日付2022/06/30

英語

日本語教師に英語力は本当に必要ない?〜英語力よりも大切なもの〜

●日本語教師に必要な英語力

日本語教師に英語力は必要なのでしょうか? 残念ながらその答えは簡単に出せるものではありません。その理由はたくさんありますが、第一にはどこで、どのように働くか? によって英語力が必要か否か、またどの程度必要かが変わってくるからです。

 

国内で日本語を教える場合

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 日本国内で外国人に日本語を教える場合、英語力は特に必要ありません。

 なぜならば、日本国内の日本語学校では日本語で日本語を教える「直接法」という指導形式が一般的だからです。

ただし、オンラインを通して外国人に日本語を教える場合や、外資系企業で日本語を教える場合は、英語で日本語を教える「間接法」という指導形式が一般的とされているため、日本国内でも英語力が必要になる場面があります。

 そのため、日本国内で働く場合の英語力は必須スキルではありませんが、英語力があれば日本語教師としての仕事の幅はもっと広がると言えます。

海外で日本語を教える場合
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 海外で外国人に日本語を教える場合は、英語力が必要な場面が多くあります。

 特に欧米圏では英語の他、その国の母語を使用した間接法が中心となるため、より高度な英語力が求められるケースもあるでしょう。

 日本語教師として必要な英語力のレベルは、勤務先によってそれぞれ異なります。

 しかし、他の教師や現地の人と交わす英語でのコミュニケーションは、その土地の環境に早く慣れるためにも避けては通れません。

 海外で働く場合は、日本語教師としてのスキルはもちろん、英語力に関しても現状で満足することなく、常にレベルアップを目指す向上心が必要になるでしょう。

 

●アジア圏と欧米圏の違い

アジア圏で働く場合
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 日本語教師としてアジア圏(非英語圏)で働く場合は、直接法で教えることが多いため、英語力はあまり必要ではありません。

 しかし、インドやシンガポール、フィリピンなどでは、求人募集の必須条件として英語力が求められるケースが目立ちます。

 また、就職先が大手の語学学校の場合は、英語やフランス語を始め、各国の言語で国語の授業が行われています。

 このような環境下においては、講師同士のコミュニケーションやミーティングも、必然的に英語が中心となります。

 アジア圏での英語力はあまり必要ないとはいえ、海外で日本語教師を長く続けたいのであれば、ある程度は話せた方が良いでしょう。

欧米圏で働く場合
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 日本語教師として欧米圏で働く場合は、間接法で教えることが多いため、英語力は必要不可欠なスキルと言えます。

 例として、日本語教師の求人募集において、履歴書に間違った英文でPRを書いた結果、不採用になった人もいます。

 また、生徒の母国語で教える場合もあるため、外国語に対して特に抵抗がない人は向いているでしょう。

 いずれにせよ、欧米圏はアジア圏に比べると高い英語力が求められます。渡米前に英語講座やオンライン英会話を通して、使える英文法を積極的に学ぶ必要があります。

 また、どの地域で働くにせよ、外資系の企業が運営する日本語学校の場合には日常会話程度の英語力はほぼ必須になります。TOEICなら800点程度、厳密にいうと単純には換算できないものですが、CEFR(ヨーロッパ言語資格)でいうところのB2~C1程度を求められるでしょう。TOEICや各種英語資格検定の勉強にはスタディサプリがおすすめです。学生が使うものという印象があるかもしれませんが、TOEIC対策のパーソナルプランなど、大人向けのコースも用意されています。

 

●日本語教師になるための必要な条件

必要な資格は?

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 日本語教師として働くために必要な条件として、下記の3点が挙げられます。

  • 大学で日本語教育課程コース修了
  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 日本語教師養成講座420時間コース修了

 

 いずれかの条件に当てはまればどなたでもなれる職業ではありますが、日本語教師として活躍するためには、あなたにしかない個性を発揮するのも必要な要素と言えるでしょう。

それぞれの難易度
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 「大学で日本語教育課程コース修了」の場合は、日本語教員課程を設けている大学に通わなければならないため、少なくとも高校時代には知っておかなければ、取りにくい内容と言えます。

 「日本語教育能力検定試験合格」の場合は、年に1度しか行われず、合格率も20%前後なので、簡単に取得できるものではありません。

 「日本語教師養成講座420時間コース修了」の場合は、社会人でも自分のペースで勉強することができるため、現実的に最も取得しやすい方法と言えるでしょう。

英語がすでにできる方なら、日本語教師と英語教師の資格を両方取得してしまうのも、働き方の選択肢を広げるためには有用かもしれません。

 

●日本語教師の適性
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日本語教師に向いている人

 日本語教師として外国人に日本語を教えるにあたり、日本語や正しい文法に関する知識はもちろん必要ですし、ある程度の英語力があるのも望ましいでしょう。

 しかし、何よりも大切なのは「人が好きな人」であることです。教室内での活動や職員室でも、人と人との対話が求められます。

 人と関わることが好きな人や、コミュニケーション力が高い人は、特に向いている職業と言えるでしょう。

日本語教師に向いていない人

 日本語教師を目指すにあたり、日本語が母国語である必要はありませんが、日本語や文法の基礎知識に乏しい人や、人と接することが嫌いな人には難しいでしょう。

 また、日本語と外国語では発音やアクセントも異なるため、口の動きもしっかりと見せる必要があります。

 恥ずかしさを捨てることはもちろんですが、外国人や異文化に対する偏見がある人や、相互理解が持てない人には向いていないでしょう。

 文化審議会国語科分科会発行の「日本語教師の資格のあり方について」でも、日本語教師が持っているべき資質について、「言語・文化の違いや社会における言語の役割を理解し,より良い教育実践につなげるための知識を持っている」ことや、「異なる文化背景を持つ学習者同士が協働し,主体的に学び合う態度を養うための異文化理解能力やコミュニケーション能力を育てるために必要な知識を持っている」ことなどが示されています。

日本語教師だから日本の文化だけに精通していれば良い、というわけではなく、異文化に対してオープンな精神をもつことが必要でしょう。

 

 

●英語力があれば信頼感アップ!?

アピールポイントになる
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 日本国内で日本語教師として働く場合は英語力が必要でないとはいえ、ないよりもある方が強みになるのは紛れもない事実です。就職の際のアピール材料としても十分な効力があるため、TOEICで取得した点数や留学経験など、積極的にアピールすると良いでしょう。

 また、日本語学習者は英語圏よりもアジア出身の学生の方が多い傾向にあります。中国語や韓国語、ベトナム語などを学んでみるのも、日本語教師としてのキャリアアップにはつながるかもしれません。実際に、ベトナム語の言語資格が要件になっている求人なども存在します。

 

生徒からの精神的な信頼感
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 日本国内の日本語学校に通う留学生にとって、英語力のある先生や母国語が通じる先生の存在は、我々が想像する以上に大きいようです。

 授業以外で何か困ったことや相談したいことがあった場合、覚えたての日本語では上手く通じないこともあるでしょう。

 もちろん英語や母国語を完璧に話せる必要はありませんが、ある程度できていれば生徒との距離がもっと近くなることが期待されます。

 生徒に信頼してもらうことは、授業にとっては意外と大切です。わからないことをわからないと表明したり、気になったことを質問したりするのは、信頼関係のない先生相手に行うには、先生が想像するよりもハードルが高い行為だからです。英語をはじめとした生徒の母語やある程度使いこなせる言語を全て話せる必要はありませんが、コミュニケーションツールの一つとして、高い効果があることは間違い無いでしょう。

 

●海外での日本語教育ボランティア

海外における日本語教育の現状
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 海外では日本語を第二外国語として選択したり、大学入試の外国語選択科目として日本語を採用したりする国もあります。

 このような教育現場では、日本特有の文化に興味を持つ外国人も少なくないため、日本文化に詳しい日本語教師は海外でも高く評価されています。

 しかし、中学や高校などを含め、日本の教育現場でも日本人の先生が英語を教えているように、海外でもその国の国籍の先生が日本語の教師として日本語を教えていることが多くあります。

 そのため、正確な発音や正しい日本の情報を提供する日本人のアシスタントは非常に重宝されており、異文化交流の面でも必要な存在となっています。

 通常、日本人のアシスタントは「日本語教師アシスタント」と呼ばれており、海外における日本語教育の枢要となっています。

ボランティアとして活動する日本人
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 海外の教育現場では、恵まれた環境で勉強できる生徒がいる一方、ボランティアの存在がなければ日本語を学ぶことができない人も大勢います。

 そのため、海外で日本語教師アシスタントとして活動する日本人は、日本語教育や日本文化を教え続けることで、日本の歴史を継承していると言っても過言ではありません。

 日本語教師アシスタントとして活動するために必要な資格や経歴はなく、向上心や積極性はもちろん、参加者が「日本人であること」が最も大切なポイントとなります。

現地で英語力を鍛える

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 日本語教師アシスタントは、基本的に1つの学校に対して1人の派遣体制のため、日本人は自分しかいません。

 また、空き時間には英語の授業に参加できる場合もあり、毎日英語だけで生活する環境が必然的に整います。

 一般的な受身の語学留学ではないため、本格的に英語力を身に付けたい人には正に最適なプログラムです。

 海外で長期的に生活することで多様な価値観も吸収できるため、語学だけではなく人間的にも期待以上に成長できるでしょう。

 

●まとめ

英語力はある程度あった方が良い

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 日本国内で日本語教師をする場合は、日本語で日本語を教える直接法が中心となるため、特別な英語力は必要ありません。

 しかし、より分かりやすい授業内容や、生徒とのスムーズなコミュニケーションを意識すると、英語力はないよりもある方が何かと役に立つでしょう。

 例えば、担当する授業が初級クラスの場合は、日本語の文法を基礎から教える必要があります。

 文法解説の際は、英語の例文を交えて説明する方が伝わりやすい場面も多く、直接法よりも間接法で教える方が解釈においても齟齬が生じません。

 また、生徒から質問や悩み相談を受ける場面も少なくないため、授業以外で生徒とコミュニケーションを図るためにも、ある程度の英語力は必要と言えるでしょう。

英語力よりも大切なもの
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 確かに、前述した通り英語力はあるに越したことはありません。

 しかし、日本語教師になる上で最も大切なのは「日本語力」と「人が好きなこと」の2点です。

 いくら英語力があっても、人に日本語を教えられるレベルの日本語力がなければ、まず日本語教師として必要されません。

 英語力はあくまで日本語を教えるための手段に過ぎないため、日本語教師を目指している人は、何よりも日本語力やコミュニケーション力を磨くを磨くことが先決です。

 日本語教師として活躍するためには、生徒の疑問にもすぐ答えられるような知識や、親しみやすい雰囲気作りなど、基礎の部分をしっかりと固めることが必要と言えるでしょう。