日付2022/02/08

将来性

日本語教師に将来性はある?日本語習得を需要する人と国家資格化

日本語教師の需要と将来性の関係日本語教師_将来性2-7

「日本語教師に興味があるけど、将来性ってある?」「日本語教師になったとしても将来性がないのは困る」と考えたことはありませんか?将来性のない仕事につくのは誰しも不安なものです

確かに日本語は、英語のようにいくつもの国で話されている言語ではありません。日本語は日本でしか使われていない言語と言って良いでしょう。

また、外国人からみた日本語は、世界の中で最も難しい言語の1つだとも言われています。だからこそ、日本語教師に将来性は無いのではないか、と思われる方もいるかもしれません。

日本語教師の将来性を考える時に重要なのは、日本語教師の需要です。需要があるからこそ、将来性を望めると考えられるからです。

日本語教師の将来性は、どんな場所で、どんな目的の人に日本語教師の需要があるかを確認することが大切となります。

 

日本語教師が必要とされている場所

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日本語教師を必要とするのはどんな場所でどんな人?と考えると、「日本語教育」を必要としている人がいる場所ならどこでもというのが正解になります。では、具体的にどこで、どんな人が必要としているのでしょうか。また、それらの需要に将来性はあるのでしょうか。

 

国内

数年前まではビジネスを目的に日本語を学ぶ外国人がほとんどでした。しかし、近年の様子は少し変わってきているようです。

東京オリンピックの開会式を思い出してみてください。漫画の吹き出しをイメージした国名のカードやゲーム音楽が登場しました。

日本のアニメや漫画、ゲーム、音楽、ファッションは、諸外国からも注目されています。また、これは日本の文化的な活動への将来性を感じている外国人も増加しているということになります。

これにともなって、日本の文化や日本語を学びたいという外国人がさらに増加していっていることは明らかです。

日本語教師の国内での需要は、将来性がとても高いと言えるでしょう。

 

・留学生

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外国人留学生在籍状況調査」を見ると、海外からの日本への留学生は年々増加傾向にあります。

日本への留学の目的のほとんどが、日本の大学への進学です。

日本語教師のほとんどは、日本語学校で講師をしています。しかし、教えるのは日本語だけではありません。大学へ入学するための進路指導なども行います。

また、就職やアルバイトをするときの彼らの履歴書の書き方や、生活の相談にも乗ってサポートする役割を果たすこともあります。現在はコロナ禍で落ち込んでいる部分もありますが、日本語教師を必要とする存在として将来性は非常に高いです。

 

EPA(経済連携協定)で来日した技能実習生

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日本政府は、EPAの政策の1つとして技能実習生の受け入れを行っています。技能実習では、日本で看護や介護を学び資格取得を目指します。その際に必要となるのが、日本語です。

日本の病院や介護施設で実習を行うとなれば、患者さんや介護施設の利用者さんとの会話において日本語は必須となります。そのための日本語を教えるのが日本語教師というわけです。

病院で看護師さんにどんなことを話しかけられますか?その言葉を外国人に教える役割を日本語教師は担っています。

 

・外国人スタッフ雇用による企業内での日本語教育

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日本の企業では、多くの外国人スタッフが活躍しています。この時、日本語でのコミュニケーションが必要な場面はたくさんあるでしょう。また、日本で生活することにおいても日本語は必要不可欠です。

企業では研修の一環として、外国人スタッフに日本語を教える機会を設けている場合があります。

ここでは、必要とされるのはビジネスで使える日本語です。日本の会社のシステム、特定の業界への知識がある日本語教師が求められます。

労働力をますます海外の人材に頼ることになっていくだろう現状を考慮すれば、企業からの日本語教師への需要は高く、将来性が見込めるといって良いでしょう。

 

・外国人スタッフの子どもや家族

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日本語教育が必要なのは、企業で活躍する外国人スタッフだけではありません。外国人スタッフの家族や子どもにも日本語は必要となります。

子どもの学校と連絡を取り合うときにも、日本語は必要です。例えば、学校への欠席連絡のとき、日本語がわからなかったらどうしますか?学校から出されるお便りをどう読めばよいのでしょうか?

日本語が理解できなければ、学校とも連絡が取れなくなってしまいます。

外国人スタッフの家族にも、日本語を学ぶ機会が必要なこともあるのです。外国人スタッフの増加とともに、将来性が高まっていくでしょう。

 

海外

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日本語教育を必要としているのは、日本国内にいる外国人だけとは限りません。将来日本への留学を考えている人もまた、日本語の習得を希望しています。

グローバル化がますます進む中、海外での需要は非常に将来性が高いと言えるでしょう。

 

・アジア圏(中国、韓国、タイ、ベトナム、台湾)やオーストラリア

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日本語教育機関調査」によると、アジア圏からの留学生が増加していることが確認できます。

特に日本への留学生が多いのは中国。

中国では、日本に留学するために日本人講師が物理や数学を教える学習塾があるほどです。同じように、中国国内で日本語を学びたいと考えている人が大勢います。

このため、中国の大学や高校では日本語教師を求めており、日本で求人を見かけることが多いです。

日本語教師を必要としているのは中国だけではありません。

韓国やタイ、ベトナムやマレーシアにも将来性を求めて日本へ留学する人々はたくさんいます。彼らも留学に向けて、日本語を学ぼうとしています。

また、オーストラリアでは第二外国語として日本語を採用していることもあり、日本語教師の存在は必要です。

しかし、日本にいてアジア圏の国々やオーストラリアへの求人を確認する機会はほとんどありません。

それは、日本語教師の募集条件が現地在住ということになっているからです。

この現地在住の日本語教師とは、日本語がわかる現地の外国人であることも多いです。日本語を母語としない日本語教師については、明確な資格などの基準がありません。「日本に住んでいたことがある」「日本語が多少話せる」人の場合もあり、日本語教師の質が問われています。

 

・アメリカ

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日本のアニメやゲームが世界中で人気があることは、今や周知のこととなっています。アメリカでは、日本の文化への興味から日本語を学びたいと感じている人が多いようです。

日本の文化とはアニメやゲームだけではありません。日本の歴史や伝統文化について尋ねられる機会もあるでしょう。ここでは、誰よりも日本のことを知っていることが求められます。

また、アメリカで日本語教育を必要としているのは、アメリカ人だけとは限りません。

日本人の子どもたちが日本と同じ教育を受けるための学校、「日本人学校」でも日本語教師の需要はあります。

日本の会社からアメリカに赴任して働く親は、いずれ日本に帰国することになります。その時には、子どもも日本へ帰国するということになるでしょう。日本に帰国した子どもの将来性を考えると、正しい日本語や日本文化を学んでおく必要が出てくるというわけです。

一方、アメリカの日本語教師の求人も日本で見かけることはあまりありません。その理由は、現地在住であるという条件があるからです。

 

日本にいながら海外とつながる日本語教師_将来性2-10

インターネットの普及によって、多くの人の働き方が変化しています。日本と海外でオンライン会議をすることができるなど、どこにいても人とつながれるようになりました。

日本語教師の働き方においても、同じことが言えます。インターネットを利用すれば、海外にいる生徒に日本語を教えることは可能です。オンライン環境の発達は、日本語教師の将来性にも影響するのです。
 

オンラインでのレッスンなら、自分の都合に合わせて日程や時間を組むことができます。また、日本語学校で非常勤講師をしながら、空いた時間には自宅でオンラインで講師をするという働き方もあります。

こう考えていくと、フリーランスでも働ける将来性も見えてきます。
 

コロナ禍と日本語教師日本語教師_将来性2-11

日本語教師の需要が増える一方で、日本語教師の将来性について心配される出来事が起きました。コロナウイルスのパンデミックによる、留学生の激減です。

日本語学校は大打撃を受け経営難に陥るだけでなく、経営破綻することも少なくはありませんでした。

しかし、日本語習得を目指す留学生が減ったわけではありません。まして日本語教師の将来性がなくなってしまったわけでもありません。「外国人の受け入れができない状況」になったということです。

現在、世界の国々ではコロナウイルスのワクチン接種が急ピッチで進められています。ワクチンの普及により、コロナの感染者数が減少すれば、外国人の受け入れも可能となるでしょう。そうなれば、留学生も日本に入れるようになり、日本語学校や日本語教師の需要は再び高まってくると予想されます。揺り戻しで、もしかするとコロナ禍以前よりも将来性が高まるかもしれません。

現在、段階的に外国人の受け入れができるようになってきました。

一時、日本語教師の将来性は危うくはなりましたが、決して無くなりはしていません。

 

アフターコロナと日本語教師の将来性

日本語教師_将来性2-12日本語教師の将来性には、日本と世界の政治経済の動きが大きく関わります。結論からいうと、コロナ後の日本語教師の需要は高まっていくと考えられています。

理由として挙げられるのは2点。

日本は人口減少による人手不足が加速していること

日本語習得を目指す人は増加傾向にあること

日本は人手不足で、海外からの人材に頼らざるを得ない状況です。そのため、海外からの人材の受け入れが増加し、同時に日本語習得を目指す人も増加します。

このような流れから日本政府は、日本語教師の「国家資格化」の動きを始めました。

国家資格となれば、日本語教師の社会的地位は向上していくことが予想されます。日本語教師の将来性はあると考えられるでしょう。

国家資格の日本語教師の正式名称は「公認日本語教師」となります。この公認日本語教師の資格には3つの条件をすべて満たさなければなりません。

・資格試験に合格する

・教育実習を履修する

・4年制大学以上を卒業する(学士以上の学位の取得)

現在すでに日本語教師の資格を持っている場合については、国家資格化後に経過措置をとって移行させるとしています。

また、現在の日本語教師の資格の取得方法は以下の3つ。このどれかをクリアしていれば日本語教師の資格は手に入れることができます。

・日本語教師養成講座の受講

・日本語教育能力検定試験の合格

・大学、大学院で専攻

国家資格化後に日本語教師の資格取得をするのも悪くはありませんが、特別にタイミングを待つ必要もありません。早めに資格を取得して働いた方が経験も積めると考えられます。

日本語教師として働くのであれば、今のうちに資格取得をしておくのが良いかもしれません。

 

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