日本語教師に関する日本語教師転職記事MEDIA

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日付2022/06/23/

日本語教師におすすめの本

インターネットであらゆる情報の収集ができる時代となりました。 特に10代~30代を中心とした若い年齢層の方々は、あらゆる情報や勉強、知識習得のためのトレーニングをSNSやWEBサイト、アプリで行うことが習慣化し、「本離れ」が進んでいると言われていますが、皆さんはいかがでしょう。 様々な分野の学習のオンライン化も進んでいますが、日本語教師のための情報収集やトレーニングも、インターネットで十分でしょうか?日本語教師になるために、本は必要なのでしょうか? 結論から申し上げると、日本語教師を目指す人、日本語教師という仕事を追求して質の高い教育者を目指す人には、やはり本を読むことをおすすめしたいです。 ■日本語教師に本をお勧めする理由 〈日本語教師の情報収集において、インターネットは過信注意〉 当サイト [ラングジョブ] では、日本語教師のための本当に役立つ情報をお伝えすることをモットーにしていますが、「日本語教師」、ひいては「日本語」「英語」「フランス語」「中国語」といった語学や教育に関する情報はインターネット上にあまたあり、中には有益とはいえない情報も溢れています。(情報通信白書参照)インターネットで日本語教師のための良質な情報にたどり着き、インターネットで日本語教師としての知識を身に着けたりスキルを磨いたりしてトレーニングを完結することは至難の業と言えるかもしれません。 とはいえ、WEBやSNSは手軽で便利。キーワード検索などがスムーズかつスピーディーにできるメリットは捨てがたいですよね。 日本語教師になりたい人がまず読むべき本は? 編集部が選んだ6冊のように、経験から本をおすすめてしてくれるサイトもあります。ですので、インターネットも参考情報としてうまく活用されることをおすすめしますが、インターネットで日本語教師の情報を検索・収集する際には、SNSやブログなど個人発信の情報は信ぴょう性に欠ける場合があったり、偏った情報であったりする可能性を認識しておくと良いでしょう。 便利なインターネットのメリットも活用しつつ、しっかりと繰り返し「本」を読み込む。このように、本とインターネットをうまく使い分けて情報収集や勉強をすることが、日本語教師には、非常におすすめです。     日本語教師にとっての本の魅力①有形であること インターネットが形のない無形であるのに対して、本は有形で、お金を支払って購入する「モノ」です。 日本語教師のトレーニングや情報収集をする上でポイントになるのが、形があり、タダではない(=対価を払う自己投資である)ということです。 ●書店に行って日本語教師の本を選ぶ ・・・時間とお金をかけて本を選ぶ行動は、まさに自己投資です。こうして選んだ本にはあなたの希望や決意が込められた、特別な一冊であるはずです。 ●先輩日本語教師からおすすめの本を貸してもらう ・・・これも、借りることで相手とのやり取りや関係性変化などのリスクも含んでいるため、自己投資に非常に近い覚悟の要る行動と言えます。 そして、本の内容について、誰かと感想を共有したり相談したり、ディベートをするなんていうこともあるかもしれません。 本をめぐってのこのような行動や体験が、日本語教師という仕事への動機や意識を強固なものにしてくれるはずです。 インターネットで調べた情報はすぐに忘れてしまうけれど、子供のころに本で読んだことは忘れていない、なんていう経験はありませんか? “好きなページに手作りのしおりを挟んでいた”とか、“あの時〇〇さんにこんな本を借りてこう感じた”とか、“あの本の感想文をクラスで発表した”とか、“あの分厚い本に挟んだ押し花がきれいにできた”とか。本にまつわる記憶は結構思い出せたりするのではないでしょうか。 本とは、記憶に残る不思議な魅力があるものです。 これは、小説などに限らず、日本語教師のための本にも共通する部分が十分にあるはずですよ。 新人日本語教師に必須の本!日本語教師になったら購入するべき本5冊でも分かる通り、先輩日本語教師のお薦めは非常に頼りになります。   日本語教師にとっての本の魅力②語学・言語の集まりであること また、日本語で書かれた本は、日本語の集まりが形になった作品とも言えるもので、日本語教師にとっては情報収集だけでなく、トレーニングツールとしてもおすすめです。 「英語」「フランス語」など他の言語でもそうなのですが、語学に関するスキルを磨く上では「本」というツールの魅力は大きいと思いませんか? 書いてある内容はもちろんのこと、読み進める中で出会う言い回し、行間、筆者の意見や全体構成といった全てが日本語そのものであり、読むこと自体で表現の幅が広がるなど日本語教師のトレーニングやスキルアップにつながるのでおすすめです。 「日本語教師」という語学を教える職業に就く皆さんは、読んだ本の書き方や伝え方のテクニックも参考にしない手はないのではないでしょうか。 これから日本語教師として日本語を教えるあなたには、本選びのワクワク感から、日本語の魅力を含めての本の素晴らしさを改めて体感し、その魅力をこれから出会う生徒さんたちに伝えていっていただきたいと思うのです。 日本語を学習する外国人の方にも、いろいろな本を読んで日本の「本」から語彙や表現の幅を広げたいと考え、取り組んでいる人は多いです。 新米日本語教師におすすめの参考書等も参考に本を選んでみてください。   ■日本語教師におすすめの本 では、具体的にどんな本を読んだら良いのか? 日本語教師におすすめ本を、目的やフェーズ別に、理由とあわせてご紹介していきますね。 ですが、本を選ぶ時にはインスピレーションも大事ですし、人と本の相性があると思いますので、最終的には日本語教師にこれからなる、または日本語教師としてのスキルを上げたい一人一人が、手に取って中身をパラパラと見てみてから目的と感性に合ったものを購入されることをおすすめしますが、選ぶ上での参考にしていただければ嬉しいです。 ▶日本語教育能力検定試験をこれから受ける 令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験問題  公益財団法人日本国際教育支援協会(著、編集)凡人社 https://www.amazon.co.jp/dp/4893589830/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_50584KGPNMEC32XBWFQN?_encoding=UTF8&psc=1 日本語教師を目指す人で日本語教育能力検定試験の受験をするなら、過去問は必須です。 こちらが令和3年7月時点の最新版です。 日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版  ヒューマンアカデミー  (著) 翔泳社 https://www.yodobashi.com/product/100000009003374261/ 日本語教育能力検定試験に多くの合格者を輩出している大手校講師陣が、内容を厳選していてうまくまとまっています。分かりやすい解説が人気です。 ※参考URL https://www.jegsi.com/kentei/books-for-kentei-dokugaku-goukaku   ▶ビギナー日本語教師   教師と学習者のための日本語文型辞典 単行本(ソフトカバー) – 1998/2/2 グループ・ジャマシイ  (編集)くろしお出版 https://www.9640.jp/nihongo/ja/detail/?154 日本語の「文型」という概念を、文や節の意味・機能・用法に関わる形式として捉え、豊富な例文を用いて丁寧に解説したベストセラー辞典。日本語教師の授業準備、学習者の日本語能力試験N2、N1対策と幅広く利用でき、一冊持っておくと重宝するでしょう。 ※参考URL https://hire39.com/books-recommended-basic ▶日本語教師のスキルアップにおすすめ アクティブ・ラーニング対応 日本語を分析するレッスン 野田尚史 (著), 野田春美 (著)大修館書店 https://honto.jp/netstore/pd-book_28389448.html 日本語学初級テキストという位置づけですが、既存の学問体系構成にとらわれず、身近な話題ごとの構成のため、生徒の興味関心分野に寄せた授業展開の参考になりそうです。 日本語教師としてスキルアップ、キャリアアップするには、授業の質や対応幅の広さも意識しましょう。 ※参考URL https://kirin-sensei.hatenablog.com/entry/osusume.goi.hon   ■どのように本を探すか? 先輩教師におすすめしてもらったり、ネット上の書評を参考にしたすることはもちろん手段の一つです。慣れないうちはそのように、たくさんある本の中から自分に合ったものを探していくべきでしょう。当サイトも、そんな皆さんの助けになればと願っています。 しかし、前述したように本にも相性があります。他の人が使った本が必ずしもあなたにも合うとは限りません。ですから、自分の目的にあった本を自分で本を選べるようになっていくことも、日本語教師としてやがて身に付けるべき技能の一つでしょう。 そんな場合には、出版社のサイトを利用することがおすすめです。日本語ブックスさん(教師用参考書|日本語ブックスonline(株)語文研究社)やくろしお出版さん(くろしお出版 日本語教材WEB)などのサイトには、日本語教育に関する本がたくさんまとめられています。文法項目やレベル、目的別にカテゴリ分けされているため、しっかりとした目的があれば本をえらぶこと自体はそう難しくありません。 レビュー付きでない分一つに決めるのは難しいかもしれませんが、より豊富なラインナップの中からより細かく目的別に本を探すことが出来るでしょう。ネット上の紹介サイトでは見たこともない本や教材と出会えるかもしれません。 初心者向けの概略本ではなく、生徒のレベルや細かいニーズにに合わせて本を選べるようになったら、授業の準備がしやすくなるだけでなく、日本語教師としてのスキルアップも望めるのではないでしょうか。  

日付2022/02/08/

疑問

日本語教師の仕事とは?給料が安い?働き方から平均年収まで徹底解説!

  日本語教師の仕事 日本に暮らす外国人も増え、生活の中で外国の方と接する機会も増えた昨今、日本語教師のお仕事に興味を持っている方もいるかと思います。しかし中には、「日本語教師の給料は安い」というお話を耳にしたこともある方もいるのではないでしょうか。「専門的な知識と、英語などの語学力が要求される場合もあるお仕事なのに、給料が安いなんて本当?」と思ってしまいますよね。ここでは、日本語教師の主な仕事内容と、「給料が安い」と言われるが実態はどうなのか、解説していきます。 日本語教師の仕事 まず、そもそも日本語教師の仕事とはどのようなものなのでしょうか?ここでは主な仕事内容と、働き方について解説します。 主な仕事内容 日本語教師のメインの仕事とはもちろん、外国人など、日本語を母語としない方に日本語を教えることです。国内外のスクールなどで、日本語の文法や発音、読み書き、会話を教える仕事ですね。 もちろん、ただ言葉を教えるだけではありません。日本語を勉強する生徒のバックグラウンドは様々ですが、日本に興味のある方や日本で生活する予定の方に指導をする場合が多くなるでしょう。それをふまえると、日本語だけではなく、幅広く日本のことを伝えることができれば良いですよね。例えば私たちが英語を勉強する時にも、英語圏の国の文化や生活、歴史などもふまえて学ぶことで、より関心が高まって学習意欲が向上したり、学習内容が定着しやすかったりしますよね。それと同じように日本語教師は、言葉だけでなく日本の文化や歴史、マナーなどを伝える仕事でもあります。 日本語を教える仕事である以上、主な仕事は「授業」ということになります。ですが、授業だけが日本語教師のお仕事という訳ではありません。当たり前のことですが、よい授業をするためには、相応の準備が必要になります。資料を用意したり、例文や練習問題を考えたり、より良い授業になるよう、入念な準備をしてから授業にのぞみます。また、授業外で生徒の質問に対応したり、テストや宿題のチェックをしたりといった仕事に加え、生徒の進路や悩みの相談に乗ったり、学校に雇われている場合には学校運営に携わる場合もあります。この辺りは、小中学校や高等学校の先生の仕事をイメージするとよいかもしれませんね。 日本語教師の仕事はきつい、という声もあるようです。日本語教師の詳しい仕事内容については、資格情報サイトを参照するとよいでしょう。     働き方(常勤・非常勤) 日本語教師の主な仕事は「授業」とその準備や授業外での対応、ということになりますが、働き方によって仕事内容は異なります。 日本語教師には、常勤の教師、非常勤の教師、派遣、フリーランスといった雇用形態があります。常勤の教師というのは、いわば「正社員」です。学校側と雇用契約を結び、月給制でお給料が支払われます。教師として日本語を教える仕事だけでなく、学校運営や教室運営など、授業外の仕事も任される場合が多く、より様々な仕事をこなす必要が生じます。 大学等での非常勤講師は、いわば「アルバイト」や「パート」に近い働き方と言えるでしょう。「1コマ〇〇円」というように、コマ単位や時間単位でお給料が支払われます。教室運営など、授業外のことに携わる機会は少ないようですが、それでも授業の準備や提出物のチェック等、授業に関わる仕事は全般的にこなす必要があります。 派遣の仕事は、一般企業に派遣されて、その企業で働く外国人に日本語を指導する、といったお仕事です。一般企業での指導となれば、教える側にも一定のビジネススキルが必要だったり、教える内容がビジネス用語をはじめとする高度な日本語だったりします。求められるスキルや授業内容のレベルが高い場合があるため、一定のキャリアが必要になるでしょう。 フリーランスの日本語教師は、もちろん企業に雇われるのではなく、自分でお仕事をし、直接報酬をもらう仕事です。教師としての仕事の場は様々ですが、自宅やオンラインでレッスンをしたり、カフェなど外部の場所を借りて指導したり、といった場合が多いようです。お仕事がなければもちろんお給料はないので、非常勤や常勤の教師として十分な経験を積んでからフリーランスとして働く方が多いようです。 日本語教師の仕事には、人によって様々な働き方があります。現役の日本語教師の方が投稿している口コミサイトや、ベテラン日本語教師のコラムなどを参考にしてみるのもいいでしょう。 日本語教師の給料は安いのか? ここまで、日本語教師の主な仕事内容について解説してきました。そんな日本語教師ですが、ずばり、お給料は安いという話は本当なのでしょうか?結論から言えば、「安い」と言わざるを得ないようです。 平均年収 まずは、日本語教師の年収についてご紹介します。こちらは常勤と非常勤の二種類をご紹介します。 日本語教師の情報サイトや年収情報サイトなどを参考にしたところ、常勤の日本語教師の平均年収はおよそ350万円程度です。学校によって異なるようですが、国内の学校で雇われる常勤講師の場合には、およそ300万円~400万円と考えてよいでしょう。日本人の平均年収に比較すれば「安い」と言える額でしょう。 常勤の教師の中でも、国内の大学で雇用される場合には、比較的高い収入が見込めるようです。とは言え、大学の常勤教師として雇用されるためには、学士だけではなく、修士や博士の学位が必須となる場合がほとんどのため、ハードルは高いと言えます。学生の方は特に、大学選びも重要になってくるかもしれません。進学情報サイトでは、日本語教師になるためにおすすめの大学なども紹介されています。 非常勤の場合には賞与等がなくなるため、さらに低くなります。非常勤の日本語教師の平均年収はおよそ150万円~200万円程度のようです。中には50万円に届かない方もいるようですね。つまり、非常勤の日本語教師の場合は、かけもちで複数の授業を担当するか、他のアルバイト等と合わせて収入を維持する必要があるということです。高度なスキルや資格を持っていても、経験が浅い場合は非常勤講師からはじめ、キャリアを積んで常勤のポストを目指す、という方が多いようです。   海外の常勤日本語教師の収入 国内と海外で、日本語教師の収入には若干の差があります。海外での常勤の日本語教師の求人は、東アジアと東南アジアが多いようです。反対に、欧米圏での求人は少なく、求められるキャリアや学歴など、ハードルが上がるとされています。 海外の常勤日本語教師の収入は、年収に換算するとおよそ150万円~200万円程度とされ、同じ常勤でも日本国内で働く場合よりも低くなる傾向にあるようです。とはいえ、日本より物価が低い土地も多いため、日本での暮らしよりも楽な場合も多いようです。少なくともその国での暮らしには困らない程度の収入は得られるようですね。 国内と海外の待遇の違いについても、日本語教師を養成する学校の情報を参考にするとよいでしょう。   1コマあたりのお給料の相場 ここでは、非常勤講師の収入のベースとなる、授業1コマあたりのお給料の相場についてご紹介します。 1コマ45分の授業とした場合、平均でおよそ1500円~2000円程度とされています。時給に換算するとおよそ2000円~2500円ほどと、一般的なアルバイトに比べるとかなり高いと言えるでしょう。 しかし、非常勤講師の受け持つコマ数は人によって異なり、数が少なければもちろん収入は限られます。例えば、1コマ2000円で1日4コマ授業をし、それが週に3日あったとすると、月収は2000(円)×4(コマ)×3(日)×4(週)=96000円となります。とても生活できる額ではありませんよね。やはり先ほどもお伝えしたように、複数の非常勤先をかけもちしたり、他のアルバイトで補ったりといった仕方で生活している人が多いようです。 非常勤の厳しい事情として、大学の夏休みなど、生徒に授業がない期間は収入もない、ということがあります。また準備等、授業外での労働時間を含めると、実働時間が1コマあたりの給料に見合わない、という不満も見られるようです。加えて、非常勤の仕事は常勤とは異なり福利厚生なども整っていない場合もあるため、そのあたりも不安なポイントではあります。     総評:日本語教師の給料は安い 総評として、日本語教師の給料は「安い」と言わざるを得ないでしょう。国内で常勤の場合でも350万円程度と、日本人の平均年収に比しても高いとは言えず、コマ数の限定された非常勤講師の場合には複数の収入源を確保する必要があります。また、現役の日本語教師へのアンケート結果によれば、 もちろん、収入は国や雇用先によって異なる部分が大きく、当人のスキルやキャリアにも大きく左右されます。一概には言えませんが、特にキャリアの浅いうちは収入面で苦労する場合が多いと言えるでしょう。日本語教育のプロによる記事や、日本語教師を養成する学校の情報ものぞいてみるのをおすすめします。   まとめ 日本語教師の仕事とお給料について解説してきました。 日本語教師の仕事は授業だけではなく、その準備やテスト・宿題のチェックなどに加え、学校や教室運営など、意外と多岐にわたっていることがお分かりいただけたかと思います。その仕事内容は働き方や雇用形態にも左右されるため、一概には言えませんが、授業だけできればいい、というものではありません。 また収入面については、日本語教師のお給料は安い、と言わざるを得ないようです。特に非常勤の場合はそれだけで生活していくのが難しい額の収入しか見込めません。自分のスキルの向上やキャリアアップ、働く場所など、安定した収入を得るためには検討しないといけないことが沢山あります。自分に合った働き方や、自分の目指すキャリアを視野に入れて検討すると良いでしょう。  

日付2022/02/08/

場面別!日本語教師におすすめの教材を総まとめ!

日本語教師に必要な教材は、実は3種類に分けられます。 一つ目は「日本語教育能力検定試験に合格するために必要な教材」、二つ目は「外国人学習者が授業中に使うための教材」、三つ目は「日本語教師の参考書としての教材」です。 日本語教師のための教材と言っても、上記のように使用用途がまったく違うことがお分かりいただけるかと思います。 しかし、ネット上では混同して紹介されていることも多く、初めて日本語教師の教材を探す人には、少しわかりづらい部分もあります。 今回はこの3種類の教材を分類し、それぞれのおすすめをご紹介します。   日本語教師の教材3パターン 日本語教師資格試験の教材 日本語教師になろうと思ったら、まずは資格取得が必須。 しかし急に資格試験勉強や試験対策を初めても、この勉強を実際にどう使うのかがイメージしづらく、理解に時間がかかってしまいます。 まずは日本語教師の全体像を把握するとことから始めましょう。 イメージが掴めれば、勉強への意欲も高まります。   ■『日本語教師のスタートライン 本気で日本語教師を目指す人のための入門書』 日本語教育に関する書籍を数多く出版しているスリーエーネットワーク。 『日本語教師のスタートライン 本気で日本語教師を目指す人のための入門書』は、初めに読む本として最適です。 資格試験の勉強の導入に、全体的な知識を入れておきましょう。 その後の勉強の理解度が上がります。 引用ーーー ”日本語教育に一歩足を踏み込もうとしている人、踏み込んだばかりの人にはプロが執筆した参考書や専門書は難しすぎます。もっとわかりやすい切り口で読み通すことができ、日本語教育に関する専門的な知識の全体像を示した一冊です。” 「スリーエーネットワーク:日本語教育のスタートライン 本気で日本語教師を目指す人のための入門書」   ■『2020年 日本語教育能力検定試験 合格するための本』 日本語教師は民間資格のため、無資格でも人に日本語を教えることができます。 しかし、就職をするにしても実際に日本語を教えるにしても、日本語で日本語を教えるには知識とスキルが必要です。 日本人でも「あの時〜していたら」と「あの時〜していれば」の違いを、外国人学習者にわかりやすく説明できる人はほぼいないでしょう。 日本語教師の仕事をするためには、日本語教育能力検定試験に合格するか、学士の資格を保有し日本語教師養成講座420時間の修了のどちらかが必要になります。 日本語能力検定試験の合格を目指すなら、『2020年 日本語教育能力検定試験 合格するための本』がおすすめです。 株式会社アルクが毎年発行している教材で、日本語教育能力検定試験の最新の対策とが反映されています。 どんな問題が出題されるのかを知ることができ、またその難易度も実感することができる構成になっています。 引用ーーー ”本書の最大の特徴は問題について詳細な解説が付いているところです。日本語教育能力検定試験については、過去問とその解答が公開されていますが、なぜその解答になるのかという解説は公開されていません。本書で本試験と同傾向・レベルの類似問題を解き、解説を読むことで、理解が大きく深まります。” 「日本語ジャーナル:日本語教師になりたい人がまず読むべき本は? 編集部が選んだ6冊」より   ■『完全攻略ガイド』 ヒューマンアカデミーから出版されている『完全攻略ガイド』は、独学の必須本として、Amazonでベストセラーとなっています。 日本語教育能力検定試験に多くの合格者を輩出しているヒューマンアカデミー。 幅広い試験分野を1冊で学習できるように、内容を厳選してわかりやすく解説されているので、日本語教育能力検定試験に絶対合格したい人におすすめです。 引用ーーー ”赤本と言われるこの本は日本語教育能力試験を目指す人なら 誰でも持っている教材だと思います。” 「すずこりあ 韓国語の楽しさを伝えたいブログ」より   ■『日本語教育能力検定試験 50音順用語集』 こちらもヒューマンアカデミーから出版されている良書です。 勉強をスタートしたときにつまづくのが、試験勉強に出てくる専門用語です。 そもそもの言葉の意味がわからず、勉強が進まないということも。 『日本語教育能力検定試験対策 50音順用語集』は、厳選された重要用語がわかりやすく説明されているので、わからない単語があれば辞書のように引いて調べることができます。 また、関連用語も掲載されているので、試験対策だけでなく、日本語教師として仕事を始めてからも役に立ちます。 資格試験の直前には、この用語集で記憶の定着を確認しておくと効率的です。   ■『合格問題集』 『完全攻略ガイド』と『日本語教育能力検定試験対策 50音順用語集』で、内容を理解できたら、過去問に取り組みましょう。 ”過去問を解くことは、日本語教師養成講座を受講している人でも、独学で勉強している人でも、すべての受験生に必須だと思われます。初めの検定試験の傾向の探りと、最後の詰めは過去問がないとできません。最低でも3年分くらいあると繰り返し解けるのでいいでしょう。 ヒューマンアカデミーの「合格問題集」は解説がついていたので、一つ一つ解説を読みながら、攻略ガイドの該当ページを探して熟読しました。” 「jegs international:12冊の独学で合格した方法(日本語教育能力検定試験)」より 資格取得に向けて、まずは教材を揃えるところから。 オンライン通販でも教材を揃えることができますので、人気の教材や売れ筋の本を探してみましょう。 「Amazon:日本語教育能力検定試験 の 売れ筋ランキング」   外国人学習者が使う教材 日本語教育の現場でいう「教材」とは、日本語を勉強する外国人学習が授業や勉強で使うもののことです。 教科書が代表的ですが、教科書以外にもさまざまな教材があります。   ■「話す」ための教材 『わたしのにほんご』 外国人学習者の会話習得におすすめなのが、『わたしのにほんご』です。 日本語教育の本質は、日本語を使ってコミュニケーションをとることです。 会話ができるというのは、学習者にとっても学習意欲が高まる経験です。 わかりやすい教材があれば、会話の習得に役立ちます。 ”初級のうちから学習者の感情や経験を話せるように工夫された本です。 学習者も日本語を使って話せることを実感できるので、まだあまり文型を学習していなくても、ぜひ使いたい一冊です。” 「現役日本語教師×新米主婦:日本語教師におすすめの本|文法書・初級・中級・JLPT・ビジネスなど」   ■教科書 日本語学校の初級では、それぞれ指定の教科書を用いて授業を進めることが多いので、日本語教師が教科書を選定する機会は少ないでしょう。 しかし、上級やビジネスに特化したクラス、個別のオンライン授業などでは、日本語教師が教科書を選定する必要があります。 よく使用されている教科書の代表例としては、 教えるべき項目を文型で提示したシラバス『みんなの日本語 初級I』 学習者コミュニケーションをする必要がある「場面」を集めて作成したシラバス『はじめよう日本語初級1』 学習者の学習目的になっている話題を集めて編成したシラバス『J.Bridge for Beginners vol.2』 目的を達成するために必要な課題を編成したシラバス『まるごと・日本のことばと文化 (入門A1)かつどう』 などがあります。   ■補助教材 実際の授業は教科書だけでなく、補助教材も使用します。 教科書の文字だけでは理解しづらい部分を補うために、場面が想像しやすい「絵カード」がよく使われます。 上記の『みんなの日本語』の補助教材には『絵教材CD–ROMブック』があります。 教科書は多数出版されていますが、どの教科書にも基本的に副教材があり、教科書と合わせて使用できるようになっています。   ■辞典 『教師と学習者のための 日本語文型辞典』 「文型」は概念のため、今までは辞書で引くことができませんでした。 しかし『教師と学習者のための 日本語文型辞典』では、文型を意味・機能・用法の形式として分類し、辞書のように検索できるよう構成されています。 豊富な例文を用いて丁寧に解説されており、日本語教育の書籍でベストセラーの辞典となっています。 ”中級レベル以上の文型3000項目の表現を収録。日本語能力試験1・2級レベルの出題基準サンプルに加え、新聞・雑誌・小説・シナリオなど、実際に使われている日本語からも広く収集。文型を文や節の意味・機能・用法にかかわる形式という広い枠組みで捉え、それらが場面や文脈の中でどのように使われるのか分かるように記述されています。” 「Coto World Inc:日本語教育のプロが教える!日本語教師必携の参考書・辞典、4選!」 教科書、補助教材、辞典といった学習者向けの教材をご紹介しました。 学習者のレベルに合った教材を選定するのも、日本語教師の大切な仕事です。 新しい教材も随時出版されているので、ぜひチェックしておきましょう。 “そして、教材を選ぶ際に最も重要なのは、学生のレベルと学習目的にあったものを選ぶことです。 しかし、専任やレベル担当になると、よりよい教科書はないか他の教科書を見て教材研究を行い、新たに教科書を選定することもあります。 また、プライベートレッスンでは教師が学生に合わせたレベルの教科書を選ぶ場合もありますから、どんな先生でも、ある程度教科書選定に関わる知識は必要です。 学生の目標やレベルなどからシラバスデザインを行い、教材を考えられるよう準備しておきましょう!” 「日本語教師キャリア:日本語の教材って? 教科書選びのポイントやオンラインでも使える教材について紹介!」より   日本語教師の参考書としての教材 ■『日本語の教え方ABC―「どうやって教える?」にお答えします』 いざ授業を受け持つ段階になって、新米の日本語教師が戸惑うのは「教え方がわからない」ということです。 資格試験に合格し日本語教育に関する知識は十分でも、それを使いこなすには実践経験が必要。 そんな時は、「教え方」についての疑問を解決してくれる教材を活用しましょう。 ”タイトル通り、どうやって教える?に答えてくれる本。文型ごとではなく「推量」「様態」などのようにそれぞれ分かれており、推量では「ようです」「らしいです」「はずです」などが扱われ、それぞれの比較、説明、例文などを絵などを使って解説している。 豊富なアクティビティも紹介しており、巻末にはそれに使う絵が載せてある。拡大して学生に配ったり、教師が手に持って使用できる。 とりあえず初級を初めて持つ先生は何をしたらいいのかわからないので、これを参考にしてもいい。” 「日本語教師のN1et:初級おすすめ参考書」より   ■『基礎日本語辞典』 例文が欲しいのならハンドブックなどで十分ですが、学習者からので「なんで?」に答えるには、この辞典がとても役に立ちます。 例文が豊富で、微妙な使い分けも詳しく解説されています。 学習者が理解しやすい例文を提示するには、この辞典であらかじめ例文や答えをストックしておくと良いでしょう。 引用ーーー ”非常に詳しい言葉と文型の解説と、そして実に豊富な例文が載っており、どの参考書を調べても、ネットで検索しても、出てこないものは最終的にこれを見れば解決することも多い。似ている言葉との比較もあり、非常に助かる。” 「日本語教師のN1et:全級おすすめ参考書」   ■『短期集中初級日本語文法総まとめポイント20』 外国人学習者にとって、日本語の文法は難解です。 初級で学ぶ文法項目の20のポイントがまとめられている『短期集中初級日本語文法総まとめポイント20』は、参考書と問題集が一緒になっています。 授業の導入になりそうな例文やイラストが充実しているので、板書の参考にも役立ちます。 ”初級の内容を全部カバーしているわけではないですが、学習者が混乱しやすい20の項目だけがピックアップされているので、みん日の練習Bや文型練習帳に加え、ここから練習を抜粋して用意してもいいでしょう。” 「日本語教師は見た!:初心者におススメ!日本語を教えるための参考書5冊」より   ■『新人日本語教師のためのお助け便利帖』/『新人日本語教師のための授業づくり練習帖』 毎日の授業は、失敗と改善の繰り返しです。 日本語教師になりたてのころは、授業の時間配分、語彙の説明、テストの作り方、学習者からの質問に答えられないなど、さまざまな悩みが発生します。 この2冊には、新米日本語教師が直面する問題を解消するためのアドバイスが詰まっています。 “日本語教師は日々の経験と内省の積み重ねで指導がうまくなっていく仕事ですが、初めのうちは経験も日本語の知識も不足しているのでとにかく大変です。 そんなときにこの2冊がお守りのような存在になってくれるので、これから日本語教師を始めようと思っている方、もしくはすでに日本語教師として働き始めている方に是非おすすめしたいです。” 「koguma:これから日本語教師を始める人におすすめしたい参考書、教科書を紹介!」   ■『日本語授業の進め方 生中継』 教科書と合わせて、教え方の手引などを参考ししている日本語教師の方も多いでしょう。 しかし、「教え方の手引を参考にしても、どうやって授業をすればいいかわからない」ということもあります。 『日本語授業の進め方 生中継』は、初級の指導に必要不可欠の文型指導が23個の授業にまとめられています。 一部のトピックは実際の授業の様子を動画で見ることができ、時間をかけずに具体的な授業の流れを理解できる一冊となっています。 ”本書は日本語教師25年以上のベテラン講師の生授業を取材したもので、教え方が授業の流れなどが紹介されています。 写真もたくさんあり、授業のテクニックなども書いてあるので、特に経験の浅い先生には役に立つと思います。” 「日本語NET:新米日本語教師におすすめの参考書」   ■『絵を描いて教える日本語』 指導方法のスキルアップに使える一冊。 各文型を解説するときにどういう絵が効果的なのかという観点から書かれた、実用的な本です。 日本語がわからない人に日本語を教えるときは絵カードが効果的ですが、会話の途中などで、すぐに絵カードのような教材を出すことができない場面も多くあります。 そうした場合に簡単なイラストがかければ、指導もコミュニケーションもスムーズになります。 絵心がなくても相手にわかりやすいイラストの書き方とその使い方が載っているので、読んですぐ、毎日の授業に活用できます。 東京外国語大学の推薦図書にもなっているほど、評価の高い良書です。 ”「ドアが開いている」と「ドアが開けてある」の違いを絵で描き表わせるか。直接教授法で必須となる、絵による技法へのヒントがたくさんつまっている。” 「東京外国語大学日本課程推薦図書リスト・ 日本語教育学」より   まとめ 資格試験のための教材、学習者のための教材、日本語教師の教材の、それぞれのおすすめをご紹介しました。 日本語教師としての自身のレベルや学習者のレベル、学校での授業やオンラインでの授業と、日本語教師が必要とする教材はそのシーンによって多岐に渡ります。 もし何か探している教材や参考書があれば、「日本語教師読本Wiki:教師向けの本」が便利です。 定番の書籍から、新米教師向けの本、文法に特化したものや授業のアイデア集など、いますぐ参考になる書籍を調べることができます。 今回ご紹介した教材以外にもさまざまな書籍が発行されているので、ぜひ日々の日本語教育に役立ててください。  

日付2022/02/08/

日本語教師を目指す人におすすめしたい本

「日本語教師を目指したい。でも、どのような参考書や本、書籍を読んで勉強したらいいのかがわからない」という人もいるのではないでしょうか。 日本語教師の仕事をするにあたり、特別な資格は必要ありません。しかし、日本語教師の人が読むべき本や参考書は多種多様です。文法だけでなく、クラスで行う活動やJLPTなどの知識もつけておく必要があるからです。 当記事では日本語教師を目指す人や初心者の日本語教師の人におすすめの本や参考書を、初級・中級などのジャンル別に紹介します。   初級レベルの日本語について知りたい人におすすめの本 みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き 「みんなの日本語」とは、国内・海外を問わず、多くの日本語学校の生徒がが使っている教科書です。初めて日本語教師になった人が、みんなの日本語を使って授業をすることも多いでしょう。 『みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き』は、『みんなの日本語 初級I 第2版』の指導書で、課ごとの授業の進め方や例文などが載っています。 授業で用いる教科書がみんなの日本語の人は、『みんなの日本語初級I 第2版 教え方の手引き』があれば、初めて専任の講師として勤務する場合でも、スムーズに授業を進めることができるでしょう。 なお、教え方の手引きには初級と中級、第1版、第2版の4種類があります。教え方の手引きを購入したい人は、事前に自分が用いるみんなの日本語を確認して、違う種類のものを買わないようにしましょう。   初級を教える人のための日本語文法ハンドブック 「日本語教師になって間もないので文法をもっと詳しく勉強したい」という人には、初級レベルの文法がまんべんなく解説されている『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』がおすすめです。みんなの日本語を出版しているスリーエーネットワークが出版しています。 この本は2部構成であり、個々の文法項目についてまとめた1部と、品詞や活用など全体にかかわる基礎的なことをまとめた2部にわかれています。さらに各文法項目は、下記の3つの要素に分けて解説されています。 ・これだけは ・もう少し ・もう一歩進んでみると 「これだけは」にはその文法を教えるにあたり最低限知っておくべき情報が、「もう少し」にはハイレベルな学習者向けの情報が、「もう一歩進んでみると」には文法項目の理論的な解説が、それぞれ記載されています。 そのため、初級レベルの文法知識はもちろんのこと、ハイレベルな知識を学んでスキルアップし、高い給与を得たい人にもおすすめの一冊です。 なお、2021年11月現在、Amazonの公式サイトにて試し読みをすることができるので、興味がある人は見てみてください。   日本語の教え方ABC―「どうやって教える?」にお答えします 『日本語の教え方ABC―「どうやって教える?」にお答えします』は、日本語学校に就職して間もない人や、日本語教師未経験の人向けに作成された本です。「キクタン」などで有名な株式会社アルクが出版しています。 全30課に分かれており、それぞれの課に下記の項目が記載されています。 ・文型 ・文法知識の整理 ・教え方の例 ・活動例 ・コラム ・板書マーク そのため、この本を購入すれば、日本語の文法の知識だけでなく「どうやって学習者にその文法を教えればよいのか」も勉強することができます。日本語を実際に教えたことがない人や、教え方に自信がない初心者の日本語教師におすすめの一冊です。 なお、2021年11月現在、Amazonの公式サイトにて『日本語の教え方ABC―「どうやって教える?」にお答えします』の第1課を試し読みすることができます。   初級日本語文法と教え方のポイント 『初級日本語文法と教え方のポイント』は、初級で教える69の文法をまとめた本です。みんなの日本語を出版しているスリーエーネットワークが出版しています。 文法項目ごとに「学習者からよく出る質問」や「学習者の誤用の例」、意味と用法の「説明」がまとめられているので、学習者の目線に立って文法を勉強することができます。 また、指導法や指導ポイントもまとめられているので、経験が豊富ではない日本語教師は、この本から教案を作る際のヒントを得られるでしょう。   中級レベル以上の日本語を勉強したい人におすすめの本 中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック 国際交流基金の公式サイトを見ると、中級とは「より広い世界で、自立的に、『やや抽象的、一般的、公的』で、やや複雑な課題を遂行していくことが可能になる段階」と定義されています。 中級レベルの学習者は、日本の大学に通っている学生にもよく見られます。日本の大学に通う海外の学生は、限られたコマ数の中で日本語を勉強し、その他の時間で自分の専門の勉強をします。生活もあるので授業後にアルバイトにはげむ人もいるでしょう。 そんな中級の学生に日本語を教える日本語教師には、『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』の中上級版である『中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック』がおすすめです。 『中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック』は、『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』同様、各文法項目で下記の3つが書かれています。 ・「これだけは」:その文法を教えるにあたり最低限知っておくべき情報 ・「もう少し」:ハイレベルな学習者向けの情報 ・「もう一歩」:補足的な情報や文法項目の理論的な解説 中上級の学習者を教える際の基本的な知識だけではなく、専門的な知識や考え方を勉強したい日本語教師にもおすすめの一冊です。なお、2021年11月現在、Amazonの公式サイトにて試し読みすることができます。   中級日本語文法と教え方のポイント 日本語の語彙や文法について書かれた参考書はたくさんあります。なかでも、語彙や文法をどう教えるかが記載された『中級日本語文法と教え方のポイント』は、日本語教師が持っておきたい本のひとつです。   『中級日本語文法と教え方のポイント』は、『初級日本語文法と教え方のポイント』の中級編にあたるもので、文法項目が「いつ使われるか」のか、その文法に似た類語表現はなにかが重点的に解説されています。 また、『初級日本語文法と教え方のポイント』同様に、文法項目ごとに「学習者からよく出る質問」や「学習者の誤用の例」、がまとめられています。   クラス活動について学びたい人におすすめの本 イラスト満載! 日本語教師のための活動アイディアブック 日本語教師はときに、学習者たちに体を動かしてもらって文法の定着を図ることもあります。そのため、日本語教師になりたい人や日本語教師になったばかりの人には、いくつかクラス活動をストックしておくことをおすすめします。 クラス活動を考える際に役立つのが、『イラスト満載! 日本語教師のための活動アイディアブック』です。日本語の学習者が、楽しく学べるような活動を紹介しています。たとえば、下記のようなクラス活動のやりかたが載っています。 ・自己紹介カードを見て誰の自己紹介なのかを当てる ・乗車券で日本の東京や京都などの観光名所を訪ねる ・2枚のイラストを使って間違い探しをする 実際に学んだ文法を用いてゲームをしたり、ロールプレイングをしたりすることで、文法が学習者に定着しやすくなります。   日本語教育能力検定を受けたい人におすすめの本 日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版 日本語学校によっては、日本語教育能力検定に合格していることを条件にしている場合もあります。そのため、日本語教師を目指している人の中には、日本語教育能力検定試験への合格を目指す人もいるのではないでしょうか。 日本語教育能力検定試験とは、日本語教師として基礎的な知識が備わっているか、状況に応じてその知識を活かす能力があるかどうかを測る試験のことです。 日本語教育能力検定の勉強をするなら『日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド 第5版』がおすすめです。日本語教育能力検定試験に合格しているかどうかで給料が変動する日本語学校もあります。 日本語教育能力検定で出題される幅広い問題を網羅し、解説されているからです。実際、日本語教育能力検定試験の対策本の中でも人気のある商品です。なお、2021年11月現在、Amazonの公式サイトにて試し読みすることができます。   JLPT対策について知りたい人におすすめの本 パターン別徹底ドリル 日本語能力試験 日本語能力試験(JLPT)は、日本語版の英語検定やTOEICのような試験です。日本語学習者の「読む・聞く」の能力を、N1〜N5までの5つのレベルで測ります。 日本の企業で働くならば、N1やN2レベルの日本語力が求められます。そのため、JLPTのN2やN1の合格を目指す学習者は多く、日本語教師にJLPT対策の授業を求めることが多々あります。 JLPT対策について勉強したい人には、株式会社アルクが出版している『パターン別徹底ドリル 日本語能力試験』がおすすめです。 『パターン別徹底ドリル 日本語能力試験』は、過去の日本語能力試験の問題を、語彙・聴解・文法・読解にわけて、出題される頻度ごとにまとめられています。 『パターン別徹底ドリル 日本語能力試験』は、N1~N5までレベル別に参考書がわかれています。『パターン別徹底ドリル 日本語能力試験』の購入を考えている人は、自分が担当するクラスのレベルの本を買うようにしましょう。

日付2022/02/08/

疑問

コロナでの日本語教師の仕事は?今後どうなる?今すぐやるべきスキルアップ策!

コロナ禍で様変わりしてしまった社会情勢。 日本語教育の現場も大きく打撃を受けました。 日本語教師になりたいと思っている人も、いま日本語教師をしている人も、今後の日本語教師の先行きに不安を感じるのは当然です。 今回はそんな不安を少しでも解消すべく、コロナ禍での日本語教育の現場、日本語教師の仕事の今後、今からやるべきスキルアップについてご紹介します。   コロナ禍の日本語教育の現場 外国人留学生・労働者の入国制限 2019年末から始まったコロナウイルスの感染拡大は、感染者数の増加と昇降状態を繰り返しながら、2021年現在も続いています。 引用ーーー ”外国人を顧客としている会社はこのコロナ禍でかなりの苦戦を強いられているですが、日本語学校をはじめ日本語教育機関(大学も含む)も全く同じ状況です。パスポートもビザも準備できているけれど、留学生が日本に入国できない、のです。” 「コロナ禍の外国人と日本語学校」より 日本国内での日本語教師の雇用は、こうした留学生や外国人労働者を生徒に持つ日本語学校がメインのため、日本語教師の雇用崩壊が叫ばれた時期もありました。 2021年4月22日に、日本語教育機関関係6団体《(一財)日本語教育振興協会 (一社)日本語学校ネットワーク (一社)全国各種学校日本語教育協会(一社)全国日本語学校連合会 全国専門学校日本語教育協会 (一社)全日本学校法人日本語教育協議会》によってまとめられた、「コロナ禍における日本語教育機関の 窮状と支援のお願い」では 引用ーーー ”• 昨年に引き続き相当数の日本語教師の雇用が失われる • 高いスキルを持つ日本語教師であっても、一度失職すると、二度と戻らない 優秀な教師の失職 ↓ 後進の育成体制も失われる ↓ 我が国の外国人受け入れ体制に大きな傷跡を残す” コロナによって日本語教師の多くが失職してしまうと、この先の日本語教育の現場が成り立たないと注意喚起がなされました。 「一般財団法人日本語教育振興協会 令和2年度 事業報告」では、 新型コロナウイルス感染症への対応がまとめられ、全国の日本語教育機関へコロナについての情報の発信、関係省庁や各政党等に日本語教育機関の次の要望事項を説明するなどの対応がとられました。 日本語学校も経営難に陥り、常勤講師の離職、非常勤講師やフリーランスは仕事自体がなくなるなど、多くの人が生活難を経験する事態となりました。 これは日本語教育の場だけでなく、他の業界でも同じ状況となりました。   入国制限の緩和 入国制限は2021年11月に段階的緩和措置がとられ、仕事や留学での日本への入国が一部可能になりました。 ”皆様もご存知の通り、2019年末の新型コロナウイルス(COVID-19)の発生により、世界的に移動が制限され、日本留学を希望する多くの外国人の皆様が日本に入国できなくなりました。 しかし、ようやく2021年11月8日より入国制限が緩和されたことに加え、在日外国人の日本語教育需要が増加しています。” 「日本語教師とは?日本語教師になる方法」より ※2021年12月現在段階的措置の一時停止が行われていますので、詳しくは「外務省 国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について」をご参照ください。   日本語教師の仕事は減り続ける? コロナによって激減してしまった日本語教師の仕事ですが、今後も減り続けるのでしょうか? 日本語教師は、外国人の学習者に日本語を教えることが仕事です。 そのため、日本への留学や就労を希望する人、日本語の習得を望む人がいれば、まだまだ人気のある仕事といえます。 日本政府の方針や、海外での需要、オンライン教育の発展を考えると、今後も需要が減り続けるというのは悲観しすぎかもしれません。 その理由を個別に見ていきましょう。   日本政府は外国人労働者の受け入れを続ける 引用ーーー ” 平成 31 年4月から,新たな外国人材の受入れ制度(在留資格「特定技能1号」 及び「特定技能2号」)が開始され,今後も在留外国人の増加が見込まれる中で, 外国人を日本社会の一員として受け入れ,外国人が社会から孤立しないように するためには,日本語を習得できるようにすることが極めて重要である。我が国 に在留する全ての外国人が日本社会で生活していく上で必要となる日本語能力 を身に付け,教育・就労・生活の場でより円滑に意思疎通できる環境を整備する ため,学習目標を明確化するとともに,日本語教育の更なる充実が求められてい る。” 日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針 令和2年6月23日 閣議決定より   引用ーーー ”長期的な視野で考えれば、日本の少子高齢化は改善される見込みは低く、 外国人就労者の需要は従来の推察通り増していくでしょう。 また、オンラインでの授業スタイルが定着してきており、 自宅から海外の日本語学習者に向けて日本語教育をおこなう新たな選択も広がりつつあります。” 「全養協こぼれ話「日本語教師の現状と今後について」より 日本全体でみると、人口減少改善に即効性のある方法はなく、経済社会を維持するためには労働者の確保は必須です。 日本の国策として、今後も外国人労働者の受け入れは継続する方針です。 日本で働く外国人労働者が増える以上、企業内で外国人の社員に日本語研修を行う日本語講師や日本語学校の教師は、これからも必要とされる仕事といえます。   海外でも日本語教師は需要あり ”中国国内では日本語教師募集のお知らせが頻繁にあります。上海や北京にももちろん求人はありますが、地域にこだわらなければさらにチャンスが広がるでしょう。基本的に大学卒業の経歴があれば、中国の大学で日本語教師として学生に教えることができます。コロナ禍だからといって減少傾向ではありません。実はコロナ禍の前から中国ではどの大学でも日本語教師不足です。日本人不足によって日本人と実際に話した経験がない学生も沢山いて、北京や上海以外の地域では、日本人が1人しか居ないことも。そのような地域に行ったなら、現地の人々はとても歓迎してくれます。しかし、その状況に天狗にならず、地道に日本語教師として基礎を固めていきましょう。” 「中国の日本語教育事情~20年の教師としてのキャリアとコロナ禍の現状」より 日本だけでなく海外にも、日本語教師として働ける場所はたくさんあります。 中国や韓国、台湾、インドネシア、オーストラリアなどは、コロナ以前から日本語学習者が多い地域ですし、コロナ収束以降は日本語教師の需要も再度高まっていくと予想されています。   働き方の多様化 コロナがもたらした災厄は大変なものでしたが、その結果オンラインでの働き方が加速しました。 これは日本語教師にとってもメリットといえます。 引用ーーー ”国内で主な勤め先となるのが、日本語を教える専門スクールや高等教育機関への進学を主な目的とする日本語学校です。また、学生の国際交流や留学サポートなどを行う大学の留学センターで、外国人留学生に対して指導を行う仕事もあります。” ”ほかには、外資系企業の外国人ビジネスパーソンを相手に、日本語レッスンを行う仕事もあります。” ”さらに、インターネットの普及により、Webカメラを使ったオンラインでの個人レッスンも増えています。レッスンの場所も時間も自由に選べるため、働きやすい形態です。”「ユーキャン・国内での日本語教師の仕事」より ”2013年以降、右肩上がりで増加していた日本国内の在留外国人数ですが、新型コロナウイルスの影響により、残念ながら直近の人数は一時的に減少しました。 しかし、例えばTCJでは、2020年4月よりハイブリッド形態(登校とオンラインを任意に選択可能)にリニューアルした在日外国人専用の日本語学習コースにおいて、現在までに累積250名を超える新規学生が入学されました。” 「日本語教師とは?日本語教師になる方法」より 今まで日本国内では、教師は日本語学校に出勤して、そこに集まっている生徒に対して直接授業を行うという形式がほとんどでした。 しかしコロナによって、ビジネスミーティングや大学の授業もオンラインで行われるようになり、通信講座や各種授業もオンラインに特化しているところが増えています。 感染のリスクを避けて自宅で学習できる、自宅で仕事をできるというのは、日本語教師にとっても外国人の学習者にとってもメリットが多く、オンライン化は今後さらに一般的なものになっていくでしょう。   コロナがもたらしたキャリアについての意識の変化 ”株式会社ビズリーチが2020年4月に会員に対して行った調査(有効回答数517)によると、 「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、 自身のキャリア観に変化があったか」という問いに対して56%が「変化があった」と回答し、うち92%が「企業に依存せずに自律的なキャリア形成が必要」と回答しています。  Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)を考えざるを得ない時代の中で、コロナをきっかけに、自律的なキャリアを考え始める人が増えているようです。 ” 「VUCA時代に注目される日本語教師資格」 すでに日本語教師として働いている人は実感があるかもしれませんが、日本語教師はもともと、自律的なキャリア形成を行ってきた職業です。 留学生に教えるのか外国人就労者に教えるのか、場面に応じて求められるスキルも変わりますし、時代によっても教える内容は変化していきます。 日本語教師はそうしたケースに応じて指導方法を変え、キャリアを育ててきました。 また、本業で仕事をしながら副業やボランティアで日本語教師をする、フリーランスとしてオンラインで教室を持つなど、パラレルキャリアの構築にも有利な仕事なのです。 こうしたキャリア形成の考え方が身についていれば、コロナ禍での変化にも十分に対応していけるでしょう。   今すぐやるべきスキルアップ 今のうちに日本語教師の資格を取る 街を見渡せば、少しずつ人通りも回復に向かっている日本。 これから入国制限の解除が進めば、日本語教師の不足を補うために募集・採用枠も増える見込みです。 引用ーーー “コロナが終息へ向かうと、以前の様に日本語教師募集求人がかなり増えてくると予想されます。そうなってから資格取得に向けての勉強を始めると時間がかかりますよね。 今勉強を開始し、資格を取得しておいて、終息へ向かう頃にはすぐに万全の態勢で就職活動に取りかかれるように今準備を始めておくのが賢明ですね。” 「KEC日本語学院 公式ブログ」より これから日本語教師になりたいと考えているのであれば、今のうちに日本語教師の資格をとっておくのがおすすめです。 日本語教師の需要が回復した時に、スムーズに仕事を始めることができるでしょう。 「アルファ国際学院」のようにオンライン講座を行っているところであれば、コロナ禍でも日本語教師の資格を取得することができます。 また、日本語教師の資格をとっておけば、オンラインで自分で仕事をするという選択肢も増えます。   オンライン日本語教師にチャレンジしてみる 引用ーーー ”オンライン日本語教師は、基本的には教員免許や日本語教育に関する資格を持っていなくてもできる仕事です。オンライン日本語教師のなかには、サイトに登録して本業とかけ持ちしている人も少なくありません。そのうち、資格を持たずに教えている人も多数います。” ”オンライン日本語教師は、資格や教えた経験がなくてもできるため、はじめやすい仕事です。インターネット環境とオンライン通話のできるパソコンなどの機器があれば、好きな場所で講師活動ができます。” 「にほんご日和」より 日本語教師の資格は国家資格ではなく民間資格なので、今のところは何も資格がなくても、日本語教師をすることができます。 今後国家資格にする動きはあるものの、具体的な時期は決まっていません。 日本語学校では、採用時に日本語教師資格保有者を条件としていることが多いのですが、オンラインの場合は資格不要で仕事をすることができます。   引用ーーー ”オンライン日本語教師になっても、誰もがコンスタントに仕事が取れるわけではありません。仕事があるかどうかは、講師自身のティーチングやコミュニケーションのスキルに大きく左右されます。” 「にほんご日和」より   とはいえ、「仕事をすることができる」のと「仕事ができる」というのは全く別物です。 日本語を日本語で教えるには、日本語に関する知識はもちろん、外国人の学習者にわかりやすい授業を行うというスキルが求められます。 その結果上記の引用にあるように、オンライン上で仕事を取れる人と、仕事を取れない人という差が現れます。 これから活発になると予想されるオンラインでの日本語教育ですが、日本語教師の資格を保有しているというのは強みになります。 早めに参加してオンライン指導経験を積んでおくのも、これからの日本語教師人生で役立つ経験となるでしょう。   コミュニティで情報収集する 小さな不安も一人で抱えていると、だんだんと大きくなってしまいます。 自分の知っている情報や感覚だけでは、こうした不安を解消することは難しいので、多くの人と情報交換をしましょう。 同じ職場の人と話をすることも大切ですが、立っている場所や条件が同じだと、不安や愚痴を話すだけになってしまうことも。 違うコミュニティに参加することで、新しい仕事に出会えたり、現状を打破するいい方法が見つかるかもしれません。 「大谷書店」は、日本語学習者のためのテキストや問題集を取り扱う書店です。 これから日本語教師を目指す人や、現役の日本語教師の人が使う専門書、視聴覚教材などを豊富に揃えています。 大谷書店では、アルバイト支援やシンポジウムの開催など、日本語教師のサポートもしています。 実用書や参考書を見に行った際には、こうした集まりに参加してみるのもいいでしょう。 近くにこうしたコミュニティがない場合は、オンラインイベントを活用しましょう。 「日本語教師お仕事報告会・コロナ禍の日本語学校」では、コロナ禍での授業形態、学校の対応、オンライン授業のメリット・デメリット、苦戦したことなど、実際の現場での体験を共有しています。 コロナ禍でオンラインでの交流が後押しされ、日本語教師同士での意見交換や情報交換も盛んになっています。 こうしたコミュニティに参加することで、コロナ禍・コロナ禍以降の働き方について、新しい発見を得られるかもしれません。   まとめ コロナによって大きく変化した社会ですが、一般企業も日本語教師も同じく、その変化に対応していかなければなりません。 オンライン化がさらに進むと、人を必要としない仕事も増えていきますが、人と人とのコミュニケーションは機械では代替できないものです。 日本語教師の仕事の本質は、言語が異なる人に日本語でのコミュニケーション方法を伝えること。 これからのコロナの状況がどう変化したとしても、日本語や日本の文化を学びたい人とつながることができれば、日本語教師として仕事をしていくことは十分に可能です。 日本語学校で教壇に立つことはもちろん、日本にいながら世界の外国人の学習者に日本語を教えることもできます。 これからの働き方に目を向けて、充実した日本語教師生活を送りましょう。

日付2022/02/08/

お悩み

日本語教師の将来は?食べていけない?そんな不安を解消!

目次 ■日本語教師の現状  ・需要は増える?  ・需要は減る?  ・日本語教師は食べていけない?  ・実際の求人募集の内容は?   ■日本語教師の不安と業務内容への不安  ・ フリーランス、非常勤講師の場合の雇用形態への不安  ・ 常勤講師の場合の業務内容への不安   ■将来への悩みや不安を解消するには  ・スキルアップのチャンス!と捉える  ・環境を変えてみる まとめ   日本語教師の現状 日本語教師は「人材不足」が指摘されている一方で、「今後業界全体が縮小するのではないか」とも言われています。 さて今後、日本語教師の需要は増えるのか減るのか、どちらなのでしょうか? これから日本語教師を目指そうと考えている人も、いま日本語教師として働いている人も、将来的な仕事の需要は気になるところ。 今回は、日本語教師という仕事の将来について解説します。 また将来への不安を感じている方に、不安解消に役立つ方法をお伝えします。    需要は増える?   まずは、内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針2019」を見てみましょう。 日本政府は2019年4月に新しい在留資格「特定技能」を定め、外国人労働者の受け入れや、留学生の日本での就職をすすめています。 国をあげての施策には、日本の少子高齢社会による労働力の減少があります。 日本国内だけの労働力では足りないので、外国からの人材を企業で迎え入れ、労働人口を補填しようという動きです。 今後も外国人労働者が増えるのであれば、日本語を学びたい人の数も増えるので、日本語教師の需要も増加すると予想されます。 引用ーーー “さらに、今後「公認日本語教師」という国家資格も新設される予定です。 日本語を学ぼうとする外国人はこれからも増え続けるため、日本語教師の需要はしばらくは増え続けそうですね。” 「日本語教師センリのブログ」より 世界に目を向けてみると、海外でビジネスを展開する場合や、日本との輸出入などのやり取りは英語の使用がメインのため、日本語の需要は少ないのが現状です。 しかし、アニメや漫画といったサブカルの人気が上昇しているので、「もとの言語でアニメを楽しみたい」「日本のカルチャーを学びたい」といった人が増えています。 従来の需要とは違う理由で、日本語教師の需要が出てきているのです。 引用ーーー "趣味や進学、仕事など日本語を学ぶ目的も多様化しています。そうしたニーズに合わせて今後は、進学、ビジネスなど得意な専門分野をもっていると強みになると考えられます。 また、インターネットを使ったオンラインレッスンも人気があり、働き方が多様化するとともに、活躍する場は増えていると言えます。" 「スタディサプリ進路」より   需要は減る? コロナ禍のため、日本で働く外国人労働者の数は、この2年は局所的に減少しています。 そうした人たちを生徒としていた日本語学校などは、経営難に陥り倒産するところや、日本語教師のリストラを行うところもありました。 しかしコロナ禍による不安定さは、日本語教師以外の仕事も同じです。 コロナなどの感染症や天災が引き起こす世界的な大きな変化はもちろん、オンライン化やDX化にともなって、さまざまな仕事が変化を余儀なくされています。 "コロナ禍で、日本語教師が働く日本語学校等、日本語教育関連機関は経営の危機に直面しています。実際、先日も外国人実習生の介護仲介団体が破綻したニュースがありました。 また、生徒の減少で日本語教師を解雇した機関も多くあり(つまりリストラされた・失職した日本語教師が多数おり)、当面、日本語教師の雇用は、通常よりもさらに不安定な状態が向こう数年は続くものと思われます。" 「日本語教師info」より このように、日本語教師の将来性と需要については、現在日本語教師をしていたり、学校を運営している業界関係者内でも意見が分かれているのが現状です。 これから日本語教師を目指す人は、今までとは違う働き方や、新しい生徒・顧客の獲得に目を向ける必要があるといえます。 オンライン授業のスキルを習得しておくのも有効な手段です。 もし日本国内の需要が減少したとしても、オンラインなら世界中の生徒に日本語を教えることができます。   日本語教師は食べていけない? 実際に日本語教師を仕事にして生活している人は、どれぐらいいるのでしょうか? 日本語教師で食べていけるのでしょうか? 結論としては、日本語教師として10年以上勤めている人は全体の3割以上にのぼり、日本語教師として生活をしていくことは、可能といえます。   日本語教師を10年以上続けている人は、全体の3割 引用ーーー ”文化審議会分科会(2020)によれば、日本に在留する外国人の数は、令和元年時点で283万人に上る一方、日本語教育を職業とする日本人教師の数は1万9千人に留まっている。 この要因の一つに、「日本語教師は食べていけない」言説が広まったことで、若者が日本語教師を職業として選択しないということが考えられる。(丸山2015) 一方、一般社団法人日本語教育振興協会(2020)が行った調査によると、現役日本語教師の勤続年数は、10年以上が30.4%で最も多かった。しかし、次いで多いのは1-3年未満で23.6%であった。” 「拓殖大学 日本語教師のキャリア形成に関する一考察」より この調査から、日本に在留する外国人の数に対して、日本語教師の人数はとても少ないことがわかります。 10年以上日本語教師としてキャリアを形成している人が全体の約3割と、日本語教師として生活をしていくことは可能ということもわかります。 しかし、一度は日本語教師の職についたものの、1年から3年で離職する人が2割以上いるという点が、これから日本語教師を目指す人にとっては不安を感じるところではないでしょうか。   1-3年で日本語教師を辞める人は、全体の2割 一橋大学の論文でも、日本語教師になって1-3年の新米の教師は、不十分な自身のスキルや資格への不安、環境的不安は日本語教師としてのキャリアプランや、日本語教師という職業自体への不安を抱えていると書かれています。 仕事を始めてから3年というのが、キーポイントになりそうです。 では、日本全体の社会人、3年以内の離職率と比較してみましょう。 「厚生労働省 広報 令和2年 新規学卒就職者の離職状況を公表します」によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者36.9%、新規大卒就職者31.2%となっています。 全体の離職率と比べると、日本語教師が極めて離職率が高いわけではなく「そもそも3年以内に離職する人が多い」といえます。 日本語教師の3年以内の離職率は、日本全体の社会人の3年以内の離職率よりも少ないですし、日本語教師は食べていけないというのは、ケースバイケースでしょう。 しかし、一部の人は日本語教師として食べていけないというのも事実です。 今後日本語教師を目指す人は、「日本語教師は食べていけない」というイメージに囚われず、働く場所や働き方について、自分のライフプランに合うところを探すことが大切です。 自身のライフプランや短期の目標が漠然としていると、悩みや心配が増えることがあります。 日本語教師になるか、一般企業に就職するか、大学院にいくか、たくさんある選択肢を選びきれず、結局どれも逃してしまったという人もいます。 引用ーーー ”先行きが不安です。人生失敗してばかりです。日本語教師として頑張りたかったけれども、自分のせいで失敗しました。 日本語教師として活躍するのはもう無理なのでしょうか。非常勤の掛け持ちで生活できるのでしょうか。自分がとても情けないです。” 「生き方・人生相談」より またその一方では、下記のような人もいます。 一般的な普通の企業に就職して離職・転職した人の例です。 引用ーーー ”私は新卒で3年半、業界では大手の一般企業に勤めていました。人並みのキャリアも歩ませてもらっていました。毎月美容院へ行って、時々マッサージにも行って、シーズンごとに新しい服を買って、普通の会社員生活を送っていました。 でも、どこか満たされない気持ちで働いていました。日本の会社の年功序列や前例、挑戦しない姿勢、時代の変化に乗り遅れるなど、少し嫌気が指していたんだと思います。 〜 あまりうまく言えないけど「人生が変わった」と、本気でそう思っています。こういう話って、なんだかうさんくさい気がしますが・・・(笑) でも正直、それが「日本語教師が天職だったから」と断言はできません。ごめんなさい。まだ3年目なので。(笑) ただ、新しい世界に踏み出したことで、自分の価値観や、考え方が変わったことを実感しています。” 「私、25歳でOL辞めて日本語教師になりました。」より 日本語教師を目指して現在は養成講座を受講しているという人も、将来の働き方について具体的な目標を持っています。 引用ーーー ”日本の日本語学校でしばらく経験を積んでから、海外で働きたいと思っています。経験を積んだら、プライベートレッスンや企業講師などにも挑戦していきたいです。将来的には、前職の経験を活かし、日本語のサービスランゲージやマナー・接遇を専門に教えていく日本語教師にもなれたらよいなと漠然と目標を抱いています。日本語教師は選択肢が沢山あるので、夢が広がります。” 「日本・海外で活躍する先輩の声」より 同じ日本語教師を目指す人でも、将来に対する展望がまったく違うことがわかります。 人生100年時代と言われる現代においては、一つの企業で一生勤め上げるというという働き方自体が変化しています。 「就職できたら安心」という固定概念が強すぎると、前者の人のように悩みが強くなってしまうかもしれません。 変化に柔軟に対応していくスキルが必要でしょう。   実際の求人募集の内容は? 「indeed 日本語教師関連の求人」をみてみると、日本語教師の募集はアルバイト・パートが57件、正社員51件、契約社員18件、業務委託11件、ボランティア8件、新卒採用3件と、全体で152件あります。(2021年12月現在) 正社員の募集概要でみてみると、月給19万〜35万、年収400万以上を提示している企業も見受けられます。 また勤務時間や休暇、福利厚生についても明記されています。 雇用の条件では、一般企業と特に違う点はないといえます。   雇用形態への不安と業務内容への不安 正社員として日本語教師をする場合の条件面は、前述のように一般企業への就職と大きな違いは見受けられません。 ではなぜ、日本語教師の将来が不安視されているのでしょうか? 「雇用形態への不安」と「業務内容への不安」が、理由として考えられます。   フリーランス、非常勤の場合の雇用形態への不安   引用ーーー ”元々、日本語教師業界は非常勤が7-8割を占めていましたが、今後はますます非常勤が主流となるとみられます。「非常勤」といえば聞こえがよいかもしれませんが、実質アルバイトであり、フリーターです。” 「日本語教師info.」より 日本語教師の雇用形態は、非常勤講師が7割以上となっています。 日本語教師は年齢による縛りが少ないため、学生のアルバイトや、主婦の方のパート、定年退職後の人生の仕事、副業なども含むため、非常勤という雇用形態の割合が多くなっています。 参考:「日本語教師に年齢は関係ある?」 日本語教師を生業とした場合は、常勤講師としての雇用・正社員と比べて、キャリアプランが見えづらいというのが、不安の要因になってしまいます。 しかし、フリーランスとして技術やネームバリューを提供できる場合は、会社に雇用されるよりも収入が多くなるケースもあります。 常勤講師の場合の業務内容への不安 常勤講師として勤めている教師は、一般企業と同じように昇格や昇給のステップが用意されていることが多く、主任、副校長、校長、といった明確なキャリアを目指すことができます。 その点では、非常勤講師やフリーランスよりも安定を感じることができるでしょう。 しかし、常勤講師ならではの悩みもあります。 長くその職場で働きキャリアを形成するということは、その分責任も重くなるということです。 引用ーーー ”また、現在の世界情勢から、国同士での問題が発生する場合もあります。政治的な問題はクラス内では避けなくてはなりませんが、中にはこういった話題を出してくる生徒もいます。こういった人にどのように対応し、スムーズなクラス運営をしていくか、日本語教師は常に考えて仕事をしなければなりません。” 転職ステーション「日本語教師ならではの不安・悩み」より 学習意欲の低い生徒に個別に対応したり、微妙な言葉のニュアンスの違いに配慮したりといった、「日本語を教える業務」以外の毎日の仕事に、精神的な負担を感じる人もいます 文化や慣習の違いを踏まえた上での生徒対応は難しく、クラス運営に悩む人が多いのも現状です。 そのため、仕事量・業務時間と給与が見合っていないと感じる場面も、非常勤やフリーランスと比べると多くなるでしょう。 雇用形態や業務内容への不安というのは、どの立場であっても、それぞれに悩みがあります。 そうした悩みを克服・改善していくことで、将来の不安を軽減・解消することができます。   悩みや不安を感じる場合 では、このような悩みや不安とどう向き合っていけばいいのでしょうか?   スキルアップのチャンス!と捉える 引用ーーー ”非常勤講師を掛け持ちしていた頃は生活費のために、できる仕事をどんどん入れつつ、これがいつまで続くのだろう・・・と心配で心配でたまりませんでした。 安心したい。 安定したい。 できれば、経済的な余裕も欲しい。 あの頃の私が任期最後の年を迎えたら、きっと先の不安ばかり考えて、心がヒリヒリしていたことでしょう。 でも、今は自分の将来にあまり不安を感じていません。 それは年齢を重ねて「将来が短くなった」からではなく(苦笑)、キャリアの理論を知ったからです。” 「将来が不安な日本語教師に伝えたい」より 漠然と不安を感じている場合は、まずライフプランやキャリアについて学び直してみましょう。 何もない、できない、足りないとう自分への認識が間違っていることは多々あります。 正しく自分の実力や現状を把握することで、漠然とした不安から脱却し、スキルアップの方法や新しい可能性を見つけることができます。 今後需要が高まると予想されるオンライン教育の手法を学んでみてもいいですし、SNSの発信を活用して、自分の生徒を持つことも可能な時代です。   環境を変えてみる 引用ーーー ”今でも、国内の日本語学校・大学(別科、日本語学科など)・企業、海外の日本語学校・大学・企業、青年海外協力隊、日系社会青年ボランティア、国際交流基金の日本語専門家など、当時と変わらず日本語教師として働く場はたくさんあると思います。 ただ、やはり安定を求めるのであれば、どのような働き方が自分にとってベストであるかということはしっかり考えたほうがよいと思います。” 「日本語教師はやめたほうがいい?将来性?未来は明るいかもよ、働き方によっては。」より 働く時間が短く、自分の自由な時間を確保できる方がいいのか。 給与や福利厚生が充実していれば、たくさん働いても楽しめるのか。 フリーランスとして自分のブランドで仕事をしたいのか。 「安定」と一口に言っても、人によって求める内容は異なります。 もし今の環境に不安があるなら、働く場所を変える、雇用形態を変えるというのも、一つの選択肢です。   まとめ 日本語教師に将来性があるかどうかは、世界情勢に影響を受ける面もあります。 しかし、日本の国策としては外国人労働者の雇用を増やす方向ですし、外国人労働者の数に対して日本語教師の人数は少ないというのが実情です。 日本語教師として、個人が豊かな人生を送ることができるかを考える際は、 ・どのような職場で働くのか ・フリーランスとして自分で集客運営ができるか ・自分にはどんな働き方が合っているのか といった、条件面やスキル面、個人の価値観で差が出るといえます。 こうした不安はどんな職業にも言えることですので、自身のライフプランを見据えて、キャリアを広げていくことが大切です。 やってみたいけど不安だという場合は、一歩踏み込むことで不安が解消されることもあります。 いまの職場に不安がある場合は、転職サイトなどでリサーチをしたり面談を受けてみることで、自身の市場価値を確かめることができ、不安解消の突破口が見つかるでしょう。

日付2022/02/08/

疑問

【現役日本語教師が徹底解説】日本語教師って仕事きついの?

外国人に日本語を教えたい、海外で活躍したい、英語を使って仕事をしたい、そんな夢を持って日本語教師を目指そうと思っている人も多いのではないでしょうか? しかしその一方で、日本語教師について検索してみると「きつい」「辞めたい」「仕事ない」などのネガティブな表現が一緒に表示され、夢実現の高い壁を感じてしまうことも。 「きつい」と聞くと、いくらやりたいと思っても二の足を踏んでしまいますよね? 日本語教師の資格を取得したりお金をかけて420時間の養成講座を受講したりしても、仕事を続けられなかったら、せっかくの努力が水の泡になってしまいます。 そこで今回は現役日本語教師の筆者が、仕事がきついかどうかについて、一般の人にはなかなか知り得ない情報も合わせてお伝えします。   そもそもどうして仕事がきついと言われるの? そもそも日本語教師の仕事はどうしてきつい、つらいと言われるのでしょうか? それには、以下の3つの理由が挙げられます。 ・授業準備と授業後の作業に膨大な時間と労力がかかる ・お給料が労働時間に見合っていない ・安定した職を得にくい これらについて、以下で一つずつ解説します。   授業準備と授業後の作業に膨大な時間と労力がかかる 日本語教師は、授業時間中に日本語を教えるだけが仕事ではありません。 授業前に授業計画を立てて資料や小テストを作ったり、授業後にテストの採点をしたり宿題の丸付けをしたり、やることは山ほどあります。 そして、それら1つ1つがとても時間と労力を必要とするんです。 筆者は教師になりたてで週に2回2コマ授業を担当しましたが、そのためにほぼ毎日朝から晩まで教案作成やその後の作業に追われていました。 その時は海外の大学で教えていて、日本語のクラスの他にもイベントの企画や開催、フリートークをするミニクラスも担当していたのでそれも忙しさに影響していましたが、教師一年目は週末も寝る間も惜しんで作業するほど切羽詰まっていました。 でも、経験を積んである程度要領を得ると、時間と心に余裕が生まれてきます。 知識が増えるので調べ物をする時間が減りますし、教案を描くコツを掴めたりネタの引き出しが豊富になったりもするので、心も体も楽になります。 同じ学校で教えていれば教材や資料などの使い回しができるので、授業前の作業時間が短縮できるのが嬉しいポイント。 ただ、毎年教える学生は変わりますし、教案や教材をより良くしようと思えばいくらでも改善できます。 そうして工夫しだすと「あれも、これも」とキリがなくなってしまい、ベテランになっても結局授業準備の作業に莫大な時間がかかることに変わりはなくなってしまうなんてことも。 人によっては、それがきついと感じるかもしれませんね。   お給料が労働時間に見合っていない 上述したように、日本語教師は長時間労働を強いられる場合も多い割に、お給料が良くありません。 経験が浅いと、日本語学校の専任講師は月給20万円程度から、非常勤講師は時給2000円程度からのスタートです。 非常勤講師の場合は、授業外の作業について一部手当がつく場合もありますが、無給の場合も多いです。なので、全ての作業を時給換算すると、コンビニやスーパーのアルバイトより時給が低いなんてことも珍しくありません 専任講師は年収にすると、生活していく最低ラインと言われる300万円くらい、あるいはそれ以下のお給料であることが多いです。経験と実績を積んで主任などに昇格しても、なかなか昇給は難しいというのが厳しい現実。 仕事のやりがいや情熱はお給料の多寡で決まるものではありませんが、モチベーションを決める大事な要素の1つです。 「これだけ頑張って働いたのにこのお給料って虚しいな」と思ってしまうとモチベーションは上がらず、きついと感じてしまうかもしれませんね。 熱意を持って日本語教育業界に飛び込んだ人でも、実際に仕事をしてみて生活していくのもきつくなってしまい、仕方なく転職するという方も少なくないようです。   安定した職を得にくい 日本語教師の職場は日本語学校や大学、高校、インターナショナルスクールや、プライベートレッスン、企業内講座、自治体の日本語教室など多岐に渡りますが、求人が豊富で就職の難易度があまり高くないのが、日本語学校。 日本語学校以外の就職先は特別な資格や経験(修士号や教員免許など)を必須としていたり、ボランティアを主に採用していたり、求人が希少だったりします。 なので、大多数の人は日本語学校への就職を目標にしますが、最初は非常勤講師からのスタートである場合が多いです。つまり、非正規雇用ということですね。 非常勤講師の場合、上述したように、授業前や授業後の作業を含めて労働を時給換算すると驚くほど薄給で、さらに健康保険や雇用保険などの加入が難しいことも。 非常勤講師の頃は、いくつかのバイトをかけもちしながらやりくりするという人も少なくありません。 でも、努力を重ねてある程度経験を積み、実績も能力もついてくると正規雇用の専任講師に昇格できることもあります。 ただ、日本語教師は非常勤やボランティアでの採用が大半を占めると言われており、バイトやパートでの不安定な勤務体系から抜け出すことはそう簡単ではありません。 そのような勤務体系は決して安定しているとは言えないので、それがきついと感じるかもしれませんね。   仕事が「きつい」と言うのは一面だけしか見えてないから?こんなメリットも ここまで「日本語教師の仕事はきつい」という解説を読んできた方は、「やっぱり日本語教師ってきついんだ。諦めようかな」と思う方も多いかもしれません。 でも、ちょっと待ってください。 今までご紹介した日本語教師のデメリットは、日本語教師の仕事の一面にすぎません。 どんな仕事にだって大変なこと、つらいことはありますよね? それと同じで、ご紹介したように日本語教育業界にももちろんダークな部分はあるんです。 でも同時に、ポジティブな面もたくさんありますよ。 日本語教師の仕事に挑戦したいと思っているなら、つらい面だけでなく、やりがいや将来性などポジティブなことについても見ておく必要があります。 ポジティブなことについて、主なものは以下の3つが挙げられます。 ・やりがいや充実感を感じられる ・手に職がつく ・異文化交流ができる ・求人の選び方や働き方次第で「きつい」を最小限にできる 以下でそれぞれ詳しく説明します。   やりがいや充実感を感じられる 日本語教師をしていると、「やっていてよかった」と思わずガッツポーズしたくなる場面に多く出会えます。 少し例を挙げると、以下のような場面です。 ・自分が一生懸命作った授業の資料に学生がのめり込んでいる時 ・クラスで、学生が楽しみながら日本語を勉強してくれていると感じた時 ・学生の日本語が上手になっていると感じた時 ・学生に感謝の言葉をかけられた時 日本語教師は多忙なのに薄給だとお伝えしましたが、何にも代えがたいこうした充実感を味わうと、嫌なことや疲れも一気に吹き飛びます。 実際、今日本語教育の業界で活躍している先生も、「一度この充実感を味わうとやめられない」と思っていらっしゃるでしょう。   手に職がつく 近年科学技術が急速に進歩し、今ある仕事の一部は将来AIに取って代わられてしまうと言われています。 特にAIが得意とする単純作業や高速計算などに関わる仕事は、AIによって代替される可能性が高いと言えるでしょう その点、教師は臨機応変な対応が求められるため、AIには代替されにくいと思われます。 学生やクラスによって教え方や導き方を少し変えたり、学生のモチベーションを高める工夫をしたりといった柔軟な対応は、機械が最も苦手とする分野です。 また、日本語を学ぶ学習者側からしても機械ではなく、日本語や日本文化に精通し、人の気持ちも汲み取りながら授業をしてくれる生身の人間から日本語を教わりたいと思うのではないでしょうか? このような意味で、教師の将来性は安定していると言えるでしょう。 異文化交流ができる 普段日本で生活していると、外国人と関わることってほとんどないですよね? でも、日本語教師の場合は仕事そのものが異文化交流とも言えて、今まで自分が知らなかった情報や知識、価値観に触れられます。 学生に自国の料理を紹介してもらったりイベントの話で盛り上がったりする中で、自分の世界がどんどん広がっていくのが感じられます。 海外で教えていれば、まさに毎日が発見の連続です。 様々な価値観や意見に触れることで「みんな違ってみんないい」という精神の大切さを身にしみて感じ、心の成長も促されるでしょう。 異文化交流によるこうした体験は、かけがえのない自分の財産になること間違いなしです。   求人の選び方や働き方次第で「きつい」を最小限にできる 日本語教育の業界は多忙なのに薄給で、なかなか安定した生活が得られないことが多いと上述しました。しかし、求人や働き方を選べば、そんな悩みも大幅に軽減できるでしょう。 例えば、日本語学校で非常勤講師をしているけれど、待遇に不満を持っている方。 そんな方は、オンラインレッスンの先生にも挑戦してみると、状況の改善が大いに期待できます。 特にコロナ禍でオンライン化が進み、オンラインレッスンの求人が一気に増えました。 オンラインレッスンであれば移動時間がなく、マンツーマンのものが多いため、授業前や後の作業も短縮できて効率よく稼げますね。 あるいは、日本語学校で専任講師をしているけれど、多忙と薄給の二重苦に苦しめられているベテラン教師の方。 そんな方は思い切って非常勤講師になり、今までの経験と人脈、実績を活かし、オンラインを含めた複数の学校で掛け持ちをしたり、もう少し待遇や職場環境の整った職場への転職を考えたりしてみるのがおすすめです。 または、教師としての経験やノウハウを活かして、日本語教師を続けながら日本語教育業界以外の分野(例えばライターや家庭教師など)でも活躍することも視野に入れてみる、というのも選択肢の一つになり得ます。 日本語教育の業界ではこのように多様な働き方ができますし、働き方や場所で状況を大きく変えられます。   まとめ 日本語教師を「きつい」と感じるかどうかは自分次第!   上述したように、日本語教育の業界は待遇や勤務体系などの問題できついと言われることは事実です。 筆者も、その問題には何度も悩まされてきました。 しかし、どんな仕事にだってきついことやつらいことはつきものです。でも同時に、どんな仕事にもきつさやつらさを超えて得られるやりがいや充実感もあるはず。 きついことがやりがいや充実感にまさってきついと感じてしまうかどうかは、あなた次第です。 他の誰かが「きつい」と感じることも、あなたはそう思わないことだってたくさんありますよね? でもそれって経験してみないとなかなか分からないことも。 なので、少しでも日本語教師の仕事に興味を持ったあなた、その可能性に心惹かれたあなたは、自分で経験してみるのが良いのではないでしょうか? 「百聞は一見にしかず」ですね。 もし「合わないな」と思ったらそこで方向転換すればいいですし、そうなったとしても様々な意味で学びがあるはずです。   理想の働き方を見つけて、日本語教師の「きつい」を最小限に抑えよう 上述したように、日本語教師の場合は、働き方や働く場所を選ぶことで「きつい」のもとになるデメリットを最小限に抑えることができるので、仕事のやりがいをより感じやすいはずです。 外国人に日本語を教えるという職業は、異文化に関わりながら人の成長を支え見守る素晴らしい職業。 海外で生活しながら働くチャンスも十分にあり、働き方や生き方の様々な可能性がみえてきます。 そんな日本語教師の仕事に興味を持った方は、求人の一覧と睨めっこしながら自分に合った働き方を模索し、「日本語の先生になりたい」という夢を叶えてみてはいかがでしょうか?

日付2022/02/08/

日本語教師におすすめの、まず読むべき本6選!

日本語教師になるためには、「日本語教育能力検定試験に合格する」「日本語教師養成講座420時間を修了する」「大学または大学院で日本語教育に関する主専攻プログラムか副専攻プログラムのいずれかを修了する」の、3通りの方法があります。 いずれにせよ、たくさん勉強して日本語教師になるのですが、いざ授業をしてみると「どうすればいいのかわからない」という場面に遭遇します。 日本語教育の授業は下準備が命。 授業の構成やわかりやすい導入を考えたり、生徒がつまづきやすい部分を先回りして把握しておく必要があります。 こんな時どうする?に備えるには、本が有効。 日本語教師になりたい人や、日本語教師になりたての人におすすめの本をご紹介します。   日本語教師になりたい人におすすめの本 日本語教師の仕事に興味を持った時に、読んでおくべき本を2冊ご紹介します。   日本語教育の「全体像がわかる」良本 『もしも…あなたが外国人に「日本語を教える」としたら』 引用ーーー ”「とにかく読みとおせば、初歩の日本語が教えられるようになることをめざしています」と著者が前書きに書いているように、教授法、音声、語彙、文字表記、教科書や教材、コース・デザイン、教室活動といった、日本語を教える上で最低限身につけておかなければならないことに一通り触れられています。” 「日本語教師になりたい人がまず読むべき本は? 編集部が選んだ6冊」より 日本語教師を目指そうと思った時に、まず何か読んでみるなら、この本がおすすめです。 1章と2章では初めて授業をおこなう際の試行錯誤と、その解決方法が書かれています。 日本語教育の具体的な指導のポイントが理解できるでしょう。 3章では授業全体の「教え方」、4章では日本語教育の業界について解説されています。 全体を通して「外国人に日本語を教える」とはどういうことなのかが、わかりやすく解説されています。 日本語教育の基本的な内容やステップアップの方法、日本語教育の現場事情などについて書かれているので、この一冊で日本語教育の全体像を把握できます。   日本語教育の「授業に役立つ」本 『日本語教師のための「授業力」を磨く30のテーマ』 引用ーーー ”「日本語教師のための「授業力」を磨く30のテーマ」の本は、授業に対する取り組み方や考え方が学べます。 日本語教師として教壇に立つ前に読んでおきたい一冊ですが、日本語教師として経験がある人でも、読むと自身の授業の振り返りになって役立ちます。” 「日本語教師におすすめの本」 より 日本語教師の全体像が把握できたら、その次に読む本としておすすめです。 実際の授業はどのようなもので、自分が授業を行う時には具体的にどうすればいいのか。 『日本語教師のための「授業力」を磨く30のテーマは、ぼんやりとしたイメージの「授業」をリアルに感じることができる一冊です。 また、授業を作る時や構成を考える時にも使えるので、実際に日本語教師として仕事を始めてからも「使える」と好評です。 会話形式で書かれているので読みやすく、日本語教師の資格試験の勉強の息抜きにもちょうどいいでしょう。 授業力、実際に授業をするスキルというのは、資格試験に合格しても身につくものではありません 自分で授業を行い、毎日「Plan・計画→Do・実行→Check・評価→Act・改善」のPDCAサイクルを回すことで、だんだんと授業力が上がっていきます。 とはいえ、できるだけ早く身につけることができれば、仕事がスムーズなのはいうまでもありません。 授業力をあげるヒントが書かれているので、先に読んでおいて損はない一冊です。   日本語教師として教壇に立つ前に必読の本 日本語教師として働き始めたら、毎日の授業を作り、わかりやすい教え方を考え、実際に授業をし、生徒とのコミュニケーション対応をし……やるべきことがたくさん。 事前に必要な知識や前例を知っておけば、生徒からの突然の質問にもスムーズに対応できますし、毎日の業務もスマートになります。   日本語教師の「定番書」 『みんなの日本語』 引用ーーー ”私は現時点では『みんなの日本語』を元にした授業を行っていませんが、教案を書いたり練習問題を考えたりするときによく参考にしています。 外国人がどのようなプロセスで日本語を勉強していくのか、初級レベルではどのような文法・語彙を学ぶのか、といったことも分かるので、学生さんのレベルを把握するのにも便利な1冊ですよ。 ボランティアで日本語を教えたい!という方にもおすすめです。” 「これから日本語教師を始める人におすすめしたい参考書、教科書を紹介!」より 日本語教育の現場でもっともよく使用されているのが、この「みんなの日本語」シリーズです。 日本語が母国語の私たち日本人が読むと、とてもシンプルな内容です。 シンプルなので日本語が母語ではない外国人にわかりやすく、また、外国人が日本で仕事をしたり生活していく場面で必要な語彙や文型もしっかりとまとめられています。 第二版の出版にともなって古い単語や用語が見直され、今の時代でも違和感無く使える単語に差し替えられています。 実用的で分かりやすく、日本語文法をしっかり習得できるすぐれた教科書として、日本語教師の必需品と言えるでしょう。 日本国内の日本語学校でも『みんなの日本語』を元に授業が行われることが多いので、持っておけば必ず役に立ちます。   初級を教えるための「定番書」 『みんなの日本語初級I 第二版 教え方の手引き』 『みんなの日本語初級II 第二版 教え方の手引き』 引用ーーー “初級を教えるなら絶対持っておきたい1冊です。  学習者が苦手としているところや指導のポイントがしっかりとまとまっています。 日本人だとなかなか気きづきづらいポイントについても触れられているので、僕はこの本にたくさん助けられました。 まずはこの本を読んで、初級文法のポイントを押さえていくとこれからの日本語教師生活のハードルがぐんと下がります。” 「【購入必須】新人日本語教師におすすめの本」より 日本語教師として働きはじめた時の手引書として、定番の本です。 多くの教師が「初級を一番教えるのが難しい」と感じています。 まったく日本語がわからない人に「日本語で日本語を教える」には、スキルが必要。 日本語の文法について「外国人の学習者が理解しづらいところを、どのように教えるか」の導入例が充実しています。 『みんなの日本語初級I 第二版 教え方の手引き』と『みんなの日本語初級II 第二版 教え方の手引き』には、初級の日本語指導のポイントがまとめられているので、授業をする際に役立ちます。 口コミでも、 「各課毎に 新出語 基本文型〜変化に伴う教え方のステップがわかりやすく解説されています。」 「それぞれの課の教え方が載っていてわかりやすい。また、教案作成の参考になる。」 と、使い勝手の良さで好評です。 なお、みんなの日本語シリーズは、本冊とこの手引書をセットで使うように構成されています。 他の副教材も豊富なので、使用目的に合わせて選びましょう。   例文や誤用例も充実、初級レベルの文例をマスターできる一冊 『初級日本語文法と教え方のポイント』 『中級日本語文法と教え方のポイント』 引用ーーー ”「初級日本語文法と教え方のポイント」で紹介されているポイントさえ把握しておけば、初級レベルの授業の突然の学生の質問にも問題なく対応できるでしょう。” 「初心者におススメ!日本語を教えるための参考書5冊 『初級日本語文法と教え方のポイント』と『中級日本語文法と教え方のポイント』は、「学習者はどこがわかりにくいのか」、「何をどう教えればいいのか」という、現場で直面することの多い疑問を解決してくれます。 初級の授業で必要な文法項目をメインに、学習者からよく出る質問や、誤用に関する説明と指導法が充実。 口コミでも 「日本語を教える上でこの本は欠かせません。初級でつまづく項目が書いてあり、日本語学校で使われる教科書に対応した項目が詳しく書いてあるので、日本語教師の必需品です。 「日本語の教案を作成するときに必須の本だと思います。とても丁寧に記載されているため、とても分かりやすいです。日本語の教師になろうと思っている人、なったばかりの人はぜひ読んでください。」 と、実際に日本語教師をしている人も愛用している良書です。 知識だけでなく現場で実際に使えるところが、多くの人に支持されています。   例文が豊富な参考書が欲しいならこれ 『くらべてわかる日本語表現文型辞典』 引用ーーー ”こちらの全級おすすめ参考書ページで紹介しているものは昔から私が使っていて、現在も使っているものです。できるだけ早くこれら参考書は手に入れれば、末永く役立つでしょう。” 「全級おすすめ参考書」より 参考書には例文が必ず載っていますが、『くらべてわかる日本語表現文型辞典』はとくに例文が豊富。 一つの文型に対して、4つの例文が記載されています。 類似文型の違いがわかりやすく簡潔に記載されていて、アルファベット順で辞書のように簡単にひけるので、教師も生徒も使いやすい構成になっています。 さらに、「意味が似ている文型」を説明しやすいように、「くらべて」掲載しています。 文型に関する学習者からのよくある質問にも、わかりやすく解説してあげることができるでしょう。 「似たような言い方の使い分けについて一番わかりやすい。日本人が自然に使い分けている言い方の違いをわかってもらうためには、きちんとした使い分けの説明がどうしても必要だが、その説明がシンプルにまとめられている。」 「例文が多く、授業の準備に重宝しています。例文や問題プリントを作成する際に参考にしています。」 このように、口コミでも、実用的で役に立つとの評価が多く寄せられています 経験の浅い日本語教師にとって、あると便利な一冊となっています。   もっといろんな本を知りたい、探したい ここで紹介した以外にも、日本語教師の仕事に役立つ本は、たくさん出版されています。 必要な内容が書かれている本を探すなら、日本語教師に役立つ書籍をまとめたサイトが便利です。 引用ーーー ”現場」は明日の授業、今期の授業のため。「勉強」は長く日本語教師を続けるための勉強の本、という区分けになっています。「あり方的なもの」は教え方から少し離れた日本語教育一般に関する本です。教師向けシリーズは、2000~3000円のシリーズ。「専門書」は、やや値段も高い(3000円から8000円超も)けど得意分野ならチャレンジ。くらいのイメージです。研究シリーズは教師向けシリーズより研究者寄り。値段はやや高め(4000円前後)出版社のサイトにアマゾンより充実した紹介がある場合は出版社の紹介ページへのリンクも入れました。特にくろしお出版やひつじ書房のサイトの説明は充実しており読む価値があると思います。” 「日本語教師読本Wiki」より 日本語教師Wikiでは、日本語教師定番の書籍や、実際の現場で使える実例系、素材・アイデア集、文法、漢字、教え方などなど、たくさんのカテゴリーに分けられています。 自分にとっていま必要な本を見つけることができるので、目的にあう本をぜひ探してみましょう。   まとめ 日本語教師の仕事を始めたばかりのころの授業は、毎日が試行錯誤の繰り返しです。 先輩に教えてもらったり、その都度改善することはもちろんですが、できれば大きくつまずくことなくスムーズに授業をしたいというのが本音。 経験の浅い日本語教師やこれから日本語教師になる人が、授業や模擬授業でつまずくのは、実務経験が少ないことと、教え方や文法の知識が足りないことが原因として考えられます。 教え方や考え方、使える技術についてあらかじめ学んでおけば安心です。 今までの日本語教師の知恵やコツが詰まった本を、ぜひ毎日の授業に活用しましょう。  

日付2022/02/08/

将来性

日本語教師に将来性はある?日本語習得を需要する人と国家資格化

日本語教師の需要と将来性の関係 「日本語教師に興味があるけど、将来性ってある?」「日本語教師になったとしても将来性がないのは困る」と考えたことはありませんか?将来性のない仕事につくのは誰しも不安なものです 確かに日本語は、英語のようにいくつもの国で話されている言語ではありません。日本語は日本でしか使われていない言語と言って良いでしょう。 また、外国人からみた日本語は、世界の中で最も難しい言語の1つだとも言われています。だからこそ、日本語教師に将来性は無いのではないか、と思われる方もいるかもしれません。 日本語教師の将来性を考える時に重要なのは、日本語教師の需要です。需要があるからこそ、将来性を望めると考えられるからです。 日本語教師の将来性は、どんな場所で、どんな目的の人に日本語教師の需要があるかを確認することが大切となります。   日本語教師が必要とされている場所 日本語教師を必要とするのはどんな場所でどんな人?と考えると、「日本語教育」を必要としている人がいる場所ならどこでもというのが正解になります。では、具体的にどこで、どんな人が必要としているのでしょうか。また、それらの需要に将来性はあるのでしょうか。   国内 数年前まではビジネスを目的に日本語を学ぶ外国人がほとんどでした。しかし、近年の様子は少し変わってきているようです。 東京オリンピックの開会式を思い出してみてください。漫画の吹き出しをイメージした国名のカードやゲーム音楽が登場しました。 日本のアニメや漫画、ゲーム、音楽、ファッションは、諸外国からも注目されています。また、これは日本の文化的な活動への将来性を感じている外国人も増加しているということになります。 これにともなって、日本の文化や日本語を学びたいという外国人がさらに増加していっていることは明らかです。 日本語教師の国内での需要は、将来性がとても高いと言えるでしょう。   ・留学生 「外国人留学生在籍状況調査」を見ると、海外からの日本への留学生は年々増加傾向にあります。 日本への留学の目的のほとんどが、日本の大学への進学です。 日本語教師のほとんどは、日本語学校で講師をしています。しかし、教えるのは日本語だけではありません。大学へ入学するための進路指導なども行います。 また、就職やアルバイトをするときの彼らの履歴書の書き方や、生活の相談にも乗ってサポートする役割を果たすこともあります。現在はコロナ禍で落ち込んでいる部分もありますが、日本語教師を必要とする存在として将来性は非常に高いです。   ・EPA(経済連携協定)で来日した技能実習生 日本政府は、EPAの政策の1つとして技能実習生の受け入れを行っています。技能実習では、日本で看護や介護を学び資格取得を目指します。その際に必要となるのが、日本語です。 日本の病院や介護施設で実習を行うとなれば、患者さんや介護施設の利用者さんとの会話において日本語は必須となります。そのための日本語を教えるのが日本語教師というわけです。 病院で看護師さんにどんなことを話しかけられますか?その言葉を外国人に教える役割を日本語教師は担っています。   ・外国人スタッフ雇用による企業内での日本語教育 日本の企業では、多くの外国人スタッフが活躍しています。この時、日本語でのコミュニケーションが必要な場面はたくさんあるでしょう。また、日本で生活することにおいても日本語は必要不可欠です。 企業では研修の一環として、外国人スタッフに日本語を教える機会を設けている場合があります。 ここでは、必要とされるのはビジネスで使える日本語です。日本の会社のシステム、特定の業界への知識がある日本語教師が求められます。 労働力をますます海外の人材に頼ることになっていくだろう現状を考慮すれば、企業からの日本語教師への需要は高く、将来性が見込めるといって良いでしょう。   ・外国人スタッフの子どもや家族 日本語教育が必要なのは、企業で活躍する外国人スタッフだけではありません。外国人スタッフの家族や子どもにも日本語は必要となります。 子どもの学校と連絡を取り合うときにも、日本語は必要です。例えば、学校への欠席連絡のとき、日本語がわからなかったらどうしますか?学校から出されるお便りをどう読めばよいのでしょうか? 日本語が理解できなければ、学校とも連絡が取れなくなってしまいます。 外国人スタッフの家族にも、日本語を学ぶ機会が必要なこともあるのです。外国人スタッフの増加とともに、将来性が高まっていくでしょう。   海外 日本語教育を必要としているのは、日本国内にいる外国人だけとは限りません。将来日本への留学を考えている人もまた、日本語の習得を希望しています。 グローバル化がますます進む中、海外での需要は非常に将来性が高いと言えるでしょう。   ・アジア圏(中国、韓国、タイ、ベトナム、台湾)やオーストラリア 「日本語教育機関調査」によると、アジア圏からの留学生が増加していることが確認できます。 特に日本への留学生が多いのは中国。 中国では、日本に留学するために日本人講師が物理や数学を教える学習塾があるほどです。同じように、中国国内で日本語を学びたいと考えている人が大勢います。 このため、中国の大学や高校では日本語教師を求めており、日本で求人を見かけることが多いです。 日本語教師を必要としているのは中国だけではありません。 韓国やタイ、ベトナムやマレーシアにも将来性を求めて日本へ留学する人々はたくさんいます。彼らも留学に向けて、日本語を学ぼうとしています。 また、オーストラリアでは第二外国語として日本語を採用していることもあり、日本語教師の存在は必要です。 しかし、日本にいてアジア圏の国々やオーストラリアへの求人を確認する機会はほとんどありません。 それは、日本語教師の募集条件が現地在住ということになっているからです。 この現地在住の日本語教師とは、日本語がわかる現地の外国人であることも多いです。日本語を母語としない日本語教師については、明確な資格などの基準がありません。「日本に住んでいたことがある」「日本語が多少話せる」人の場合もあり、日本語教師の質が問われています。   ・アメリカ 日本のアニメやゲームが世界中で人気があることは、今や周知のこととなっています。アメリカでは、日本の文化への興味から日本語を学びたいと感じている人が多いようです。 日本の文化とはアニメやゲームだけではありません。日本の歴史や伝統文化について尋ねられる機会もあるでしょう。ここでは、誰よりも日本のことを知っていることが求められます。 また、アメリカで日本語教育を必要としているのは、アメリカ人だけとは限りません。 日本人の子どもたちが日本と同じ教育を受けるための学校、「日本人学校」でも日本語教師の需要はあります。 日本の会社からアメリカに赴任して働く親は、いずれ日本に帰国することになります。その時には、子どもも日本へ帰国するということになるでしょう。日本に帰国した子どもの将来性を考えると、正しい日本語や日本文化を学んでおく必要が出てくるというわけです。 一方、アメリカの日本語教師の求人も日本で見かけることはあまりありません。その理由は、現地在住であるという条件があるからです。   日本にいながら海外とつながる インターネットの普及によって、多くの人の働き方が変化しています。日本と海外でオンライン会議をすることができるなど、どこにいても人とつながれるようになりました。 日本語教師の働き方においても、同じことが言えます。インターネットを利用すれば、海外にいる生徒に日本語を教えることは可能です。オンライン環境の発達は、日本語教師の将来性にも影響するのです。   オンラインでのレッスンなら、自分の都合に合わせて日程や時間を組むことができます。また、日本語学校で非常勤講師をしながら、空いた時間には自宅でオンラインで講師をするという働き方もあります。 こう考えていくと、フリーランスでも働ける将来性も見えてきます。   コロナ禍と日本語教師 日本語教師の需要が増える一方で、日本語教師の将来性について心配される出来事が起きました。コロナウイルスのパンデミックによる、留学生の激減です。 日本語学校は大打撃を受け経営難に陥るだけでなく、経営破綻することも少なくはありませんでした。 しかし、日本語習得を目指す留学生が減ったわけではありません。まして日本語教師の将来性がなくなってしまったわけでもありません。「外国人の受け入れができない状況」になったということです。 現在、世界の国々ではコロナウイルスのワクチン接種が急ピッチで進められています。ワクチンの普及により、コロナの感染者数が減少すれば、外国人の受け入れも可能となるでしょう。そうなれば、留学生も日本に入れるようになり、日本語学校や日本語教師の需要は再び高まってくると予想されます。揺り戻しで、もしかするとコロナ禍以前よりも将来性が高まるかもしれません。 現在、段階的に外国人の受け入れができるようになってきました。 一時、日本語教師の将来性は危うくはなりましたが、決して無くなりはしていません。   アフターコロナと日本語教師の将来性 日本語教師の将来性には、日本と世界の政治経済の動きが大きく関わります。結論からいうと、コロナ後の日本語教師の需要は高まっていくと考えられています。 理由として挙げられるのは2点。 ・日本は人口減少による人手不足が加速していること ・日本語習得を目指す人は増加傾向にあること 日本は人手不足で、海外からの人材に頼らざるを得ない状況です。そのため、海外からの人材の受け入れが増加し、同時に日本語習得を目指す人も増加します。 このような流れから日本政府は、日本語教師の「国家資格化」の動きを始めました。 国家資格となれば、日本語教師の社会的地位は向上していくことが予想されます。日本語教師の将来性はあると考えられるでしょう。 国家資格の日本語教師の正式名称は「公認日本語教師」となります。この公認日本語教師の資格には3つの条件をすべて満たさなければなりません。 ・資格試験に合格する ・教育実習を履修する ・4年制大学以上を卒業する(学士以上の学位の取得) 現在すでに日本語教師の資格を持っている場合については、国家資格化後に経過措置をとって移行させるとしています。 また、現在の日本語教師の資格の取得方法は以下の3つ。このどれかをクリアしていれば日本語教師の資格は手に入れることができます。 ・日本語教師養成講座の受講 ・日本語教育能力検定試験の合格 ・大学、大学院で専攻 国家資格化後に日本語教師の資格取得をするのも悪くはありませんが、特別にタイミングを待つ必要もありません。早めに資格を取得して働いた方が経験も積めると考えられます。 日本語教師として働くのであれば、今のうちに資格取得をしておくのが良いかもしれません。  

日付2022/02/08/

疑問

日本語教師の気になる仕事内容は?給料や年収についても解説!

日本語教師の仕事に興味を持っている方、また日本語教師を目指そうと考えている方の中には日本語教師の仕事内容はどんな感じなのか、日本語教師の仕事をしながら生活していく上でお給料がいくらくらいなのかと気になる方は多いのではないでしょうか。 そこで今回は日本語教師の具体的な仕事内容や、気になるお給料・年収・収入について解説していきます。日本語教師の仕事に興味はあるけど仕事のイメージがしづらい、日本語教師のお給料で食べていけるのかと不安に感じているかたは、ぜひ参考になさってください。   日本語教師の仕事内容・働き方 日本語教師の仕事は日本語を教えるというイメージはあると思いますが、具体的にどのような仕事内容なのかよく把握できていないという方も多いと思います。また日本語教師の仕事と一言で言っても勤務形態とその働き方はさまざまです。ではさっそく日本語教師の仕事内容と働き方を見ていきましょう。   日本語教師の主な仕事内容 日本語教師の仕事は、日本語を母国語としない海外からの留学生や外国人を対象に日本語を教えることです。主に日本語学校に勤務しますが、複数人の生徒に対して教える集団指導とマンツーマンで指導する個別指導の2種類があります。 日本語教師の仕事は日本語の読み書きや文法、日本語会話を教えるだけでなく、文化や歴史、日本の習慣や価値観を教えるのも大切な仕事です。 生徒一人一人の国籍や現在の日本語レベル、学習目的に合わせて授業内容の計画を立てたり、生徒のカウンセリングを行ったりと、日本語教師の仕事内容は幅広く多岐にわたります。日本語教師の仕事はいろいろな国籍の生徒と関わりあえ、日本語学習の手助けができるやりがいのある仕事といえるでしょう。 日本語教師が語る「honne.biz 日本語教師が明かす仕事の本音」は、さまざまな日本語教師の仕事に対してのリアルな意見やお給料についてまとめてあるので参考になさってください。   日本語教師の働き方 日本語教師の一番身近な働き方である日本国内の日本語学校で働く場合、「常勤」か「非常勤」の二種類の働き方があります。常勤の講師である専任講師は正社員として雇用されます。専任講師は固定給で安定した給与が保証され福利厚生などの待遇が整っていることが多いです。 しかし専任講師の場合、カリキュラム作成、授業の準備、生活・進路指導など多岐にわたる業務内容をこなす必要があり、給料に対して仕事量が多いと感じることがあるかもしれません。 一方、非常勤講師は一つの授業を一コマとしてコマ数に応じた給料体系でパートやアルバイトのような働き方に近い形です。安定した収入は得られませんが、未経験から始められフレキシブルな働き方ができるので、主婦業と日本語教師の仕事を両立しながら働くことができます。 授業を教えることに専念したいというかたにも非常勤講師はおすすめの働き方です。 最近ではオンラインで日本語を教えるという働き方も増えています。自分の理想とするライフスタイルに合わせて働けるのも日本語教師の仕事の魅力の一つと言えるでしょう。現役のプロの日本語教師が語る日本語教師の給料事情と働き方も参考になるので目を通してみてはいかがでしょうか。   日本語教師の就職事情 日本語教師の仕事をするにあたり、どんな場所で就職するのか気になるのではないでしょうか。日本語教師の仕事をするのに教員免許は必要ありません。いくつかの条件のうち一つを満たしていれば日本語教師として働くことができます。ユーキャンなどの通信講座をうけながら日本語教育能力試験に独学で合格を目指し日本語教師の仕事に就く方も多いです。 日本語教師の就職先はさまざまな場所がありますが、代表的な場所として民間の日本語学校が挙げられます。日本語学校には日本の大学・専門学校に進学のため、またビジネス会話習得目的などさまざまな目的を持った外国人が通っているので、それぞれに応じた授業の進め方を考えたり幅広い知識が必要です。 日本語教師の就職先は日本語学校以外にも、大学などの教育機関で日本語の教育に携わることができます また日本語教師の就職先として日本国内だけでなく海外で就職するという道も候補の一つです。海外の日本語学校で働く場合、日本語教材が手に入りづらく、教材を用意したり授業内容を作成するのに何時間もかける苦労があるかもしれません。しかし海外での就職は国内で就職するよりも比較的採用されやすく仕事が見つけやすい傾向があります。 他にも日本語教師の活躍の場として自治体が開催する日本語教室でボランティアとして日本語を教えることもできます。個人事業としてプライベートレッスンをおこなったり、日本語教室を開いて活躍するフリーランスで仕事をする日本語教師もいたりと働き方はさまざまです。最近では日本語教師は人手不足の状態が続いており、売り手市場と言えるようです。   日本語教師の給料や年収は   日本語教師の仕事内容が把握できたところで、次に気になるのは日本語教師の給料や平均年収ではないでしょうか。日本語教師の給料・平均年収はいったいどれくらいなのでしょうか。 220名の現役日本語教師に給料についてアンケートをとった結果を集計した円グラフをもとに見てみましょう   ・非常勤の場合 まず最初に非常勤講師の給料を見ていきましょう。 非常勤の日本語教師の場合、時給制または授業一コマごとに給料がもらえます。授業一コマあたりの給料の単価は約1,500〜2,000円が平均で、一コマ45分としたとき平均コマ給は1950円という計算になります。   引用:https://japanese-bank.com/work-tips/japanese-teacher-salary/   非常勤教師の平均年収は51万〜100万円程度で、日本語教師の非常勤の仕事の給料だけで生計を立てるのは難しく不安があるかもしれません。非常勤教師の場合パートやアルバイトとして働き給料を得る人が多く、夫の扶養内で働きたい主婦の方、また他のアルバイトと掛け持ちをしている人が多いです。   ・常勤の場合 続いて常勤の日本語教師の給料を見てみましょう。常勤の日本語教師の場合、平均年収はおよそ300〜400万円とされています。   引用:https://japanese-bank.com/work-tips/japanese-teacher-salary/   アンケート結果では年収251〜300万円の人の割合が最も多く、続いて301〜350万円の人で合わせて全体の60%を占めています。全体で見ると年収が300万円を超えている専任教師は全体の60%いるという結果がでているので、地域や雇用先で差がありますが専任教師の年収は300万円はもらえる場合が多いでしょう。 SenSeeMedia 日本語教師のリアルな収入「私こんな風に稼ぎました」は実際に日本語教師の専任講師と非常勤講師の仕事経験のあるかたがお給料についてまとめた記事です。より具体的にお給料や仕事について理解できるでしょう。   日本語教師として年収・キャリアアップするには   日本語教師の仕事で生計を立てていきたい場合、キャリアアップし給料を上げることを目指すかたは多いと思います。日本語教師として年収・キャリアアップするにはどうしたら良いのでしょうか。   ・経験を積む 日本語学校の日本語教師は勤続年数によって常勤、非常勤にかかわらず給料が上がっていきます。専任教師の場合、平均年収は1年未満で300万円程ですが勤続年数5〜10年だと給料は400万円程にアップします。 また非常勤講師の場合、平均コマ時給は1年未満で1650円程ですが、勤続年数10年以上だと2500円程というデータがでています。 ・主任教員を目指す 日本語教師としてキャリアアップを目指すには経験を積んで日本語学校の専任講師から主任教員または大学で専任講師になるのが一般的なキャリアアップの方法です。 日本語学校を設立するのに主任教員がいなければ設立することはできません。 主任教員になるには専任講師として3年以上の経験を積むことが条件とされています。 ・大学の専任講師になる 大学の専任講師になるには大学院を卒業し修士以上の学歴が必要となっている場合がほとんどです。大学院に行くには時間と学費が必要です。大学卒業後すぐに修士課程に進むのもいいですが、日本語教師の仕事と並行して大学院へ進学し、日本語教師としてキャリアアップするのも選択肢の一でしょう。 ・海外で就職する 海外で日本語教師として働くのも日本語教師としてキャリアアップする方法の一つです。国によっては日本語教師が不足しており、海外で就職したほうが高待遇で働けるケースもあります。海外で働く場合の給料は国や勤務先によって異なりますが、その国での生活に困らない程度の給料とされている場合が多いです。   終わりに いかがでしたか。今回は日本語教師の仕事内容や給料について解説しました。日本語教師の需要は日本語に興味を持つ外国人の増加に伴い高まっています。気になるお給料も、キャリアアップしながら給料を上げていけることがわかりました。専任教師、非常勤教師と働き方もさまざまで、日本国内だけでなく海外で働くチャンスもあり活躍の場を広げられるでしょう。日本語教師の仕事に興味をもたれているかたは本格的に日本語教師の道を目指してみてはいかがでしょうか。

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