2022/10/13/
将来性
「日本語教師」という職業に将来性はあるか?
〜 将来性がない、と言われるのはどうして? 〜 そもそも、なぜ日本語教師は将来性がない、と言われてしまうのでしょうか。教職全体の問題として、給料が比較的低い・労働時間が増えがち、といった欠点はあるかもしれません。ただしそれですぐに将来性がない、ということになるかどうかはまた別の話です。 日本語教師に将来性がないと言われるのは、「アジアにしか需要がない」「学習者の数は今が頂点」という理由が主です。 もちろんアジア圏以外、例えば欧米にも日本語学習者はいます。ただし、そうした学習者たちは往々にして趣味で日本語を学んでいる人たちであり、日本語教師が安泰だというほどの需要は見込めません。 また、国内の日本語学習者の数、これは国内における日本語教師の需要と読み替えることも可能ですが、こちらも現在に向けて増加傾向にあるものの、今がピークであり、この先は減っていくものと予想されています。この増加は日本に興味を持っている人が増えたというよりも、入国制限などに関する手続きの問題であり、今後も増えていくことは期待できない、ということです。 日本語教師の将来性への不安について、詳しくはこちらの記事「今後、日本語教師の需要と将来性がある国 | JEGS」も合わせてご覧ください。 ~ 将来性はある! その1 ~ しかし、日本語教師に将来性はあります! なぜならば、報道発表資料にもあるように日本という国が、他国から人を大歓迎で迎え続けているからです。これは将来そうなるというお話ではありません。既に、日本は国の方針としてそちらに舵をきっていますし、(コロナウィルスの出現で不透明ではあるものの)それがそのまま続いていく流れにあります。 そして、日本語教師を必要とする方、つまり学習者は日本在住とは限らないこともプラス要素です。教師自身が他の国にいて、そこで教えるパターンも多いです。日本で働くことを目指す海外の方たちが、現地で日本語を学ぶための教育機関は多く存在します。さらには、日本にいながらでも日本語教師の活躍の場はあります。オンラインレッスンが、既に普及しています。これについては、テクノロジーの進化とともにさらに伸びていってもおかしくないと思います。伸びしろ十分です。 アフターコロナの日本語教師について、下記リンク先でも詳しく記載があるので、ご確認頂ければと思います。 アフターコロナで日本語教育業界がどうなっているか? また、こちらの記事【日本語教師の需要】コロナ後の日本語教育業界はどうなる? 国内外の就職についても解説 でも、アフターコロナの日本語教師の授業について紹介されています。日々刻々と変化するコロナ情勢をなるべく確実にキャッチして、日本語教師としてどう生きて行くか対応を考えましょう。 コロナ禍の影響はあくまで短期的な要素であり、10年、20年と長い目で見れば日本語教師の需要は増加しています。こちらの記事 日本語教師は需要ないって本当? 現役日本語教師が本音で解説 では、外国人受け入れ増加による日本語教師の需要急増について詳しく確認できます。本ページと合わせてご覧ください。 ~ 将来性はある! その2 ~ 私が日本語教師に将来性を感じる部分をもう1点挙げるならば、働き盛りの若者の中に日本語教師で生計を立てようとする人が少ないがゆえに、競争が激しくない点です。まず、一般的な認知度があまり高くないのです。子どもが日本で公教育を受けていく過程の中で、日本語教師の仕事がクローズアップされたり、その周辺について触れることは多くないと思います。加えて、この業界との接点が少ない人にとって、日本語教師という仕事は専門性を感じられない職業ではないかと考えます。日本語母語話者だったら誰でもできるのではないかと考える人がけっこう多い印象です。なぜ、一般的な認知度が低かったり、専門性を感じられないということが将来性の高さに結びつくのか。 認知度の高い職業 × 専門性が高い(ようにみえるもの含む) = 目指す人が多い職業 これらのことを踏まえると、前述の計算式とは反対で認知度が低く、専門性が低いようにみえる日本語教師はそれほど競争の激しいフィールドではないと考えられます。 ※もちろん、顧客の奪い合いと言う意味での競争はあります。 ※そして、日本語教師は専門性があります。 ※得意とする専門分野を持つことで日本語教師として有利に戦える、という事情もあります。特に長期的な需要を見込みたい方にとっては、専門性を高めることは避けては通れない道でしょう。詳しくはリンク先の記事をご参照ください。日本語教師の需要と将来性について しっかり学校などで日本語教師を学ぶのであれば「スタディサプリ」などの学校探しの媒体から探してみてください。勉強せずに飛び込むと痛い目を見ます。 ~ 将来性はある! その3 ~ その2で話したことと重なりますが、競争の激しくない理由として、日本語教師という職業は平均年齢が高いという部分についてもお話しましょう。日本語教師という職業は常勤としての枠は少ないです。非常勤講師でかけもちをする、副業としてやる、フリーランスとして働くうちの1種類と捉える。これらのようなスタンスの方であれば枠は十分あります。これだけで、もうわかりましたよね? 「日本語教師6年目の方が、収入面で将来性を語る」にも書いてありますが、安定した収入を1つの職場だけでかなえようとするとき、日本語教師はあまり向いてはいません。そのため、安定志向の強い20代や30代の若者が選ぶ職業ではないのです。 日本はこれからどんどん他国の方を受け入れていく流れがあるが、その流れにあっても職業として日本語教師を目指す人はあまり多くない。これは、将来性がありそうではないですか? そもそも、日本語教師の資格を取得しても、結局その仕事をしない方が多い。私自身がそうです。資格を取得してから10年弱は全くの別業界で会社員をしていました。そういう話は同業者の皆さんに多い話です。あるあるなのです。 ~ 日本語教師の今 ~ 日本語教師の将来性を考えるためには、現在日本語教師にはどのような職場があるのかを整理した方がいいですね。 ユーキャンなどにもコラム(日本語教師の需要は?今後の見通しと、国内外での就職について詳しく解説)の記載がありますが、サラッと挙げられるものをいくつか紹介します。 まず、日本語教師の現場とはどこか? 一番わかりやすいのは日本語学校です。留学生を受け入れている代表的な教育機関です。当然、コロナウィルスによる影響を強く受けているところです。なにせ、その時々の感染状況や国としての対策によって入国ができなくなってしまうのですから。日本語学校の入学タイミングは、おおよそ4月・7月・10月・1月の4期、もしくは4月・10月の2期のどちらかです。 次に、大学や専門学校も挙げられます。そして、こちらも影響の大小はあるものの、日本語学校と近しい状況にあります。ただ、日本語学校と違うのが、コロナ以前に日本に留学してきた方々の進学先として機能していることです。日本語学校で1年~2年間学んだ後、次にこの2種類の教育機関に進むパターンが多いのです。しかしながら、日本語学校で留学生が思うように受け入れられなくなってしまえば時間差でこちらにも、、、という状況。 まだ他にもあります。技能実習生に日本語講習を行う場合にも、日本語教師は活躍します。技能実習生には働いてもらう以前に日本語の講習をしなければいけないからです。これについては、日本語学校などの教育機関に比べれば求人数は少ないのですが、求人サイトやハローワークをこまめにチェックしていると募集が出ていることもありますね。 そして、紹介しないわけにはいかない、個人レッスン。1対1もあれば、1対複数もあります。対面もあれば、最近はオンラインの希望者数に勢いを感じます。オンラインであれば場所を問いませんからね。どうやって学習者とつながり、依頼を受けられるかという点に関してですが、2パターン紹介します。オンラインプラットフォームに登録するか、仲介企業に登録するか、このどちらかがスタートには適しています(というか、楽です)。前者については、インターネット上で学習希望者と講師のどちらも登録を受け付けているウェブサイトがあります。学習者に見つけてもらえて、トライアルレッスンも気に入ってもらえれば、マッチング成立、というような流れが一般的かと思います。後者は、外国語講師派遣ビジネスを展開する企業の登録講師になるということです。基本的にどちらのパターンを選んでも中間マージン(手数料)は取られますが、とにかく経験を得たい、実績を積みたいという方にはうってつけです。 日本語教師のフィールドはもっと広いのですが、比較的始めやすいところを選びました。将来性という点で、個人レッスンはオススメです。特に、人とのコミュニケーションが好きだったり、相手に合わせて臨機応変に対応を変えることが得意な方には ◎ です。 ~ 日本語教師のこれから 民間資格から、国家資格へ? ~ 日本語教師資格が国家資格になる可能性がとても高いです! これはもうご存知の人も多いかもしれません。現在、「公認日本語教師」という名前の国家資格を新設すべく、文化庁主体で有識者会議が定期的に実施されています。 そう、日本語教師は国家資格ではありませんでした。では、そもそも日本語教師の資格って何か?何か取得したり、条件ってあるのか?以下、ご参照ください。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ◆四大卒+文化庁届出受理の日本語教師養成420時間講座を修了 ◆日本語教育能力検定試験に合格 ◆大学または大学院で日本語教育を主/副専攻(45単位/26単位) 以上のいずれかを満たす ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ こちらは法務省告示機関と認められている日本語教育機関で勤務する場合の条件です。しかしながら、実はこの条件は色々な日本語教師求人においてよく使われています。日本語教師としてある程度稼ぎたいとお考えであれば、前述の3つのいずれかは取得しておくことをオススメします。 さて、話を戻します。日本語教師の将来性を考える上で無視できない国家資格化。なぜ、日本の偉い方々が日本語教師という職業を国家資格にしようとしているのか。この点を整理しておきましょう。 平成23年の東日本大震災の後に一度在留外国人の数は減少したものの、数年を経て再度増加へと転じました。再度、コロナウィルスの影響で減少したとはいえ、令和2年末現在の在留外国人は 2,887,116人 です。10年前の平成22年時点で2,047,349人と比較して約84万人増、どんどん増えています。 もちろん、これは自然に、何もしていないのに増えている、、、のではありません。 日本人なら嫌でもよく聞くワード「少子高齢化」。令和3年1月に総務省が発表した人口推計をみると、日本人の総人口のうち65歳以上の割合は約29%。きっと、この割合はさらに増していくでしょう。日本国内のお仕事は、日本人だけでまわしていくことは現実的でないということです。「日本で働きたい!」と思ってくれる外国籍の方がいれば、(日本のルールを守ってくれるならば)喜んでお越しいただく。日本という国がそのような体制をとっているのだから、在留外国人は増えています。コロナウィルスの問題が落ち着いていけば、再度増加傾向に転じる可能性が圧倒的に高いでしょう。 日本語教師の需要について、具体的に知りたいならこちら! 将来的に国家資格になる可能性があるとはいえ、現状は日本語教師の資格は民間資格です。現在、日本語教師の資格を持つ人がどのように働いているのか? どんな人が資格を持っているのか? 詳しく知りたい場合にはこちらの記事をご参照ください。