などを使って解説している。
豊富なアクティビティも紹介しており、巻末にはそれに使う絵が載せてある。拡大して学生に配ったり、教師が手に持って使用できる。
とりあえず初級を初めて持つ先生は何をしたらいいのかわからないので、これを参考にしてもいい。”
例文が欲しいのならハンドブックなどで十分ですが、学習者からので「なんで?」に答えるには、この辞典がとても役に立ちます。
例文が豊富で、微妙な使い分けも詳しく解説されています。
学習者が理解しやすい例文を提示するには、この辞典であらかじめ例文や答えをストックしておくと良いでしょう。
引用ーーー
”非常に詳しい言葉と文型の解説と、そして実に豊富な例文が載っており、どの参考書を調べても、ネットで検索しても、出てこないものは最終的にこれを見れば解決することも多い。似ている言葉との比較もあり、非常に助かる。”
外国人学習者にとって、日本語の文法は難解です。
初級で学ぶ文法項目の20のポイントがまとめられている『短期集中初級日本語文法総まとめポイント20』は、参考書と問題集が一緒になっています。
授業の導入になりそうな例文やイラストが充実しているので、板書の参考にも役立ちます。
”初級の内容を全部カバーしているわけではないですが、学習者が混乱しやすい20の項目だけがピックアップされているので、みん日の練習Bや文型練習帳に加え、ここから練習を抜粋して用意してもいいでしょう。”
「日本語教師は見た!:初心者におススメ!日本語を教えるための参考書5冊」より
■『新人日本語教師のためのお助け便利帖』/『新人日本語教師のための授業づくり練習帖』
毎日の授業は、失敗と改善の繰り返しです。
日本語教師になりたてのころは、授業の時間配分、語彙の説明、テストの作り方、学習者からの質問に答えられないなど、さまざまな悩みが発生します。
この2冊には、新米日本語教師が直面する問題を解消するためのアドバイスが詰まっています。
“日本語教師は日々の経験と内省の積み重ねで指導がうまくなっていく仕事ですが、初めのうちは経験も日本語の知識も不足しているのでとにかく大変です。
そんなときにこの2冊がお守りのような存在になってくれるので、これから日本語教師を始めようと思っている方、もしくはすでに日本語教師として働き始めている方に是非おすすめしたいです。”
「koguma:これから日本語教師を始める人におすすめしたい参考書、教科書を紹介!」
教科書と合わせて、教え方の手引などを参考ししている日本語教師の方も多いでしょう。
しかし、「教え方の手引を参考にしても、どうやって授業をすればいいかわからない」ということもあります。
『日本語授業の進め方 生中継』は、初級の指導に必要不可欠の文型指導が23個の授業にまとめられています。
一部のトピックは実際の授業の様子を動画で見ることができ、時間をかけずに具体的な授業の流れを理解できる一冊となっています。
”本書は日本語教師25年以上のベテラン講師の生授業を取材したもので、教え方が授業の流れなどが紹介されています。
写真もたくさんあり、授業のテクニックなども書いてあるので、特に経験の浅い先生には役に立つと思います。”
指導方法のスキルアップに使える一冊。
各文型を解説するときにどういう絵が効果的なのかという観点から書かれた、実用的な本です。
日本語がわからない人に日本語を教えるときは絵カードが効果的ですが、会話の途中などで、すぐに絵カードのような教材を出すことができない場面も多くあります。
そうした場合に簡単なイラストがかければ、指導もコミュニケーションもスムーズになります。
絵心がなくても相手にわかりやすいイラストの書き方とその使い方が載っているので、読んですぐ、毎日の授業に活用できます。
東京外国語大学の推薦図書にもなっているほど、評価の高い良書です。
”「ドアが開いている」と「ドアが開けてある」の違いを絵で描き表わせるか。直接教授法で必須となる、絵による技法へのヒントがたくさんつまっている。”
「東京外国語大学日本課程推薦図書リスト・ 日本語教育学」より
まとめ
資格試験のための教材、学習者のための教材、日本語教師の教材の、それぞれのおすすめをご紹介しました。
日本語教師としての自身のレベルや学習者のレベル、学校での授業やオンラインでの授業と、日本語教師が必要とする教材はそのシーンによって多岐に渡ります。
もし何か探している教材や参考書があれば、「日本語教師読本Wiki:教師向けの本」が便利です。
定番の書籍から、新米教師向けの本、文法に特化したものや授業のアイデア集など、いますぐ参考になる書籍を調べることができます。
今回ご紹介した教材以外にもさまざまな書籍が発行されているので、ぜひ日々の日本語教育に役立ててください。