日付2022/10/13

英語

日本語教師に英語力は必要だろうか?

結論:英語力はあったほうがもちろん便利

英語ができることのメリット

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 日本語教師を仕事にするなら英語力は必要ないという意見はあります。それは日本語教師のほとんどが日本で仕事をしているからです。というのも、日本語を教えるときはほとんど「直接法」といって日本語を日本語で教えます。

日本で日本語教師をするし、日本語だけで教えたいので英語力なんていらない、

日本語教師は英語力は必要?と思った方、少し考え直してみてください。

 私は英語力はあったほうがいいと非常に強く考えています。もちろん必須項目ではありませんので、ないからといって日本語教師失格とは言いません。

英語のスキルは必要・あったほうがいい理由は以下の通りです。

①語学を習得する大変さを知ることができるので、学習者の目線に立った指導ができる

 教育者自身が母語以外の語学を学ぶことで、学習者がつまづくポイント、さらにはわかりやすい教え方まで知るヒントになります。ですので教育者として、学習者の立場に立った視点があるかないかは授業進行で大きな差に繋がりかねません。

 特に授業中に出る学習者からのバリエーション豊かな質問は、語学を教える立場しか知らない人間よりも語学を学んだことのある人間のほうがよりわかりやすく解答ができるように思います。

②学生とコミュニケーションがとりやすい

 これは一概には言えませんが、学習者が英語圏出身の場合や学習者自身が英語をある程度学んでいれば「日本語+英語」でコミュニケーションをとることができます。

 授業の進め方が「間接法」であれば英語やほかの言語を用いて日本語を教える場面も十分あります。

 例えば英語ではないですが、私の場合面接を控えたベトナム学生の方にベトナム語で「Cốlên!(頑張って!)」というだけで、表情が明るくなりとても親しみやすくなったようでよく話をしてくれるようになりました。

 英語の能力だけでなく様々な国に合わせた言語を単語一つでも知っておくだけで、ぐっと学習者との距離が近くなります。

③働く場所が広がる

 日本語教師の働く場所は多くの場合「日本語学校」だと思います。また、世間一般的にも日本語教師は日本語学校で働くイメージもあります。

 しかし、日本語教師の働く先は日本語学校だけではなく様々な教育現場が広がっています。

例えば、英語と日本語両方の教師の資格をとっている場合の働き方について、詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

他にも、

◆外国語学校やインターナショナルスクール(外国人が増えているので必然的に外国人国籍の子供も増えており、今後も需要は上がってくるでしょう)

◆日本にある米軍基地(実際に求人も出ているのを見たことがあります)

◆オンラインレッスン(コロナ禍でオンライン授業やレッスンがコロナ以前より多くなっています)

◆海外の日本語学校や企業にて講師勤務

など、英語力を身につける、英語教師としての資格をとることで働く場所は無限に広がります。資格を生かして英語教師として働く道を考えるのも良いでしょう。

いま挙げたほかにも日本語教師が活躍できる場は広がっています。

日本語学校というくくりで言うとコロナの影響で生徒数が少なくなり、

非常勤講師が働けなくなっておりますが、その分オンライン授業やレッスンが増えて稼いでいる講師もいます。

オンラインでは本当の意味で垣根なくレッスンができるので、人種のバリエーションが多いです。

もちろん、日本語学習者たちがみな英語を母語としていたり、得意としたりしているわけではありません。むしろ、英語圏出身の日本語学習者は少数派と言えるでしょう。ですから、間接法で教えようとすると、ベトナム語、インドネシア語、中国語......など、むしろ英語以外の語学力が必要になってくる場合があるかもしれません。

日本語教師に英語力が必要な場合と不要な場合はもちろんあります。

しかし英語ができる、というだけでいろいろな可能性が広がっていくので勉強しない手はないと思います。

実際に、文化庁の基準でも、専門家としての日本語教師には日本語以外の様々な言語文化に対して通じていることや、グローバルな視座をもつことが求められています。前述したように、英語だけが全てではありませんが、公的な文書で使われることも多い英語を身につけておくことで、アクセスできる情報が増えることは確かです。自分の世界を広げ、それを教育に生かす、といった意味でも、英語ができて悪いことはないでしょう。

英語力が必要なのかどうか、日本語教師の英語力について書かれたこちらのサイトや、こちらのサイトもご覧になってください。海外で働くことを考えている場合には、こちらのサイトもおすすめです。

私は英語ができないから、日本語教師になれない!

ということではありませんので、英語力がない人でも諦めないでください。

では一体どれくらいの英語力が必要なのでしょうか

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英語力があったほうがいい、ということはわかっていただけたと思います。

では実際日本語教師にとって英語力はどれくらい必要だと考えますか?

世間一般に履歴書に英語スキルを書くにはTOEIC700~750点以上、英検は準1級以上とも言われております。しかし日本語教師に必要な英語力というのは、一様にここまで!ということは言えません。なぜなら、先ほどにもあったように日本語教師が働く場所は多種多様だからです。

日本国内の日本語学校で働く場合、「直接法」で教える場合、英語力はコミュニケーションや挨拶ができる程度でも問題ないと思います。

ですが、もし英語圏や英語のスキルが高い学習者に教える場合や、海外で日本語を教える場合はコミュニケーション以上の英語力が必要になります。

新しい文型の導入や文法・用法の説明まで英語でする方が、学習者の日本語理解も深まります。

また、海外で日本語教師を採用する場合は英語レベル~~以上という記載はほぼ確実にあります。ですのでTOEIC700~750点以上、英検は準1級以上はあくまで目安ですが、海外で働く場合はこれくらいはとっておいた方がいいといえるでしょう。

オンラインでレッスンをする場合でも英語を交えることで理解速度も早まる場合がありますので、文型・文法・用法・簡単な語彙などを説明できるような英語力があるほうがいいです。

もちろんこの英語力が就職活動時のアピールポイントにもなります。

いまから日本語教師を目指す方は英語スキルを高めておいて損はありません。

日本にいるなら全く英語力は必要ない!と言い切るサイトもありますが、みなさんが働く場所に合せて必要な英語力レベルがどれくらい必要か考えてみてください。

おすすめの英語学習方法

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英語を今から学習するのは面倒だなーと思った方、英語を学んでいたのなんて数十年前だよという方もいるかもしれません。

そんなみなさんに朗報です。

英語の学習方法は日々更新されています。

いまではスマホを使って簡単に学習を積み重ねることができます。

YouTubeを使用してリスニング、アプリを使って語彙文法学習などスマホ一つで英語力を上げることができます。

私が特におすすめなのは、「TED Talk」というアプリです。

もとはアメリカのプレゼンテーション企画で、サイトなどで動画を観ることができました。

TED

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TEDは世界中の有名学者や企業家などが英語でプレゼンテーションを行います。

字幕表示や翻訳表示に対応しており、アプリによっては選んだプレゼンテーションからクイズ形式で英語の学習ができるものもあります。

日本語教師におすすめの学習方法としては、HellotalkやTandemなどのアプリを用いて日本語話者以外の人と語学を教えあうのがおすすめです。

相互学習を目的としたアプリで、気軽に英語話者やその他の言語学習者と繋がることができます。

語学の学習方法には昔から様々なものがありますが、やはり誰かと一緒に学び日々使っていくことが習得への道だと思います。

実際私は多くの外国人学生と接する機会がありますが、日常的に日本語を使用しているか否かは日本語レベルに大きく起因していると感じています。

学校や家で学ぶだけでは高いレベルの言語を習得できず、余計に自信を失ってしまいかねません。外国人学生をみていてもそれは強く感じます。

日本語教師には英語の能力は必ずしも必要ないかもしれませんが、語学を学ぶ方法や大変さ、伝えるときの緊張感や恥ずかしさは経験しておいた方がより学習者の心に近づけます。

ですので、いま自分の英語力に自信がなくても日本語教師を目指す方、すでに日本語教師をされている方には是非、英語だけでなく興味のある言語に少しでも触れていただきたいなと思っています。

 

より実践的に英語を学ぶ機会として、英語を使う生活を送る、というものがあります。英語圏に留学したり、あるいは日本国内でもインターナショナルスクールや海外風土の企業のような、英語がなかば公用語になっている環境に身を置いたり、などと言った方法があるでしょうか。

英語力を向上するためだけにこうした方法をとるのは、費用面でも時間面でも少し難しいですよね。しかし、日本語教師を目指す人ならではの方法が一つあります。

それは、「英語圏で日本語講師養成講座を受講すること」です。

実は、日本語教師養成講座が開講されているのは日本国内だけではありません。英語圏で開講されている日本語教師養成講座を受講することで、日本語教師として働く要件を満たすのと同時に英語力を向上させることができます。

英語の授業が開講されているわけではありませんが、英語圏で暮らすことで半ば強制的に英語を使う機会が増え、自然と英語力が向上していくでしょう。

例えばオーストラリアで開講されている「講座の特徴 | JAPANEASY」こちらの講座では、英語圏で採用されている間接法での教授法も習得することができ、かつ英語圏であることで英語力の向上も見込めます。

また、併設された日本語学校ではオーストラリアの学生だけでなく、ヨーロッパ、アジアなど様々な地域からの日本語学習者が学んでいます。多様なバックグラウンドをもつ学生たちと交流することで、多文化について、異国語を学ぶということについての造詣も深まるでしょう。

 

また現在、「日本語で日本語を学ぶ」という入り口で挫折してしまう多くの英語話者、英語理解者へとアプローチするため、世界に通用する『国際日本語コーチ』を育成する、という講座も始まっています。

日本の文化を愛し、学ぼうとしてくれている外国人は依然として存在します。そうしたニーズに答えられる日本語教師の需要は、これから高まっていくのではないでしょうか。

日本語教師にインタビューし、「英語力が必要か」という内容も盛り込んだものを記事にまとめたサイトもあります。

また、「にほんむら」という日本語教育界では有名なサイトでは様々なアンケート調査が行われており、「日本語教師に外国語学習は必要か?」というアンケートもありますのでご参考ください。

 

終わりに

現在日本語教師の必須スキルとして、英語は入っておりません。

しかし、多種多様な人種を相手にする職を選ぶのであれば「英語力」は切っても切れない関係のように思います。

学習者の母国で英語が主力ではなかったとしても、学校で学んでいることは多いです。ですので、簡単な語彙の日本語や英語で意思疎通を図ることもできます。

もちろん、イントネーションや国訛りの英語で混乱を招くこともありますが、そこも含めて「語学」というものに面白味があると思います。

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