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2022/02/08
疑問
コロナでの日本語教師の仕事は?今後どうなる?今すぐやるべきスキルアップ策!
コロナ禍で様変わりしてしまった社会情勢。
日本語教育の現場も大きく打撃を受けました。
日本語教師になりたいと思っている人も、いま日本語教師をしている人も、今後の日本語教師の先行きに不安を感じるのは当然です。
今回はそんな不安を少しでも解消すべく、コロナ禍での日本語教育の現場、日本語教師の仕事の今後、今からやるべきスキルアップについてご紹介します。
コロナ禍の日本語教育の現場
外国人留学生・労働者の入国制限
2019年末から始まったコロナウイルスの感染拡大は、感染者数の増加と昇降状態を繰り返しながら、2021年現在も続いています。
引用ーーー
”外国人を顧客としている会社はこのコロナ禍でかなりの苦戦を強いられているですが、日本語学校をはじめ日本語教育機関(大学も含む)も全く同じ状況です。パスポートもビザも準備できているけれど、留学生が日本に入国できない、のです。”
日本国内での日本語教師の雇用は、こうした留学生や外国人労働者を生徒に持つ日本語学校がメインのため、日本語教師の雇用崩壊が叫ばれた時期もありました。
2021年4月22日に、日本語教育機関関係6団体《(一財)日本語教育振興協会 (一社)日本語学校ネットワーク (一社)全国各種学校日本語教育協会(一社)全国日本語学校連合会 全国専門学校日本語教育協会 (一社)全日本学校法人日本語教育協議会》によってまとめられた、「コロナ禍における日本語教育機関の 窮状と支援のお願い」では
引用ーーー
”• 昨年に引き続き相当数の日本語教師の雇用が失われる
• 高いスキルを持つ日本語教師であっても、一度失職すると、二度と戻らない
優秀な教師の失職 ↓
後進の育成体制も失われる ↓
我が国の外国人受け入れ体制に大きな傷跡を残す”
コロナによって日本語教師の多くが失職してしまうと、この先の日本語教育の現場が成り立たないと注意喚起がなされました。
「一般財団法人日本語教育振興協会 令和2年度 事業報告」では、 新型コロナウイルス感染症への対応がまとめられ、全国の日本語教育機関へコロナについての情報の発信、関係省庁や各政党等に日本語教育機関の次の要望事項を説明するなどの対応がとられました。
日本語学校も経営難に陥り、常勤講師の離職、非常勤講師やフリーランスは仕事自体がなくなるなど、多くの人が生活難を経験する事態となりました。
これは日本語教育の場だけでなく、他の業界でも同じ状況となりました。
入国制限の緩和
入国制限は2021年11月に段階的緩和措置がとられ、仕事や留学での日本への入国が一部可能になりました。
”皆様もご存知の通り、2019年末の新型コロナウイルス(COVID-19)の発生により、世界的に移動が制限され、日本留学を希望する多くの外国人の皆様が日本に入国できなくなりました。
しかし、ようやく2021年11月8日より入国制限が緩和されたことに加え、在日外国人の日本語教育需要が増加しています。”
※2021年12月現在段階的措置の一時停止が行われていますので、詳しくは「外務省 国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について」をご参照ください。
日本語教師の仕事は減り続ける?
コロナによって激減してしまった日本語教師の仕事ですが、今後も減り続けるのでしょうか?
日本語教師は、外国人の学習者に日本語を教えることが仕事です。
そのため、日本への留学や就労を希望する人、日本語の習得を望む人がいれば、まだまだ人気のある仕事といえます。
日本政府の方針や、海外での需要、オンライン教育の発展を考えると、今後も需要が減り続けるというのは悲観しすぎかもしれません。
その理由を個別に見ていきましょう。
日本政府は外国人労働者の受け入れを続ける
引用ーーー
” 平成 31 年4月から,新たな外国人材の受入れ制度(在留資格「特定技能1号」 及び「特定技能2号」)が開始され,今後も在留外国人の増加が見込まれる中で, 外国人を日本社会の一員として受け入れ,外国人が社会から孤立しないように するためには,日本語を習得できるようにすることが極めて重要である。我が国 に在留する全ての外国人が日本社会で生活していく上で必要となる日本語能力 を身に付け,教育・就労・生活の場でより円滑に意思疎通できる環境を整備する ため,学習目標を明確化するとともに,日本語教育の更なる充実が求められてい る。”
日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針 令和2年6月23日 閣議決定より
引用ーーー
”長期的な視野で考えれば、日本の少子高齢化は改善される見込みは低く、
外国人就労者の需要は従来の推察通り増していくでしょう。
また、オンラインでの授業スタイルが定着してきており、
自宅から海外の日本語学習者に向けて日本語教育をおこなう新たな選択も広がりつつあります。”
日本全体でみると、人口減少改善に即効性のある方法はなく、経済社会を維持するためには労働者の確保は必須です。
日本の国策として、今後も外国人労働者の受け入れは継続する方針です。
日本で働く外国人労働者が増える以上、企業内で外国人の社員に日本語研修を行う日本語講師や日本語学校の教師は、これからも必要とされる仕事といえます。
海外でも日本語教師は需要あり
”中国国内では日本語教師募集のお知らせが頻繁にあります。上海や北京にももちろん求人はありますが、地域にこだわらなければさらにチャンスが広がるでしょう。基本的に大学卒業の経歴があれば、中国の大学で日本語教師として学生に教えることができます。コロナ禍だからといって減少傾向ではありません。実はコロナ禍の前から中国ではどの大学でも日本語教師不足です。日本人不足によって日本人と実際に話した経験がない学生も沢山いて、北京や上海以外の地域では、日本人が1人しか居ないことも。そのような地域に行ったなら、現地の人々はとても歓迎してくれます。しかし、その状況に天狗にならず、地道に日本語教師として基礎を固めていきましょう。”
「中国の日本語教育事情~20年の教師としてのキャリアとコロナ禍の現状」より
日本だけでなく海外にも、日本語教師として働ける場所はたくさんあります。
中国や韓国、台湾、インドネシア、オーストラリアなどは、コロナ以前から日本語学習者が多い地域ですし、コロナ収束以降は日本語教師の需要も再度高まっていくと予想されています。
働き方の多様化
コロナがもたらした災厄は大変なものでしたが、その結果オンラインでの働き方が加速しました。
これは日本語教師にとってもメリットといえます。
引用ーーー
”国内で主な勤め先となるのが、日本語を教える専門スクールや高等教育機関への進学を主な目的とする日本語学校です。また、学生の国際交流や留学サポートなどを行う大学の留学センターで、外国人留学生に対して指導を行う仕事もあります。”
”ほかには、外資系企業の外国人ビジネスパーソンを相手に、日本語レッスンを行う仕事もあります。”
”さらに、インターネットの普及により、Webカメラを使ったオンラインでの個人レッスンも増えています。レッスンの場所も時間も自由に選べるため、働きやすい形態です。”「ユーキャン・国内での日本語教師の仕事」より
”2013年以降、右肩上がりで増加していた日本国内の在留外国人数ですが、新型コロナウイルスの影響により、残念ながら直近の人数は一時的に減少しました。
しかし、例えばTCJでは、2020年4月よりハイブリッド形態(登校とオンラインを任意に選択可能)にリニューアルした在日外国人専用の日本語学習コースにおいて、現在までに累積250名を超える新規学生が入学されました。”
今まで日本国内では、教師は日本語学校に出勤して、そこに集まっている生徒に対して直接授業を行うという形式がほとんどでした。
しかしコロナによって、ビジネスミーティングや大学の授業もオンラインで行われるようになり、通信講座や各種授業もオンラインに特化しているところが増えています。
感染のリスクを避けて自宅で学習できる、自宅で仕事をできるというのは、日本語教師にとっても外国人の学習者にとってもメリットが多く、オンライン化は今後さらに一般的なものになっていくでしょう。
コロナがもたらしたキャリアについての意識の変化
”株式会社ビズリーチが2020年4月に会員に対して行った調査(有効回答数517)によると、 「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、 自身のキャリア観に変化があったか」という問いに対して56%が「変化があった」と回答し、うち92%が「企業に依存せずに自律的なキャリア形成が必要」と回答しています。
Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)を考えざるを得ない時代の中で、コロナをきっかけに、自律的なキャリアを考え始める人が増えているようです。 ”
すでに日本語教師として働いている人は実感があるかもしれませんが、日本語教師はもともと、自律的なキャリア形成を行ってきた職業です。
留学生に教えるのか外国人就労者に教えるのか、場面に応じて求められるスキルも変わりますし、時代によっても教える内容は変化していきます。
日本語教師はそうしたケースに応じて指導方法を変え、キャリアを育ててきました。
また、本業で仕事をしながら副業やボランティアで日本語教師をする、フリーランスとしてオンラインで教室を持つなど、パラレルキャリアの構築にも有利な仕事なのです。
こうしたキャリア形成の考え方が身についていれば、コロナ禍での変化にも十分に対応していけるでしょう。
今すぐやるべきスキルアップ
今のうちに日本語教師の資格を取る
街を見渡せば、少しずつ人通りも回復に向かっている日本。
これから入国制限の解除が進めば、日本語教師の不足を補うために募集・採用枠も増える見込みです。
引用ーーー
“コロナが終息へ向かうと、以前の様に日本語教師募集求人がかなり増えてくると予想されます。そうなってから資格取得に向けての勉強を始めると時間がかかりますよね。
今勉強を開始し、資格を取得しておいて、終息へ向かう頃にはすぐに万全の態勢で就職活動に取りかかれるように今準備を始めておくのが賢明ですね。”
これから日本語教師になりたいと考えているのであれば、今のうちに日本語教師の資格をとっておくのがおすすめです。
日本語教師の需要が回復した時に、スムーズに仕事を始めることができるでしょう。
「アルファ国際学院」のようにオンライン講座を行っているところであれば、コロナ禍でも日本語教師の資格を取得することができます。
また、日本語教師の資格をとっておけば、オンラインで自分で仕事をするという選択肢も増えます。
オンライン日本語教師にチャレンジしてみる
引用ーーー
”オンライン日本語教師は、基本的には教員免許や日本語教育に関する資格を持っていなくてもできる仕事です。オンライン日本語教師のなかには、サイトに登録して本業とかけ持ちしている人も少なくありません。そのうち、資格を持たずに教えている人も多数います。”
”オンライン日本語教師は、資格や教えた経験がなくてもできるため、はじめやすい仕事です。インターネット環境とオンライン通話のできるパソコンなどの機器があれば、好きな場所で講師活動ができます。”
「にほんご日和」より
日本語教師の資格は国家資格ではなく民間資格なので、今のところは何も資格がなくても、日本語教師をすることができます。
今後国家資格にする動きはあるものの、具体的な時期は決まっていません。
日本語学校では、採用時に日本語教師資格保有者を条件としていることが多いのですが、オンラインの場合は資格不要で仕事をすることができます。
引用ーーー
”オンライン日本語教師になっても、誰もがコンスタントに仕事が取れるわけではありません。仕事があるかどうかは、講師自身のティーチングやコミュニケーションのスキルに大きく左右されます。”
「にほんご日和」より
とはいえ、「仕事をすることができる」のと「仕事ができる」というのは全く別物です。
日本語を日本語で教えるには、日本語に関する知識はもちろん、外国人の学習者にわかりやすい授業を行うというスキルが求められます。
その結果上記の引用にあるように、オンライン上で仕事を取れる人と、仕事を取れない人という差が現れます。
これから活発になると予想されるオンラインでの日本語教育ですが、日本語教師の資格を保有しているというのは強みになります。
早めに参加してオンライン指導経験を積んでおくのも、これからの日本語教師人生で役立つ経験となるでしょう。
コミュニティで情報収集する
小さな不安も一人で抱えていると、だんだんと大きくなってしまいます。
自分の知っている情報や感覚だけでは、こうした不安を解消することは難しいので、多くの人と情報交換をしましょう。
同じ職場の人と話をすることも大切ですが、立っている場所や条件が同じだと、不安や愚痴を話すだけになってしまうことも。
違うコミュニティに参加することで、新しい仕事に出会えたり、現状を打破するいい方法が見つかるかもしれません。
「大谷書店」は、日本語学習者のためのテキストや問題集を取り扱う書店です。
これから日本語教師を目指す人や、現役の日本語教師の人が使う専門書、視聴覚教材などを豊富に揃えています。
大谷書店では、アルバイト支援やシンポジウムの開催など、日本語教師のサポートもしています。
実用書や参考書を見に行った際には、こうした集まりに参加してみるのもいいでしょう。
近くにこうしたコミュニティがない場合は、オンラインイベントを活用しましょう。
「日本語教師お仕事報告会・コロナ禍の日本語学校」では、コロナ禍での授業形態、学校の対応、オンライン授業のメリット・デメリット、苦戦したことなど、実際の現場での体験を共有しています。
コロナ禍でオンラインでの交流が後押しされ、日本語教師同士での意見交換や情報交換も盛んになっています。
こうしたコミュニティに参加することで、コロナ禍・コロナ禍以降の働き方について、新しい発見を得られるかもしれません。
まとめ
コロナによって大きく変化した社会ですが、一般企業も日本語教師も同じく、その変化に対応していかなければなりません。
オンライン化がさらに進むと、人を必要としない仕事も増えていきますが、人と人とのコミュニケーションは機械では代替できないものです。
日本語教師の仕事の本質は、言語が異なる人に日本語でのコミュニケーション方法を伝えること。
これからのコロナの状況がどう変化したとしても、日本語や日本の文化を学びたい人とつながることができれば、日本語教師として仕事をしていくことは十分に可能です。
日本語学校で教壇に立つことはもちろん、日本にいながら世界の外国人の学習者に日本語を教えることもできます。
これからの働き方に目を向けて、充実した日本語教師生活を送りましょう。