日付2022/08/02

独学

日本語教師の資格試験|独学で合格できる?

モチベーションを一定に保てれば大丈夫

日本語教師の資格とは

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基本的に日本語教師になるための資格は特に必要なわけではありません。自宅で日本語の個人レッスンによって、日本語を教えている人もいらっしゃるでしょう。しかし国内外で日本語学校に就職をしようとした場合には、日本語スキルがどの程度なのかを証明することが必要です。

 

以下のような試験や講座で、スキルを証明でき仕事を獲得しやすくなります。

 

 

検定試験は日本語教育能力検定試験と全養協日本語教師検定の2種類がありますが、全養協の試験は『日本語教師の実践力』を測る試験です。そのためまず日本語教師になるためには

日本語教育能力検定試験の合格を目指すということになります。

日本語教育能力検定試験の概要

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日本語教育能力検定試験は、公益財団法人『日本国際教育支援協会』が運営しています。日本語の文法や話し方だけではなく、社会や文化まで幅広い出題がされるので計画的な準備が必要です。

受験資格

日本語教育能力検定試験は受験資格は特になく、どなたでも受験できます。『にほんごの凡人社』が発行している各年度の『日本語教育能力検定試験 受験案内』に添付している出願書類を利用してください。受験できる条件はこの受験案内を購入することのみです。

出願(試験の申し込み)

出願期間は、2021年の場合は7月5日(月)~8月2日(月)でした。基本的にこの時期の月曜〜月曜の4週間です。

出願に必要なもの

願書:『日本語教育能力検定試験 受験案内』に添付された書類

受験料:14,500円(税込、2021年の場合)添付された振替振込用紙を利用して支払い

出願:公益財団法人 日本国際教育支援協会に提出

 

試験日は年に1度1日のみです。2021年は10月24日日曜日でした。

試験会場

試験会場は北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、九州にそれぞれ1〜3カ所です。ご自宅から遠い可能性もあるので調べておきましょう。

試験形式

  • 試験Ⅰ :90分 100点 日本語教育の基礎的な知識
  • 試験Ⅱ: 30分 40点 音声を媒体とした出題形式
  • 試験Ⅲ: 120分 100点 現場対応能力を測定

以上の3種類の試験は、間に休憩を挟んで1日で終了します。試験Ⅰと試験Ⅱは、全問マークシート方式、試験Ⅲは、マークシート方式と一部記述式で実施されます。

 

独学で勉強するメリット・デメリット

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独学で勉強するメリット・デメリットを見ていきます。性格にもよるのでご自分に合うかどうかを判断する目安にしてください。

 

日本語教師の資格を独学で取得するメリット

 

  • 自分のペースで勉強ができる
  • 受講料を倹約できる
  • 通学の時間やお金を倹約できる

 

受講料は一般的に40~50万円くらいです。参考書などテキストは、2,000円前後ですから自分でテキストを購入して勉強した方が節約になるでしょう。

また時間配分も自分のペースでできるので、仕事やその他のことを犠牲にする必要がありません。生活のリズムを変えることなく、勉強ができることが大きなメリットでしょう。

 

日本語教師の資格を独学で取得するデメリット

 

  • 自分ですべて用意する必要がある
  • わからないことを質問できない
  • 実践力がつかない
  • モチベーションが続かない

 

何を勉強しなくてはならないか、試験の傾向、テキストの選択などを全部自分で解決していかなくてはいけません。また試験に新たな条件が出てくることもあり、そのような情報を自分で見つけ出す必要があります。

勉強をしていて分からない時に、テキストを上から下までじっくり探して、それでも理解できないこともあるでしょう。受講していればすぐに質問して解決できることもあるので時間が無駄になってしまう可能性があります。無駄に時間を費やすと敗北感を感じてしまう人も。

そういった気持ちはモチベーションにも影響してしまいます。独学での受験を成功させるためにはモチベーションを保ち続けることが大切です。途中で諦めないように、ネットなどを上手に利用して問題を解決します。そのときわからなくても、毎日勉強しているとわかるようになってくることもあるので、あまり一つのことにこだわらないことも大切です。

また学校に通って講座を受講していると実際に教える体験ができる模擬授業などで実践力をつけることもできます。日本語教師の資格を勝ち取ることだけが目的ではありません。独学で大丈夫かな?と迷いがある方は、具体的に仕事をすることも考えて決めてください。

 

独学で日本語教師の資格を取るためのポイント

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資格試験に合格するためには、用意をして計画を練る必要があります。次のようなプロセスでスケジュールを作成してください。

  • 試験までの期間を確認する
  • 試験の概要・全体像を最初に把握する
  • 試験日までの期間に合わせて勉強しなくてはいけないことを配分する
  • 基礎・基本を理解する
  • 過去問を解く
  • 傾向を知る

試験までの期間を確認する

 

まず、試験の用意にどのくらいの期間が必要なのかを考えましょう。

ネットで検索すると独学で合格した人たちの体験記があります。3ヵ月、4ヵ月、7ヵ月、10ヵ月などさまざまな準備期間でした人たちがいますが、ベースになる知識が人それぞれ異なるので、一概に独学によって3ヵ月で合格できるともできないとも言えません。

個人差はありますが、今まで日本語教育に関わったことのない人は、10ヵ月程度は必要でしょう。自分は何ヶ月の準備期間が必要なのかを正しく判断することが大切です。

日本語教師の資格を取ろうと決心した場合は、試験日までの月数を計算してスケジュールを立てて頑張っていきましょう。

 

試験の概要・全体像を最初に把握する

 

どのような試験が行われるのか、公式サイトや過去問題集で確認しましょう。出題範囲は公式サイトでpdfが用意されており細かい項目まで確認可能です。どのようなカテゴリーがあるのかを整理しておいて、過去問を解く際にどの項目の問題なのかをチェックすると傾向が見えてきます。

 

試験日までの期間に合わせて勉強しなくてはいけないことを配分する

 

試験日まで何ヵ月あるのかをまず確認し、3〜5区間に分けてそれぞれの区間で目標ややるべきことを設定します。試験間際の最後の1ヵ月は、全体の見直しと弱点克服にしておきます。

区間ごとに目標を立てると、モチベーションを保つためにも役立ちます。

基礎・基本を理解する

『日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド』や『日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識』『日本語教育能力検定試験に合格するための本』といった参考書をじっくり読んで基礎を知ることから始めます。合格した人が利用した参考書を参考にしてください。

最初はこれもこれもたくさん参考書を買ってしまいがちですが、多くて2冊を選んでじっくり読み込んでください。知らない言葉は用語集やネットで調べるようにして、読み進んでいきます。この段階では分からないことがあっても問題ありません。分からない点は付箋をつけるなどしおきましょう。

過去問を解く

基礎を参考書で一通り見た後に過去問や練習問題に挑戦しましょう。最初は全部間違ってしまっても気にしなくて大丈夫です。ほとんどの問題はマークシート式で選択肢ですが、意外と難しいことがわかるでしょう。

ただ答え合わせをするだけではなく、なぜそうなるのか考えたり例文を作成したりして問題を分析することが大切です。間違いがちな点はもう一度参考書に戻って、基礎をしっかり勉強し直します。

試験日が迫ってきたら、本当の試験のように時間を測りながら過去問を解いてみましょう。時間配分を考えることも、試験では大切なポイントです。

傾向を知る

時代と共に日本語教師検定試験の出題傾向は変わっています。日本語を学びたいと思っている人の傾向が変わっていることが一つの理由です。現在、地方の自治体にも外国人が多く住むようになりました。生活をする外国人が学ぶ日本語は、大学に入って勉強したい人や日本に興味があるという一時的な滞在者とは異なります。

また日本語教師資格による仕事は日本語教師だけではなく日本語コーディネーターなど生活する外国人を理解し支援する仕事も含まれるようになりました。

一般財団法人 自治体国際化協会が発行している『現場レポート』などにも目を通して試験の傾向を知ると共に、日本語教師という職業のあり方を考えていくことも大切です。

また2022年(令和4年度)より、日本語審議会が取りまとめたレポートをベースに出題範囲が変わるのでチェックをしておきましょう。

 

合格率はどのくらい?

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日本語教育能力検定試験を受けるにあたって気になるのは難易度です。合格率はどのくらいなのでしょうか?

 

主催しているの公式サイトでは受験者数と合格者数を1987年(昭和62年度)の第一回からグラフにしています。『日本語教育能力検定試験 応募者・全科目受験者・合格者数 推移』で見られます。

 

このグラフによると試験を実施し始めた頃はは合格率が20%を切っていましたが、ここ数年は28〜29%前後です。(申込者ではなく、実際に受験した人の数で計算しています)4人に1人以上が合格できるので、きちんと準備をすれば大丈夫といえるでしょう。試験の準備クラスを受講すると合格率が50%を超えると発表している学校もあります。

これは学校の授業が独学より優れているということではなく、学校に行くことで勉強するペースが保たれるためでしょう。自分でスケジュールをきちんと組んでモチベーションを維持しながら勉強できる人なら、学校に行っている場合と同様に可能性があります。

要はペースを乱さず、毎日少しずつ勉強をしていくことが大切です。

 

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