日付2022/07/21

やりがい

「日本語教師」という仕事の魅力あれこれ

◇魅力 その1◇ 年齢制限なし! 何歳からでもスタートできる仕事

~ 日本語教師を名乗るには? ~

魅力についてお話しするよりも先に、日本語教師になるためのお話から。

日本語教師を名乗る際に“絶対に”必要なものはありません。

「英語はできなくていいの?」「中国語は?」「フランス語は?」

「教師免許は?」「特殊なトレーニングを受けなきゃいけない?」

これらは、必要なこともあるでしょうけれど、なくてもOKです。

「日本語を教えてください」と依頼され、実際に教えた瞬間から日本語教師です。しかし、日本語教師という仕事とセットで思い浮かべられるものといえば、<日本語学校>。日本語学校で教えたいとなれば、話は別です。以下の条件のうち、いずれかを満たすことが必要となります。

 

◆四大卒+文化庁届出受理の日本語教師養成420時間講座を修了

◆日本語教育能力検定試験に合格

◆大学または大学院で日本語教育を主/副専攻(45単位/26単位)

※この条件は、《法務省告示機関》で勤務する場合のみです。

https://www.jegsi.com/jlt/kokujikou

↑「法務省告示校で日本語教師になるには」が、とってもわかりやすく書いています。

 条件を満たしていれば、あとは就職活動するのみです。常勤に絞ってしまえば厳しくなりますが、非常勤でも良ければ(時期にもよりますが)求人も多く出ています。[ 日本語教師デビューは非常勤講師から ] という人はとても多いです。非常勤であれば、採用側にとっても敷居が低いですしね。その点も、魅力の一つかと思います。

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~ 日本語教師の職場は、学校だけ? ~

いいえ、もちろん学校だけではありません。

ここ最近、日本語教師が活躍しているフィールドとして<オンライン>が挙げられます。新型コロナウィルスの流行により、もはや前述の日本語学校などの教育機関でもオンラインで授業ができるスキルは求められています。

一口に<オンライン>と言っても幅広くやり方はありますが、ここでお話ししたいのは主に<オンライン個別レッスン>です。自ら生徒を見つけ、単価交渉や集金方法の決定・準備などを単独で行うのは難しいと思います。しかし、日本語教育を提供している企業(や、WEBサイト)に講師登録することで、手間は圧倒的に減ります。一概には言えませんが、日本語学校に職員として採用されることと比べると、オンラインで個別レッスンを受注することは敷居が低いかと思います。

そして、<オンライン>の最大の魅力は場所を選ばないことですよね。島国である日本に住んでいながら、世界中の人とつながれる。

~ 50代や60代のルーキー、います! ~

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そして、なんといっても今回一番強調してお伝えしたい魅力ポイントが、デビューの年齢です!他のお仕事に比べて、年齢を重ねてから始めた方がとても多いです。50代や60代で日本語教師デビューしたという事例、本当に多いんです。以前、私が勤務していた日本語学校では、20~30代の教師は少なかったです。

日本語学校の主任・校長先生に、日本語教師を採用する際の条件を伺ったことが何度となくあるのですが、よく挙げられるのが「(日本語教育現場以外の)社会経験がある人」です。専門領域以外においても経験豊富な方を、喜んで採用する学校は多いように感じます。これについては、私がもし日本語学校の校長や主任をやるとしても、同じように考えると思います。

 年齢を理由にあきらめざるを得ない仕事はたくさんあると思いますが、その点、日本語教師はとても魅力的です。何度でも言います。50代や60代のルーキー、います!!!

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~ ライフステージに合わせた働き方 ~
 

 ある程度年齢を重ねても働ける、というだけでなく、日本語教師はフルタイム週5勤務の仕事が難しい方にもおすすめの職といえます。年齢制限がなく、また常勤でなければ一日一コマ(多くの場合40分~90分ほど)、週2~3日ほどの条件で勤務可能な職場が多いからです。

 男性であっても女性であっても、家族が増えたり、あるいは状況が変わったりして、フルタイムの勤務が難しくなることはあり得るでしょう。そんなときでも日本語教師は選択氏の一つとして選べる職です。日本語教師になるには? 資格は必要? 仕事内容や講座情報もご紹介! では、実際に二人のお子さんをもちながら日本語教師として働く方の声を聞くことが出来ます。確認してみてください!

 

~ 日本語教師へのメインルートの1つ、「養成講座」 ~

この、<何歳からでもスタートできる!> という魅力を伝えるにあたって、知っていただきたいものが「日本語教師養成講座」です。

https://www.zenyoukyou.jp/japanese-teacher/

↑一般社団法人全国日本語教師養成協議会のウェブサイト

日本語教師になるためのメインルートの一つ、養成講座について詳しくわかります!

こちらも要チェックな、魅力的なウェブサイト!

 私自身、養成講座は通っていません(笑)。ですが、前職の同僚や、同業の知り合いの多くは養成講座出身者です。

https://www.kcpyosei.com/teacher/

https://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1450/column/column01.html

↑今すぐ、日本語教師養成講座の内容を知りたい方はどうぞ!

 通っていない私から見た、養成講座に通うメリットや魅力は・・・

 続けやすい! これが1番ではないかと考えています。というのも、日本語教師の資格として【日本語教育能力検定試験】というものがあるのですが、試験は年に1回です。そして、試験範囲が広いです。また、この試験は実技を含んでおらず、完全なペーパーテスト。つまり、採用現場的には《単なる知識だけ詰め込んできた人》に見えてしまうおそれがあります(これは、私の経験談です)。

 その点、養成講座はカリキュラムがしっかり構築されていて、ある程度受け身なままでも学びを進められます。そして、講座のスケジュール後半においては模擬授業の場が設けられています。これが何といっても大きいのです。たかが模擬授業、されど模擬授業です!本当に本当に、これが重要なのです。私が養成講座に対して感じる魅力の95%がこの部分です。※あとの5%は、教案づくりが学べる点です。

◇魅力 その2◇ 言語を教えるだけじゃない! 深くやりがいのある仕事内容 

~ 日本語教師に必要な、専門外の経験値 ~

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 なぜ、日本語学校を運営する立場にある方々にとって、社会経験が魅力があるように映るのか。

私が以前働いていた日本語学校に、大学卒業後にすぐ日本語教師になった方がいました。もちろん、その方はとても優秀でしたし、他業種の経験値がなくとも十分魅力的な人物でした。企業において若手というのは、伸びしろの面で考えても、いるだけで魅力的ですしね。仕事を覚えるスピードも、徐々に速くなっていくものと思います。

しかしながら、日本語教師という仕事の特殊性の一つに、「常に付きまとう想定外・予想外」があります。これを否定する日本語教師の方は、まずいないのではと思います。何せ、学生は異国から来ているのですから。育った環境が違います。文化、ルール、性質、善悪の基準、学習態度、、、挙げればキリがありません。そのため、授業中でも授業外でも、とにかく思いもよらない行動や言動に直面します。そういう場面において、人生の経験値が間違いなく効いてきます。

働いていれば、トラブルの1つや2つ、10個や100個、日常的に発生するはずです。仕事の中でトラブル対処、トラブル回避を何度も経験していけば、想定外・予想外に対しての対応方法も自然と身につくかと思います。若い方であっても、そういった能力を仕事以外の場面で身につけている方もいらっしゃるでしょう。とはいえ、やはり長年の仕事経験は素晴らしいものだと思います。

「ここは日本だ!日本のやり方に全て従え!」と、言うべき場面もあるかもしれませんが、少々乱暴すぎます。ある意味、日本語教師という存在が、学生(多くは留学生)にとっての日本の窓口です。日本の魅力があるか、魅力がないかは、日本語教師の肩にかかっています!・・・ちょっと、大げさな話をしてしまいました(笑)。

~ 教える能力さえあればいいのか? ~

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私自身、(日本語教育現場とは全く無縁の)企業での勤務経験を経て、日本語学校に就職しました。私が、企業勤めを経験していて良かったなと感じた場面は、学校内の他の講師陣や事務の皆さんとのやり取りの時です。他者と関わらずに仕事をすすめられる、そういうお仕事もあるのでしょうが、日本語学校では難しいです。特に、常勤職員となれば、学校内の色々なポジションの方と接する必要があります。これは、なかなかどうして一筋縄ではいきません。

[ 摩擦を生まない依頼の仕方 ]、[ 角が立たない依頼の断り方 ]、[ 根回しの重要性 ]などなど。何を古い話をしているんだと思った方もいるかもしれません。しかし、前述のようなことはとても重要であると、私は思います。自らの仕事を円滑に進める上で、避けて通れないと。

私は非常勤としてではなく、常勤でデビューしました。すると、周囲には日本語教師の大ベテランな非常勤講師の方々がたくさんいらっしゃいました。常勤か非常勤か、これは待遇の面などで違いがあります。当然のことです。そういったセンシティブな面を理解していないと、ふとした一言や、何気ない行動・言動で知らず知らずのうちに“見えない壁”を作ってしまうことがあります。

 

~ 世界を広げる?! 日本語教師の仕事 ~

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また、カリキュラムを超えた知識を身に付けることは、ご自身の成長にも繋がります。「日本語教師のやりがいを聞いてみよう」でも、「刺激ある環境」「世界中で働くことができるという可能性」などをやりがいに挙げる人がいます。

日本語教師ってどんな仕事?第8回 日本語教師の魅力って?~その1~」で見ることが出来るように、「世界を肌で感じる」「人と人とのつながり・絆」を魅力に感じる人も多いようです。

日本語教師が相手にする生徒たちは、各国からあつまった海外の学生です。日本語や日本の文化を一方的に教えるだけでなく、生徒たちから各国の文化を教わったり、彼ら彼女らの経験に刺激されたりすることもあるでしょう。「日本語教師のやりがい・楽しさ・魅力」でも、生徒から学ぶこと、生徒とのコミュニケーションの中で気が付くことがたくさんあると述べられています。

日本語教師はそうした生徒たちとの出会いの機会に満ちた職であり、日本語学校は異文化交流の貴重な場であるということができるでしょう。異なる人と人の出会いや、それを通した成長を求める人にとって、日本語教師は大変魅力のある仕事です。
 

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〜 世界で働く! 海外の日本語教師 〜

 日本にやってくる海外の生徒と関わるだけでなく、海外で日本語を学びたい生徒に日本語を教えるのも日本語教師の仕事の一つです。異文化の只中に身を置いて日本語を教える環境は、とても刺激的でしょう。

 「日本語教師の魅力とは?やりがいや楽しさ、将来性」によれば、台湾、タイ・ベトナムなどのアジア諸国では日本語教師の需要が高く、求人も多くあるようです。海外で働く場合には国内で働く場合とは違い、英語力が必要になる場合が多いでしょう。

 逆にいうと、そのあたりのことさえクリアしてしまえば日本語教師として海外で働くことに問題はありません。異邦の地においても、「日本語教師」という、同じ言語や文化を共有する人たちのコミュニティに参加することが容易であるため、海外で働くことに憧れている人に向いているということができるでしょう。

 また、海外での日本語教育は学生向けのものだけでなく、社会人向けの講習やNPO法人でのボランティアなど多岐に渡ります。生計を立てるための職、としての日本語教師だけでなく、リタイア後の生きがいとして、あるいは自分自身の経験を積むための職として日本語教師を捉えると、新たな魅力が見えてくるでしょう。

 海外で働く日本語教師について、詳しくは「日本語教師 | 大原の仕事&資格ナビ」や「日本語教師の仕事内容とは?  やりがいや魅力について解説」も合わせてご確認ください。

 

◇魅力 その3◇ 需要増?! 将来性のある仕事! 

〜 未来につながる仕事 〜

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 ここまで日本語教師の魅力をお伝えしてきましたが、今から日本語教師になることは現実的なのでしょうか。現在コロナ禍の影響で留学生の入国がストップしたり、一時的に減少したりしています。このことを考慮して、日本語教師の将来について心配してしまう人もいるでしょう。

 しかし心配ありません! 日本語教師は将来性が高く、一定の需要が見込まれる仕事なのです!

 たしかにコロナ禍の影響を受け、一時的に日本語教師の求人がストップしたことはあります。しかし、長期的にみてみれば、日本にやってくる留学生の数は年々増えており、コロナ禍による一時的な影響を除けば増加傾向にあるのです。

 学生の増加傾向について、詳しくは「日本語教師になるには?仕事内容や働き方、資格取得方法について解説!」でも紹介されています。

 また、留学生の数だけでなく、世界的な潮流も日本語教師の需要増に利しています。全世界的にグローバル化が進み、各国の結びつきが強くなっていることは日頃のニュースなどを通じて皆さんも感じているのではないでしょうか。

 通信網や交通網の発達により世界がますます近くなっても、結局のところ人と人とのコミュニケーションには言語が不可欠です。「海外と日本を結ぶ」仕事の一つである日本語教師は安定した需要が見込まれるどころか、この先どんどん増加していくことが予想されるでしょう。

 前述したように、コロナ禍であってもオンライン環境が整えられ、日本語教師という職は保存されています。それほどまでに日本語教師は重要な職なのです。コロナ禍は日本語教師の現在に暗い影を落としているかもしれませんが、翻って、日本語教師という職の有用性を示したともいえるでしょう。


 

◇良いことばかりではない? 不安や疑問にお答え◇

 

 ここまで日本語教師の魅力についてお伝えしてきましたが、日本語教師を目指す人々が不安に思うこと、実際に働いている人たちが不満に思っていること、がないわけではありません。どんな仕事もそうでしょうが、日本語教師にもデメリットと呼ぶべきか、ディスアドバンテージになる点は存在します。以下で少しだけ取り上げます。

~ 日本語教師のお金事情 ~

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 突然ですが、日本語教師という仕事に関して、あるイメージが付きまとっています。それは、《稼げない仕事》。これについて、私個人としては80%ほど事実であると思っています。もっと具体的に言うならば、《稼ぐルートがそれほど多く用意されていない仕事》だと思います。というよりも、《稼ぐためにやっていない人がとても多い職業》なんだと思います。「最低年収○○〇万円なきゃ、ダメ!」という考え方を持っている方には、私はこの仕事をオススメできません。

※稼いでいる日本語教師の方はいます。あしからず。

〜 求人が不安定? 〜

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実はこの問題は、前述した「自由な働き方」というメリットとコインの裏表なのです。つまり、「自由に働ける反面、安定度が下がる」といった感じでしょうか。

 日本語教師の求人は、週5日フルタイムの常勤より圧倒的に非常勤が多く、またさらにそれよりも多くの割合をボランティアが占めています。「日本語教師になるには・仕事内容と全国の求人|スタンバイ」によれば、日本語教師の求人全体で60%ほどがボランティアにあたるようです。

 そのため、安定した職につきたい、長期的に働きたい、という場合には、日本語教師は希望にかなう職ではないかもしれません。

 しかし、もちろん日本語教師であっても長期的なキャリア形成が不可能というわけではありません。常勤の枠は存在しますし、現場での主任ともなればそれなりの給料も見込めるでしょう。長期的に考えるなら、まずはボランティアや非常勤講師として経験を積み、転職や昇格を目指すと良いです。

 実際、多くの日本語教師(常勤)の求人は必須要件か歓迎要件のどちらかに日本語教師としての実務経験を挙げています。「社会経験が求められる」と前述しましたが、日本語教師としての経験であっても、当然積んでいる方が重宝されるでしょう。

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